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酸素マスクで酸素を投与中の患者さんの吸入酸素濃度 [研修医教育]

ずいぶん更新していませんでしたが、元気に活動しています。心配してくださっている方(いないかな)がいたらすみません。

新しい記事は、こちらのnoteに書きましたのでご覧ください。

ブログの更新ってなかなか時間がないと出来ないのか、毎日更新していた時は元気だったのか、よく分かりませんが、不定期にアップしていきます!
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メトヘモグロビン血症と原因を追及する事の大切さ [研修医教育]

 最近某大学病院で井戸水によるメトヘモグロビン血症が出たとのことで話題になっていますね。

 今回興味深い症例報告を見つけたので紹介します。こちらの論文をまずお読みください(日本語なのでご安心を)。

 メトヘモグロビン血症について解説されていて分かりやすいです。私は一度も診たことはありませんが、局所麻酔薬などでも起こり得るそうですので、内視鏡検査の時など案外発生しているのかも知れません。

 引用させていただいた文献は、病気の原因を追求せずに継続的な治療を行った医師がいて、それを他科の先生がたまたま診て、原因が分かって術後治療が不要になったというものです。

 10年ほど前より原因不明の低酸素血症に対して在宅酸素療法をされていた患者さんが、股関節の手術を受けた際、SpO2とSaO2に乖離があるため変だと思った麻酔の先生により、術中にメトヘモグロビン血症と診断がつき、術後在宅酸素療法が不要となったというのです。

仕方ないことなのでしょうが。


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吸入酸素濃度を5倍してみましょう [研修医教育]

 こちらのブログ記事とほとんど同じです。酸素化能の評価としてA-aDO2がスタンダードではないかと思っていたのですが、肺胞気式はでたらめであり使うべきではないという意見があります。

 PAO2の予想がでたらめだとなれば、A-aDO2は意味がありません。

 では、どうすれば良いのでしょうか?

 私が研修医の頃、麻酔科の先生に「PaO2は吸入酸素濃度を5倍した値より少し低い」と言うのを教わりました。「A-aDO2を計算しなくなるから、これは研修医に教えてはいけない」と言われたのですが、私も研修医なのにいいのかなあ?と思った記憶があります。私は研修医時代から老けていると言われていて、研修医に見えなかったからかも知れません(麻酔の先生は非常勤の先生でしたから)。

 つまり、酸素投与をしない状態では、酸素濃度は約20%ですので、PaO2は100 Torr程度になります。確かにそうですね。酸素濃度が40%ならPaO2は200 Torr程度と言うことです。かなり大雑把で、ほとんど使うことはなかったのですが、最近買った本のP.104にFive Times Ruleとして紹介されていました。


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高カリウム血症を腎障害のせいと決めつけない [研修医教育]

 カリウムが高い患者さんがいると、腎臓が悪いせいだろうと思ってしまいます。私もそうでした。

 しかし、そうではないことも多いです。こちらの本に載っていました。日本語版はP.26、英語版はP.29です。

 正常な生活をしている人の通常な食事からはカリウムが1日1mEq/kg摂取されるそうです。体重が50kgの人だと、1日50mEqです。点滴で投与する場合もそのぐらいの量にしますよね。

 カリウムの排泄上限量は、GFR(糸球体濾過量)に比例するそうで、約10mEq/kg/日です。体重50kgだと1日約500mEqのカリウムを排泄できます。

 計算してみます。GFRの正常値を100mL/minとすると、100mL/min×60min×24h×4mEq/L÷1000=576mEq/dayとなります。約10mEq/kg/日ぐらいですよね。

 よって、1日50mEqのカリウムを摂取している体重50kgの人が、GFR低下による腎臓のカリウム排泄障害だけでカリウムが上がるとすれば、50:500=x:100よりGFRが10mL/minとなった場合にカリウム摂取量>カリウム排泄上限量となります。つまり、GFRが10%にまで低下しないとカリウムが上がってこないと言うことです。以下に本の解説文を引用します。

「軽度から中等度の腎不全で高K血症がある場合には、高K血症は腎不全単独の原因によるものではありません。高K血症を起こす他の原因を積極的に精査することが必要です。」

