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血液ガスについてのブログをやっています [研修医教育]

 最近は血液ガスのブログを更新しています。こちらのブログは2ヶ月以上更新していませんでした。

 良かったらこちらのブログを見てみてください。血液ガスに関してマニアックな話題を書いています。

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風邪の診断は難しい [研修医教育]

 風邪と簡単に言いいますが、実は風邪と診断するのは難しいです。風邪の診断基準は存在しないからです。風邪は除外診断と言って、他の病気ではないと診断した上で、まあ風邪でしょうね、、、、、、となる病気です。

 風邪ではないかと病院に来られた患者さんに対して、医師が最初に考えることは、本当に風邪なのか?です。風邪は万病の元と言われるように、多くの疾患は風邪症状で始まります。諸外国は病院にかかりにくい(病院へ予約なしで受診して、その日に診てもらえるのは世界でもまれなことなんだそうです)ですし、料金も高いので、初期症状の段階で病院へ行く人はあまり多くないようですが、日本は本当に初期の段階で病院を受診される方が多いので、医師としては非常にストレスです。様々な病気の可能性があり、それらを区別するためにはどうしたら良いか?ベテランの先生でも悩みます。中には致死的な病気もあります。風邪でしょうと言われてそうではなかった(最悪の場合死亡)という事例があります。なので、医師はまず本当に風邪なのか?が心配になります。薬だけくれたら良い、インフルエンザの検査をしてくれたら良いと言うものではありません。

 特に救急外来を受診された場合には、原則色々な検査をさせていただいています。検査なんていらないから薬出せよ!と仰る方もおられるのですが、こちらの言い分としては、だったら薬局で薬買って様子みて欲しいと思います。最近はコンビニでも風邪薬売っていますから。こんな夜中に病院に来られたんでしょ!重大な病気だったらどうするんですか!?とお伝えして検査をさせていただいています。

 私が学生時代に受けた脳神経外科の講義では、大学病院に入院しているくも膜下出血の患者さんのほぼ半数が初診時に風邪だと言われていると習いました。なので、脳神経外科の講義で風邪の講義がありました。当時はあまり意義が分かっていませんでしたが、良い講義を受けられたと思います。

 特に時間外や夜間に病院を受診される患者さんは、医師が重大な病気を見逃すまいと一生懸命考えていることをご理解いただければ幸いです。だから検査などを多めに行いますし、その為に一人にかける時間が長くなり、待ち時間も長くなるのです。薬だけくれればいいんだからさっさとしろよ!と思われるのでしたら、ご自分でお薬を買っていただけたら幸いです。

 風邪に関して少し専門的になりますが、勉強したい方は、こちらの資料をご覧戴くと勉強になります。研修医の先生方は必読です!私のような年寄りの内科でない医師も読むべきだと思います。


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医者は何を考えて、必要ない、必要あると判断するのか??破傷風予防注射に関して。 [研修医教育]

 病院へ行くと、患者さんは色々な希望を持ってこられるはずなのですが、それに反する事がされてしまい、がっかりしたり、怒ったり、、、、、、、色々な事が起こります。ある先生が、救急外来で最も大切なことは患者さんに満足してもらうことであり、正しい治療をすればそれで良いというものではないと言われていました。言うのは簡単なのですが、なかなか難しいです。

 同じ状態の患者さんを診ても、たぶん100人の医師がいたら、100通りの方針が立つと思います。これは何故なのでしょうか?????

 これは、医師に限らず、皆さんが普段されていることと同じです。例えば、少し前に「今でしょ!」の林先生が、「降水確率40%なら、傘を持って行かない」と言われていました。理由は以下の通りです。

 傘を持っていかないと、雨に濡れてしまうような印象があるが、60%の確率で雨が降らない。
 しかし、傘を持っていくと100%傘を持ち歩くという不快感を体験する。そして60%の確率で意味のない不快感である。

 と言うことです。雨が降っても、林先生は男ですから、少しぐらい濡れても良いでしょう。また、彼の住んでいる東京は、コンビニで直ぐ傘が買えるでしょうし、駅やホテルによっては、傘が無料で借りられます。雨宿りする所もたくさんあるでしょう。だから、降水確率40%なら、傘を持っていかなくてもいいでしょう。

