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ガイドラインは作られた理由を理解しましょう [医学関連]

前回の記事の関連です。

今世の中には様々なガイドラインが存在していて、ガイドラインを知らないと医療が出来ない時代になっています。

簡単に言えば、ガイドラインとは、以下のような物です。日本合コン医学会のガイドライン(架空のガイドラインです)にはこうあります。

合コンでは一番左に座ることを推奨する(推奨度低、エビデンスレベル未確定)。

これを見て、そうか!合コンでは一番左か!と考えてしまいますが、何故そう言うガイドラインになったのか、そして、推奨度などはどうなのかを気にします。ガイドラインには必ず解説文があります。それを見てみましょう。

人間は視線を左から右へと移動させる傾向がある。合コンでも相手を左(自分から見たら右)から右へとみていく。
また、人間は最初と最後はよく覚える傾向にある。
よって、合コンでは一番最後に視界に入る一番左に座るのが最も印象に残り、成功率(性交率)が高いと考えられる。

なるほどと思う部分もあれば、絶対そうとは言えないんじゃないの?と言う事もあります。
ある先生が言われていましたが、某CDCのガイドラインは、研究者ばかりのメンバーが会議室で作成しており、現場の人はほとんどいないそうです。事件は現場で起きてるんだ!と言う名台詞(もう古い?)があるように、論文だけで全てが決まるはずがありません。
また、10対10の席であれば、一番右に超美人がいたら、きっと一番左にいたら話も出来ず成功しません。印象に残るのは最初と最後とあるのに、何故最初は採用しないの?と言う疑問もあります。
また、合コンは毎回条件が変わります。席替えだってあるでしょう。よって、ガイドラインが全てではありません。その都度様々な知識と経験を駆使するのがプロという物です。

さて、酸素投与についてです。


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一酸化炭素中毒を疑ったら否定しないようにしましょう [医学関連]

まじめな内容はこちらのnoteに書きましたのでご覧ください。

一酸化炭素中毒は比較的多い中毒で、不完全燃焼が起これば容易に発症します。一酸化炭素は酸素の200倍近くヘモグロビンという酸素を運ぶタンパク質と結合しやすいそうです。少量の一酸化炭素でも死に到る可能性があります。密閉された空間で起こるような印象がありますが、例えばバーベキューを外でしていて発症したという例もあります。

よって、それほどまれではなく、重大な疾患ですので、疑ったら直ぐ治療しなければなりません。救急現場で出来るのは酸素投与ぐらいですが、酸素をするだけで一酸化炭素の排泄がかなり促されます。酸素投与しか出来ないという感じではなく、最高の治療をしている!という感じです。

救急隊の方は現場で焦げた臭いがしたら、一酸化炭素中毒を疑って酸素を投与して病院へ搬送するのが原則です。是非お願いします。

しかし、そうしない人が一定数います。

どうしてそうなるのでしょうか?


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アセチルシステイン内服液は初回0.8mL/kg(体重50kgなら2本)投与しましょう [医学関連]

 先に結論を書いておきます。アセチルシステイン内服液17.6%を投与する場合、

初回 0.8mL/kg(体重50kgならほぼ40mL、つまり2本)
その後 0.4mL/kg(体重50kgなら20mL、つまり1本)

 投与しましょう。

説明を読みたい方はこちら。


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虫垂炎と診断したら抗菌薬治療でいいのか? [医学関連]

 虫垂炎の保存的治療については議論があるのですが、最近の文献では、合併症のない単純虫垂炎(腹膜炎や膿瘍などがない)では保存的治療を第一選択とするべきだというものが増えてきています。

 例えば、最新のNew England Journal of Medicineの文献(N Engl J Med 2021; 385:1116-1123、DOI: 10.1056/NEJMcp2107675)には、糞石のない単純性虫垂炎にはメトロニダゾールとセフトリアキソンか、メトロニダゾールとカルバペネムを静注し、その後セフゾンの内服という方法が良いと書かれています。カルバペネムを虫垂炎に使うとか、吸収率が悪いからほとんど使うべきでないと言われている第三世代のセフェム系抗菌薬が推奨されるなんてのもビックリ(腸管内から抗菌作用が届くと言うことなのでしょうか)です。

 しかし、本当に抗菌薬治療でいいのか?については、良く考えなければなりません。UpToDateの"Management of acute appendicitis in adults(成人の急性虫垂炎の治療)"と言う文献(この文献の最終レビューは先月なので、さっきの文献はまだ読まれていないと思いますが)には以下のようにあります。

 Despite evidence that antibiotics alone may be sufficient for managing the initial presentation of appendicitis, we suggest against its routine use for adult patients presenting with uncomplicated appendicitis. We feel that its routine application in clinical practice is premature because of many unanswered questions (eg, patient selection, recurrent attacks, and missed neoplasm).