 よく覚えておこう。

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アニオンギャップは血液ガス分析のデータを使うべきか? [研修医教育]

 血液ガス分析を行うと、必ずアニオンギャップ(Anion Gap;以下AG)を計算しなさいと言われます。計算は単純な算数ですが、面倒なのでやっていないこともあるのではないでしょうか。

 AG=Na−(CL+HCO3

 原法はカリウム(K)を含んでいたようで、ヨーロッパではこちらが一般的のようです。

 AG=Na+K−(CL+HCO3

 器械が自動的に算出してくれる場合も多いですが、その際はK(カリウム)が計算に入っているかどうかチェックしておく必要があります。私が知るかぎりカリウムが計算に入っている器械が多いです。
 またアルブミンが低いとAGが低下するため、以下の補正をすべきとされています。

 補正AG=Na−(CL+HCO3)+2.5×(アルブミンの正常値ーアルブミン値)

 アルブミンが2g/dLの場合、アルブミンの正常値を4g/dLとすれば、補正AGはAGより5上昇します。

 さて、AGが自動的に計算された場合には、NaとK、CLは血液ガス分析のデータを用います(当然アルブミン補正もされていません)。血液ガス分析装置のNaは比較的低く、CLは比較的高くなる傾向にあるようで、AGは低くなる傾向にあります(アルブミン補正もしなければなおさらです)。そうするとAGが上昇する代謝性アシドーシスを見逃す可能性があります。

 よって、AGの計算には血液生化学検査のNaとCLを用いるべきだとされています。どちらを使ったら良いのか?と言うのが今日のテーマです(久しぶりに前置きが長かったですね)。

 結論から言うと、どっちでも良いです。私は両方算出しています(血液ガスオタクなので)。激しい代謝性アシドーシスがあればどっちを用いても同じです。軽度のアシドーシスは見逃しても大丈夫ではないかと思いますし、AGの正常値はいくらか?について議論があるようで、12が正常かと言えば、高いと判断するのが最近の傾向のようです(前述のようにAGは血液ガス分析のデータでは低くなる傾向があります)。

どっちでも良いと言えなかった事例を紹介します。


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浸透圧ギャップがマイナスになる [研修医教育]

 私は、直接関わることは少ないのですが、研修医の先生や若い先生達の診療をチェックする立場にあるので、カルテは不定期にチェックしています。

 血液検査で血清浸透圧(正確には浸透圧モル濃度らしいです)を測っている先生が多いのですが、何に役立てているのかよく分かりません。ある研修医の先生に聞いたら、内科の先生が「役立つからオーダーしておくと良い」と言ったとのことですので、誰かがそう言ったのがずっと伝わっているのでしょう。まあ、測ってもだいたい10項目以上測定したうちの一つですので、患者さんへの負担はなく、病院が損する(試薬など測定にはお金がかかりますが、測定することによる収入がない)ことと、検査技師さんの負担が増えることぐらい(と言っては失礼ですが、直接関係のない私がどうこう言うことではない、、、、、、アドラー心理学で言う課題の分離です)ですので放置しています。

 が、まあ何か出来ることはないかと考え、カルテに浸透圧の解析を書いておくことにしました。以下のような感じです。

ーーーーーーーーー

A:血清浸透圧の計算値(ある文献に計算値を総蛋白と総コレステロールなどで補正した値が予想値だと書かれていましたので、計算値と書いておきます。あまり大きな差があるとは思いませんが)。
=2×ナトリウム+血糖÷18+尿素窒素÷2.8=284

浸透圧ギャップ(Osmolar gap;OG)=血清浸透圧−計算値=280−284=−4

中毒などが予想される場合、OGがその中毒物質だけで作られていると考えれば、その物質の分子量の10分の1(単位を合わせる意味)をOGにかければ血中濃度が予想できる。例えば、エタノールの分子量は46のため、OG×4.6がエタノール血中濃度であり、一般的に200を越えていなければ(OGが43.5を越えていなければ)エタノールによって意識レベルが低下していると考えてはいけない。