 これが女性なら違うかも知れませんし、折りたたみ傘をいつも持ち歩いているという人もいるでしょうし、車通勤だから傘は車の中に置いてあるし、車から建物まで直ぐだから、傘はいらないと言う人もいるでしょう。

 つまり、雨が降るという出来事が自分に与える影響の大きさ(これをインパクトと言います)とその確率によって判断していると言うことです。医師が患者さんの治療方針に関して下す方針も同じです。利益と不利益の与える影響の大きさとその頻度、それから費用やその介入がどのぐらい容易に行えるか、自分の力でそれが出来るのかどうかなど、考えるべき要因は多くありますが。

 破傷風の話題に関しては以下の通りです。

・日本では宝くじで1等に当たる確率の10倍の確率で破傷風になる。
 破傷風は日本では100万人に一人ぐらいの発症率です。今年はこちらの資料を見ていただければ、10月6日までの時点で99人の人が破傷風になったと報告されています。宝くじで一等が当たる確率は1000万分の1だそうで、破傷風になる確率はその10倍です。少ないと考えることも出来ますし、多いと考えることも出来ます。それは自由です。

・破傷風は大変な病気です。
 破傷風になると10%弱の確率で死んでしまいます。死なないにしろ、激しい痙攣が起こって苦しみます。長期間の入院となり、リハビリも大変です。ある先生が最も診たくない病気の一つだ(治療が大変だから)と言われていました。これに関しては、あまり反論はないと思います。

・破傷風の予防注射は安全です。
 もちろん絶対に不利益がないとは言いませんが、頻度は低いですし、値段も3000円程度です(実費の場合)。効果はエビデンスレベルの高いものはないようですが、破傷風になる人のほとんどは予防注射をしていないようです。

 めったにない病気だから、まあ予防注射なんていらないんじゃないの?と考えることも可能ですが、重大な病気だから予防注射をしておこうというのが良いと思いますし、例えばアメリカの資料ではそうなっています。

 怪我をした時にあせって考えるのではなく、普段から破傷風の予防注射をしておくのが一番良いです。そうすれば、血液製剤である抗破傷風人免疫グロブリンと言う薬を使うべきかどうか悩む必要はありませんしね。

 このブログをお読みになった方は是非、破傷風の予防注射をしていただければ嬉しいです。前回いつ打ったか分からないと言う人は、是非今打っておけば、次は10年後ぐらいで大丈夫です。今まで一度も打ったことがない、分からないという人は、3回やっておけばいいでしょう。よく分からなかったら3回やりましょう。やりすぎは全く問題ありません。


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瞳を閉じて(急性腹症との関連) [研修医教育]

 最近はブログを全然書いておらず、大変申し訳ありません。書こうかなと思うことがたくさんあるのですが、諸事情により、、、、、、忘れっぽくなったためか、ブログを書こうとパソコンの前に座ると、あれ?なんだったっけと思うことが多くなりました( ^ω^ )。

 ということで、今日は研修医教育としましたが、看護師さんも救急救命士さんにも役立つ情報です。まずはこの名曲を。



 診察の時に目を閉じている患者さんが結構おられます。私も時々内視鏡を受けますが、確かに目を閉じていることが多い気がします。しかし、なんと、目を閉じているかどうかで重大な病気があるかどうか分かるというのです。

 急性腹症診療ガイドライン2015によれば(こちらの67ページ、書籍でも同じページです)、腹部の診察の時に、目を閉じていれば、お腹の中には病気がない可能性が高いというのです!closed eye signと名付けられています。平井堅兆候とでも言いましょうか!?
 特異度93.5%、感度33%と書いてありますので、腹部の診察の時に目を閉じている人がいたら(検査陽性)、お腹ではなく別のところを探した方がいいということです。感度が低いので、目を開いていたら(検査が陰性だったら)、お腹に何かあるとは限らないということですが。

 ちなみに、診断の原則は色々ありますが、感染症の青木眞先生が、思いつきやすい臓器や器官以外をまず考えるべきだと以前講義でおっしゃっていました。腹痛で来られた人なら、まずはお腹以外を考えるべきです。心筋梗塞は有名ですし、糖尿病性ケトアシドーシスなども腹痛を起こします。学生時代には脳の疾患でお腹が痛いという症例を講義で聞いた記憶がありますが、一度も遭遇したことがありません。