日本語がいい方はこちらを。


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低ナトリウム血症を示していたのに、本当は高ナトリウム血症だった症例 [医学関連]

 数日前からの続きです。今回はこちらの症例報告を紹介します。文献のケース4です。

 簡単に書くと、糖尿病性ケトアシドーシスで来院された患者さんが低ナトリウム血症を示していたのだが、本当は著明な高ナトリウム血症であったというものです。

 6歳の男児。糖尿病で治療中だった。腹痛と嘔吐が2週間続き、意識障害をきたしたため来院。明らかな脱水所見(これはhypovolemiaと思います。文献にはdehydrationとあるのですが)あり。
 来院時の血液検査でNa86、K2.7、BUN18、クレアチニン6.3、血糖666mg/dL、浸透圧415mmol/L。生理食塩水の点滴、インスリン投与で治療を開始ししたが、33時間後に脳出血を起こして死亡。
 初診時の採血で総コレステロールが1598mg/dLと著明に上昇していたが、これと低ナトリウム血症の関連について考慮されなかった。


この症例から学べることは?


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高脂血症や高タンパク血症がある場合のナトリウムの補正式 [医学関連]

 偽性低ナトリウム血症という名前の病気?があります。本当の病気ではありません。血液検査でナトリウムを測定したところ低値を示しているのですが、これは検査のエラーであり、患者さんの体内のナトリウム濃度は正常だという病態です。当然ですが、低ナトリウム血症をみた時に、必ず除外しなければなりません。偽性低ナトリウム血症は治療不要ですので。

 結論から先に言うと、これは高脂血症や高タンパク血症で認められる(それも激しい場合)ものです。理屈を説明するのは私には難しいのですが、こちらの文献を読んでいたければ幸いです。蛋白や脂肪は浸透圧には影響せず、また水分ではないと言うことのようで、蛋白や脂肪が増えると分母が増えるからナトリウム濃度が低下する(ように見える)と理解すれば良いかも知れません、、、、、、知らんけど。

pseudo.jpg

 さて、先ほどの文献にはナトリウム値の補正係数が載っています。

 脂質異常症;TG460mg/dLの上昇につき1mEq/Lの低下
 高蛋白質血症;TP1g/dLの上昇につき1〜1.5mEq/Lの低下

 相当の異常でなければ問題とはならないでしょうね。最大でもNaが2mEq/L低下する位でしょうか。血液疾患とか代謝異常の患者さんを良く診る先生は、もっとすごい異常があるのかも知れませんね。例えば、総コレステロールが977mg/dL (その時のNaは129mmol/L)4091mg/dL(Naが101mmol/L)という報告があるようです。

他の補正式を知りたい方はこちら。


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腎不全の患者さんにおける浸透圧正常の低ナトリウム血症は偽性低ナトリウム血症か? [医学関連]

 久しぶりの更新です。少し長文です。

 今回は浸透圧が低くない低ナトリウム血症についてです。一般的にナトリウムが低くても浸透圧が正常、あるいは高ければ、ナトリウムに対する治療は不要です。ナトリウムが低い場合に問題となるのは血清浸透圧の低下によって細胞内の水分が増え、特に脳浮腫をきたすことが問題だからです。浸透圧が正常なら脳浮腫は起こりません(電解質などの異常によって)。

 しかし、ややこしいことに、BUNが高い場合には注意が必要です。つまり腎不全があって低ナトリウム血症がある場合です。

 最初に浸透圧について簡単に説明します。
 細胞膜は半透膜という特殊な構造になっており、自由に出入りできる物質と、そうでない物質とがあります。細胞膜を自由に出入りできない物質(有効浸透圧物質と呼ばれているようです)が細胞外で減ると、浸透圧に差が出来、細胞外の浸透圧が低くなります。すると浸透圧を一定にしようと、浸透圧の差がなくなるまで細胞の外から中に水が移動します(水は細胞膜を自由に出入りできます)。そうすると細胞の容積が増えます。細胞膜を自由に出入りできる物質が細胞外に増えても、その物質が細胞内に入るだけで、水分の移動は伴いません。
 浸透圧は有効浸透圧物質だけで作られるのではないため、有効浸透圧物質だけで計算した浸透圧を張度(tonicity)と呼びます。一般的には以下のように求めます。

浸透圧=2×血清Na(mEq/L)+血糖(mg/dL)÷18+BUN(血清尿素窒素)÷2.8
張度=2×血清Na(mEq/L)+血糖(mg/dL)÷18

 窒素(血液検査では尿素窒素として測定します)は細胞膜を自由に通過するため、張度には影響しません。また、浸透圧は直接測定も出来ます。一般的には計算で求めた浸透圧と測定した浸透圧はほぼ同じです。

 さて、いつものように、水戸のご老公、つまりUpToDate "Causes of hyponatremia without hypotonicity (including pseudohyponatremia)"(日本語は「張度低下のない低ナトリウム血症(偽性低ナトリウム血症を含む)の原因」)からです。最近読んだ資料で、原文はもちろん、日本語訳を載せるのも著作権上ダメみたいなので、今回からは私のまとめだけ。

