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飛行機の中でも対応が出来るように [研修医教育]

 私もそうですが、勤務医は非常に恵まれた環境であることを忘れがちです。

 患者さんを紹介してくださった開業医の先生や他院の先生に対して、「はあ?心電図もとってないの?」「なんで金曜日の夕方に紹介してくるの?もっと早く紹介してよ!」「こんなの数日前から分かって当然でしょ!」とか言ってしまいます。その先生の病院では心電図の器械が壊れていた(これ有名な寺沢先生がよくおっしゃることのようです)かも知れませんし、振り返れば数日前に紹介すべきだったかも知れませんが、「はあ?」とか言われるからと恐れて遠慮していたら悪くなったのかも知れません。

 不利な環境での医療がどれほど大変か、常に忘れないように、そして自分の働く病院でも、CTが壊れたり、動脈血ガス分析の機械が壊れたり、いつも使っている薬の在庫が切れていたりしたらどうするか?たまに考えるようにしています。そして、この論文を読み返す(と言うか見るだけ?)ようにしています。残念ながら3ページ目がないのですが(3ページの論文です)。1995年の論文ですので仕方ないですか。BMJに掲載されたものですが、Augustなのでクリスマス特集ではありません。

 飛行機に乗る前にバイクで事故に遭った女性が、飛行機の中で左の緊張性気胸になったそうです。胸腔ドレーンを入れたとのことです。聴診や打診は飛行機の中では使えません。エンジン音がすごいからです。気管が右に偏位していたとのことです。やばいですよね。そしてよく診断できたと思います。

 機内には、メスや局所麻酔薬とチューブ(昔聞いた話では尿カテ)と酸素投与のチューブはあったそうです。気胸の処置には他に何が必要でしょうか?????こちらの写真をご覧ください。

kinaiop.jpg

 これは処置の際に利用したものです。

 色のついたお酒っぽい飲み物は、Mr. Boston five star brandyと言うブランデーです。消毒に使ったそうです。
 ハンガーはブランデーで消毒し、スタイレットとしてチューブの中に入れたそうです。現在はスタイレットを用いることは推奨されていませんが。
 テープは固定に、evianは、キャップに二つ穴を開けて、water sealの代わり、メラサキュームやプルアーエバックの代わりです。理屈を理解していないと作れないですよね。

 そして、この先生は整形外科の先生だったとのことです。イギリスのお医者さんは世界一優秀だと聞いておりますが、さすがです。

 飛行機の中で実際に対応するべきかどうかは色々ですが、常に何か足りない状態だったらどうするか?を考えています。こちらの文献には、世界的にも飛行機内で対応した医師に対する訴訟はほとんどみられないと書かれています。

 周囲の乗客に色々言われてトラウマになったという事例ももちろんあります。

 こちらのスーパードクターKの大垣先生の話も好きです。乱文乱筆お許しを。


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