 ということで、腹部の診察をする時には患者さんの表情はもちろん、目を閉じているかどうかも注目しましょう。

 ちなみに、先日当院に青木先生が講義に来られて、著書にサインを頂こうかと思ったのですが、当直だったので講義も聞けず、懇親会にも参加できず、、、、、、残念でした。


レジデントのための感染症診療マニュアル 第3版

レジデントのための感染症診療マニュアル 第3版

  • 作者: 青木 眞
  • 出版社/メーカー: 医学書院
  • 発売日: 2015/03/23
  • メディア: 単行本



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脂肪乳剤を投与する場合単独ルートでなければならないのか? [研修医教育]

 久しぶりの投稿です。以前もこの話題を書いた気もしますが、何度でも書きます。

 いつものように結論から。脂肪乳剤は側管から投与しても大丈夫です。ただし、添付文書には違反することだけ注意が必要です(と言っても知っておくだけで良いです)。

 脂肪乳剤は、末梢静脈からも投与できる上、カロリーが1g当たり最も高く、その上炭素が少ないので二酸化炭素の排出量が少なくなり、動脈血二酸化炭素分圧が下がる可能性があり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の人にも有用です。浸透圧も等張であり、静脈炎の治療にも使えます(とされているのですが、静脈炎を起こす人もいます)。

 とても有用な輸液製剤なのですが、イントラリポスの添付文書には以下のようにあります。

 本剤に他の薬剤を混合しないこと

 この記載によって、イントラリポスを点滴する場合には、ルートをもうひとつ確保する必要が出てきます。私が知っている範囲ではありますが、ほぼ全ての病院で、薬剤師さんが看護師さんに「点滴ルートをもう一本確保して投与してください」と言いますので、患者さんの腕には針が二つ刺されることになります。

 しかし、患者さんの立場に立てば、何で点滴がすでに入っているのに、抗菌薬とかはその点滴の横から(これを側管と言います)入れてくれるのに、どうしてこの白い点滴もそうしてくれないのか?と思いますよね。
 看護師さんも、エーあの患者さん血管が細くて、やっと入ったのに、また点滴取るの?と思うかも知れません。

 薬剤師さんは、このようなことを知っているでしょうか??それでも単独ルートで行かなければならないのでしょうか?いやこの薬はCV入れてくださいという人がいますが、CV入れるってどんなことか知ってますか??本当にCVじゃないとダメなんですか??添付文書に書いてありますと言う返答が薬剤師として患者さんのためになっていますか?

 おっと横道にそれてしまいました。

 詳細に勉強したい方は、こちらの文献をご覧ください。

文献を読む時間がない方はこちらを。


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電解質をオーダーしたら、NaからCLを引いてみましょう。 [研修医教育]

 最近RCPCに凝っています。以下の本を買ったのがきっかけです。この著者の先生面白いです。一度お会いしてみたいなと思いました。





 RCPCとはこちらの自治医科大学のサイトによれば、「症状や診察所見の情報のない状況で、臨床検査データをもとに、症例の病態を推定しつつ討論することをRCPC(Reversed Clinico-Pathological Conference)
といいます。データから症状や診察所見を推測するという、通常のCPCとは逆方向であることからReversedと冠されています。」とのことです。つまり検査データだけを見て、この患者さんはどんな状態だったのか?を予測するということです。推理小説みたいで面白いです。

 さて、ある雑誌を読んでいるのですが、Na-CLについて強調されていました。

 救急外来では気軽に血液ガスをとることが出来ますが、小児だったり、入院患者さんだったりすると少し敷居が高いかも知れません。しかし、採血で電解質は頻繁にチェックされていると思いますので、Na-CLを計算するだけで、血液ガスをとるべきだという理由になります。

 NaーCLの正常値は30-40程度だそうです。うーん覚えるのが難しいなあ?と言う人は、病院の飲み会などで話しやすい看護師さんの年齢と考えてください(たぶん)。20代の人は私にとってはもう宇宙人みたいですから、、、、、、、、で40歳を超えていると、、、、、、、、これ以上は言えません(^^)。

 まじめに書くと、アニオンギャップ(Anion Gap、以下AG)は以下のように計算されます。

AG=Naー(CL+HCO3)

 よって、変形すると以下のようになります。

NaーCL=AG+HCO3

 AGは12、HCO3は24が正常値(AGは小学生、HCO3はOLの年齢と覚えると良いかも知れません)なので、36前後が正常値となります。

解釈はどうするの???