OGがマイナスになる理由は現時点で不明である。

ーーーーーーーーー

 つまり、こう言う解析をしなければならないのではないですか?しないなら測定すべきではないと私は思いますが、どうでしょうか?と言う嫌みです。我ながら嫌なやつ。

 私はナトリウムやカリウムが低いとか、急性アルコール中毒とかでない限り、血清浸透圧をオーダーしないので、OGがマイナスになることを初めて経験しました。血清浸透圧はナトリウム、血糖が主なものであり、他にも色々あるが少ないため、計算値ではナトリウム(カリウム×2を入れる意見もある)、血糖、尿素窒素しか入っていません。よって、常に測定した血清浸透圧>計算した血清浸透圧となるはずです。

 そして、浸透圧をルチンで測定している先生達の患者さんのほとんどでOGがマイナスになることを発見?しました。

 その理由について今調べているところですが、全然分かりません、、、、、、、、どなたか分かる方教えてください。

 今分かっていることは、当院の血清浸透圧の単位はmOsm/Lであり変であることです。血清浸透圧の単位はmOsm/kg・H2O(重量浸透圧モル濃度Osmolality)であるはずですが、当院のはmOsm/Lになっています。容積浸透圧モル濃度Osmolarity(Lとrの違い)です。実臨床では大きな差はないので区別する必要はないと書かれた文献もあります(以下の本のP.27)。計算した値はmOsm/Lなのですが、血清浸透圧の測定値はmOsm/kg・H2Oなので、そもそもOGの計算は厳密に言えばおかしな値だと書かれていたのです。が、当院の場合、mOsm/L同士で計算しています。後で検査技師さんに質問してきます。
 あとは、浸透圧ギャップの英語がOsmolar gapと言う文献とOsmolal gapと言う文献があり、どっちやねん!と思ってます。



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飛行機の中でも対応が出来るように [研修医教育]

 私もそうですが、勤務医は非常に恵まれた環境であることを忘れがちです。

 患者さんを紹介してくださった開業医の先生や他院の先生に対して、「はあ?心電図もとってないの?」「なんで金曜日の夕方に紹介してくるの?もっと早く紹介してよ!」「こんなの数日前から分かって当然でしょ!」とか言ってしまいます。その先生の病院では心電図の器械が壊れていた(これ有名な寺沢先生がよくおっしゃることのようです)かも知れませんし、振り返れば数日前に紹介すべきだったかも知れませんが、「はあ?」とか言われるからと恐れて遠慮していたら悪くなったのかも知れません。

 不利な環境での医療がどれほど大変か、常に忘れないように、そして自分の働く病院でも、CTが壊れたり、動脈血ガス分析の機械が壊れたり、いつも使っている薬の在庫が切れていたりしたらどうするか?たまに考えるようにしています。そして、この論文を読み返す(と言うか見るだけ?)ようにしています。残念ながら3ページ目がないのですが(3ページの論文です)。1995年の論文ですので仕方ないですか。BMJに掲載されたものですが、Augustなのでクリスマス特集ではありません。

 飛行機に乗る前にバイクで事故に遭った女性が、飛行機の中で左の緊張性気胸になったそうです。胸腔ドレーンを入れたとのことです。聴診や打診は飛行機の中では使えません。エンジン音がすごいからです。気管が右に偏位していたとのことです。やばいですよね。そしてよく診断できたと思います。

 機内には、メスや局所麻酔薬とチューブ(昔聞いた話では尿カテ)と酸素投与のチューブはあったそうです。気胸の処置には他に何が必要でしょうか?????こちらの写真をご覧ください。

kinaiop.jpg

 これは処置の際に利用したものです。

続きを読みたい方はこちら。


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血液ガスを取る前に酸素を投与してはいけないか? [研修医教育]

 いつものように結論を先に書きましょう。血液ガスをとる前に酸素を投与して良いです。と言うかすべきです。低酸素は患者さんにとって不利益です。必要なら直ちに酸素を投与しましょう。血液ガスデータの解釈は後でどうにでもなります。

 以下説明です。時間のない方はこれ以上読む必要はありません。自信を持って酸素投与を開始してから、動脈血採血をしましょう。いつ採血するかは色々ですが、データが落ち着くまで20分はかかるというのであれば、酸素投与を開始してから5分後に取った値はあてにしないで、酸素投与開始20分後に再度測定すれば良いです。いつの採血か分かっていれば問題ありません。