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外傷が重症かどうか、患者さんの身体の状態だけで決めてはいけません。 [研修医教育]

 自分では常識だと思っていたのですが、そうではないことがたくさんあり、多くの人に知って頂くために色々書くことにしました。何でお前は知らないんだ!と言っても仕方ないですから(私も知らないことばかりですし)。

 今回は高エネルギー外傷についてです。以前どこかで書いた気がしますが、外傷という言葉の意味についてです。外傷は、人体が(我々はヒトを相手にしていますから)何らかのエネルギーを受けたという意味です。例えば、熱湯を浴びてしまったのですが、何ともないと言う状態であっても、熱エネルギーを受けたので、熱傷です。殴られたのですが、何ともないという場合も、打撲という外傷です。
 つまり、外傷(英語ではtrauma;トラウマと言います)は、人間の身体の反応を問わない言葉だという事です。そう言う意味では精神的なトラウマは正しい用語だという事になるでしょう。

 何故こんな事を考えるかというと、外傷は受けたエネルギーが大きいと重症だと考えなければならないからです。

 熱傷は5日ぐらいは進行することがあるそうです。受傷当日は少し赤いぐらいだったけれど、翌日には水疱が出来ているなんて事は良く経験します。
 交通事故で特に異常がなかったけれども、翌日体調が悪くなって検査をしたら脳出血があったとか、腹腔内出血があったとか、そんなことはよくあります。

 それらの外傷患者さんでは、たぶん相当熱いものに触れたのでしょうし、交通事故なら相当のスピードだったのでしょう。外傷では特に受けたエネルギーの大きさを考えなければならないのです。

 ポットで沸かしたばかりのお湯とか、天ぷら油とかなら相当の熱エネルギーでしょう。低温であっても一晩中当たっていたとかならエネルギーは大きいでしょう。駐車場からバックで出ようとした車とぶつかったのと、高速道路で事故をしたのとではエネルギーの大きさは違うでしょう。

高エネルギー外傷という言葉を覚えておいてください。


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新人の頃を思い出しましょう [研修医教育]

 皆さんは何故医療従事者になろうと思ったのですか?時々思い出すようにしましょう。

 忙しいのに、今頃?!そんなの後で良いでしょ!そんなの診れないから断って!

 病院で働いている人には、どんな状況か想像できると思います。しかし、患者さんには分かりません。そして我々は、そんなの大したことじゃないって分かりますが、患者さんには分からないのです。

 熱が40度出ても他に大きな異常がなければ死んだりすることはないと我々は知っていますが、患者さんは知りませんから、40度も熱が出たら頭がおかしくなるのではないかと思いますし、死んでしまうのではないかと思うかも知れません。

 医療従事者になろうと思った時、先ほどのような言葉を言おうなどと思った人は一人もいないはずです。困っている患者さんに少しでも役に立てば、、、、、、、と思ったはずです。

 もちろん、忙しかったり専門外だったり、夜に軽症で来られたら辛いです。でも、そう言う発言をする前に、今の医療知識を得る前の自分はどうだったかを思い出すようにしましょう。

私は以下のようなことを思い出します。


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エビデンスがあるから直ぐやるべきなのか? [研修医教育]

 最近は会ったことありませんが、研修医の先生の中には、我々指導医が、こういう事をした方が良いとお話しすると、「それはエビデンスがないからやってはいけない」と反論する人がいます。色々な意味でムカッと来てしまいますが、まあ、時代だと思って耐えています。もちろん勉強になることも多いので、ムカッとこないような努力は大切ですね。

 さて、エビデンスがあるからやった方が良い、ないからやってはいけないと言う考えは正しいのか?についてが今日のテーマです。

 最初に表現の問題です。「エビデンスがないからやってはいけない」と言う言い方ですが、正しく?言えば「有用だというエビデンスがないからやってはいけない」と言うべきでしょう。しかし、有用でないと言うエビデンス、あるいは危険だというエビデンスがないのであれば、やっても良いのかも知れません。

 それから有用だというエビデンスがあると言うことですが、これはたぶんですが、あることを行うと、行わないよりも1%以上良いことがあったと言う意味です。医学的には絶対リスク減少というのですが、それが1%以上差があれば意味があるとされています。

 例えば、日本合コン医学会において、合コンに参加する場合、最新型のApple Watchを身につけて参加すると良いというエビデンスがアメリカから出たとします。あくまで例えなのですが、合コンにApple Watch??はあ??って印象は大事です。正解です。論文ってそんなものだと思ってください。もちろん、そう言った小さな事の積み重ねが大発見に繋がることもあるので、馬鹿にしてばかりいてはいけませんが。

 Apple Watchを身につけていたら、お持ち帰り率が48%だったのですが、そうでなかった場合46%だったとします。2%の差があります。病気の場合には、お持ち帰れない率を重視しますので、Apple Watchを身につけていないと54%の人が合コン不成功(お持ち帰れない)なのですが、最新型のApple Watchを身につけると不成功率が52%に減ります。これを絶対リスク減少と言い、これはApple Watchをつけて合コンに100回参加すると、そのうち2回だけ、Apple Watchを身につけていたために成功を勝ち取るという意味です(100÷絶対リスク減少%から計算されるNNTという指標です)。このNNTと言う値が100を切っていれば、医学的に有用だとされています。少ないほど良い値で、今回であれば、50です。たぶんですが、NNTが100以下の場合には、それが有用だというエビデンスになります。

ちょっと待って?!


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突然薬を中止するのは辞めましょう [研修医教育]

 病院で患者さんが急変する率が高いのは4月だと聞いたことがあります(エビデンスレベル未確定)。

 理由は、患者さんを担当する医師が交代したため、今まで行ってきた治療を急に変えるからです。別の医師の治療は、時に「???」と思うことがあります。これはアイドルの趣味と同じようなものです。私はDD(Dredemo Daisukiの略で、要するに女性なら誰でも良い??と言う事です)なので、あまり思いませんが、何でこんな治療をしてるんだ!!ありえない!こっちの方が良いでしょ!と思うのです。思うだけなら、アイドルの趣味を変えさせるなら、大きな問題はないでしょうが、治療の場合には、下手をすると患者さんが死んでしまう事もあります。

 患者さんが落ち着いているのに、行われている治療を突然変更することは、研修医の時に指導医から絶対やってはいけないことだと言われたので、良く覚えています。

 突然治療を変えることは、以下のような理由で良くないので絶対にやめましょう。理由はいつもの通り三つです。

・患者さんの前医に対する印象を悪くしてしまう。場合により自分の印象も悪くなります。
・患者さんの体調が悪くなることがあります。
・上記二つを忘れないことです(三つ目思いつきませんでした(^^)。)。

 理由を書きます。

 まず印象についてですが、患者さんと医師の関係は信頼関係で成り立っています。医師は患者さんが自分の示した治療方針に納得して、薬ならばちゃんと飲んでくれるものと信じて対応します。患者さんは、目の前にいる医師はきちんと勉強していて、自分のために必要な治療方針を示してくれていると信じて治療を受けます。その信頼関係を崩してしまうと、治療は上手く行きません。今まで診ていた医師は時代遅れの治療をしていた、あるいは間違っていたと思ってしまったら、一体どうなるのでしょう?是非避けたいですね。

 しかし、本当に治療が間違っていることもまれですがありますので、その場合には、「今まで診てもらっていた先生の治療は最高のものなのですが、あまりあなたにはあっていないようなので別の薬を試してみましょう」とか「新しい薬が当院でも採用されて使えるようになったので」などと説明するのが良いでしょう。

 これは担当する医師が変わった時だけでなく、普段はクリニックにかかっている患者さんが病院を受診した時なども同じです。私の場合には、貧血と言うだけで鉄剤を処方されていて、フェリチンが500を超えているような患者さんを担当させて頂くことがありますので、鉄は充分補充されていますので、別の原因を探してみますなどと説明して、鉄剤を中止しています。退院する時の紹介状には、「先生の治療により貯蔵鉄は充分な量になっていましたので、鉄剤は中止とさせていただきました」と書いています。

急に中止するのは良くないです。


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