 さて、血液ガスを採取する目的の一つに酸素化能の評価があります。肺胞気-動脈血酸素分圧較差という長ったらしい項目を計算する必要があります(と言うか計算していますか?必ず計算しましょうね)。この項目は略してA-aDO2とかA-aO2gradientとかP(A-a)O2とか言われていますが、ここではA-aDO2と記載します(肺胞と動脈血の酸素分圧の差は肺胞だけが原因で起こるのではないので、この表現は正確ではないと聞いたことがありますが、細かいことはいいでしょう)。

 A-aDO2は以下のような式で計算します。

A-aDO2=PAO2−PaO2
PAO2=PIO2−PACO2/R
 Rは呼吸商で通常は0.8です。詳しくはこちらのWikipediaをご覧ください。
 PIO2=(760−47)×FIO2で760は一気圧、47は37度における飽和水蒸気圧です。
 また、PACO2=PaCO2と仮定します。

 後者の式は肺胞気式と言われていますが、本当はもっと複雑です。こちらの論文を見ていただくと理解できると思いますが、以下のような式です。

PAO2=PIO2ーPACO2/R+(1/R−1)×PACO2×FIO2

 つまり(1/R−1)×PaCO2×FIO2だけ差があります。この項目はFIO2が上昇するほど大きくなりますので、酸素投与をすると、(簡易式を用いるので)正確な評価が出来ないと言うのです。


本当にそうでしょうか???


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専門家とは何でしょう [研修医教育]

 先日SNSで喘息の人に造影CTなんてあり得ない、絶対するなと言う呼吸器内科の先生がいると聞きました。私はそんな専門医は必要ないと思います。若い医師の皆さんは是非そのような専門家にならないようにしてくださいね。

 医療で大切なことは、患者さんが困っている事を解決することです。解決できない問題ももちろんありますが、その場合には出来るだけ不利益が少なくなるように一緒に考えることが大切です。

 患者さんはもともと色々な問題を持っており、教科書やガイドラインに書いてある事が出来ない場合がたくさんあります。例えば以下のようなことです。

 造影CTを撮りたいが、腎機能が悪いため造影CTが出来ないと言われた
 今から緊急手術が必要だが、全身状態が悪すぎて麻酔科から手術を拒否された
 上部消化管出血が疑われるが、全身状態が悪くて胃カメラは出来ないと言われた
 くも膜下出血を疑ったので直ぐ脳外科に紹介したら、CTも撮らずに紹介するなと言われた

 上記の事は専門家として適切な対応かと言えば、そうではないと私は思います。私はへなちょこ外科医&救急医ですが、上記のこと、全て出来ますよ。だって、簡単です。出来ないと言えば良いんですから。腎臓が悪いから造影できない、こんな状態が悪かったら麻酔かけられない、胃カメラも無理、CTぐらい撮っておけよな。専門家である必要はないでしょう。若い皆さんも出来ますよね。

専門家とはなんでしょうか?


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後期研修医になるあなたへ [研修医教育]

 3年目の医師になる皆さんへの警告です(人によっては2年目だったり、5年目だったりするでしょう)。医師でない方は、医師の部分を自分の仕事に変えて読んでみてください。

 医師として2年間の初期研修を終える皆さん、大変お疲れ様でした。日々指導医に頻繁にチェックをしてもらわないと仕事が出来ない状態からやっと解放され、自分だけの指示で仕事が出来るようになります。

 やっと独り立ちだと喜んでいる人もいるでしょう。でも勘違いしないでください。みなさんは医師としての仕事のたぶん1割もマスターしていないでしょう。まだまだ多くを学ぶ必要があります。今まで通りの生活を続けましょう。今まで通り指導医にチェックをしてもらうべきです。まだ何も出来ない状態です。医学はそんな甘い物じゃありません。人間の身体はそんな甘くありません。

 私はもうすぐ医師30年目になりますが、毎日学ぶこと、反省することばかりです。

うっせぇわと思った方はこちら。


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