勉強したい方はこちら。


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尿管結石になったらジェットコースターに乗りましょう [医学関連]

 今回はやや医学的ではないお話です。

 尿管結石という病気があります。腎臓で石が出来て、それが尿管などの細いところに詰まって尿管に尿がたまって尿管などが拡張し痛みが出る病気です。私はなったことはありませんが、痛みは相当激しいようで、救急車で来る患者さんなどは痛くて痛くて暴れていたり、痛い痛いと大声を出すことがあります。早く痛み止めを打つようにしていますが、逆に腹痛の患者さんが暴れていたら安心するのです。
 もし、腹膜炎などを起こしていたら、動いたり、声を出したりすると余計痛い(腹膜刺激症状と言います)ためにじっとして小さな声しか出しません。よって、暴れていたり、大声を出している腹痛の患者さんが来られたら、救急医としてはほっとします(すみません)。頻度的に尿管結石のことが多いのです。尿管結石で命を落とすことはまずありませんし、緊急治療は簡単なので安心できるのです。もちろん、大動脈瘤などの病気だったりするので、注意深く他の病気がないかをチェックはします。

 さて、尿管結石の発作による痛みは、尿管結石が膀胱に落ちたら消えます。よって、病院では点滴をしておしっこをたくさん出して石が落ちるのを待ちますが、石がなかなか落ちない人もいます。その場合には専門の泌尿器科の先生に相談するわけですが、遊園地が近くにあれば、ジェットコースターに乗っても良いようです。イグノーベル賞を取ったというこちらをご覧ください。

 ビックサンダーマウンテンに60回乗ったら良いと言うことです。ジェットコースター好きな人にはたまらない治療ですが、実は私はジェットコースターに乗れないので、私は痛みを我慢します、、、、、、、たぶん。ジェットコースターに乗ると気持ち悪くなってしまうのです。たぶん、人生で3回ぐらいしか乗ったことがなく、毎回必ず気分が悪くなりました。

 尿管結石をお持ちの方は浦安に引っ越した方が良いかも知れませんね。

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昨日の症例報告をStewart法で解析 [医学関連]

 昨日の患者さんをStewart法で解析してみます。やり方はまだよく分かっていないのですが、以下の本に従いました。


酸塩基平衡の考えかた: 故(ふる)きを・温(たず)ねて・Stewart

酸塩基平衡の考えかた: 故(ふる)きを・温(たず)ねて・Stewart

  • 作者: 丸山 一男
  • 出版社/メーカー: 南江堂
  • 発売日: 2019/02/23
  • メディア: 単行本



 まずナトリウムとクロールは血液生化学検査のデータを用います。

(1)Na-CLを求めます。
 Na-CL=137−97=40
 正常値は36程度なので上昇しています。また40以上は通常代謝性アルカローシスがあると考えます。こちらの文献をご覧ください。
(2)SID(strong ion difference:強イオン差)を求めます。
 SID=HCO3+2.8×Alb(g/dL)+0.6×リン(mg/dL)
 SID=19.56で低下しています(リンは正常の3と考えました。上がっている可能性も高いですが、0.6をかけるので、6だったとして2弱上昇するのみです)。
(3)SIDギャップを求めます。
 SIDギャップ=Na-CL−SID=20.44
 正常値は±2程度で、こんな増えているのは初めて見ました。これは酸の増加を示します。これだけで酸の増加による代謝性アシドーシスと診断できます。
(4)PCO2の評価
 PCO2=HCO3+15
 PCO2=HCO3+15=8.8+15=23.8
 測定値の19.6より高いので呼吸性アシドーシスがあると考えます。これについては色々意見があるとは思いますが、本の中ではどの計算をしても大きな差はないと書かれています。
(5)アルブミンとリンを評価
 アルブミンが低ければ代謝性アルカローシス、リンが低ければ代謝性アルカローシスがあります(どちらも高ければ代謝性アシドーシスと考えます)。この方は低アルブミン血症があるので、代謝性アルカローシスがあります。リンは測定されていないので、評価不能です。
(6)CLを補正
 補正CL=CL×140÷Na
 補正CL=97×140÷137=99
 CLが低いです。SIDもCLも低い場合の解釈は書かれていないのですが、酸の増加によるものだと思います。SIDが高くCLが低い場合には代謝性アルカローシスです。もしかしたら、代謝性アルカローシスもあるのかもしれません。
 Stewart法には入っておりませんが補正HCO3(HCO3+AG−12)を求めると31となるため、代謝性アルカローシスもあると考えて良いのでしょう。

上記より
・酸の増加による代謝性アシドーシス
・低アルブミン血症による代謝性アルカローシス
・CL欠乏による代謝性アルカローシス
・呼吸性アシドーシス
となります。

血液ガスデータを使って計算してみます。


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テレビを見た後心臓が止まったらテレビのせいなのか? [医学関連]

 こちらの厚生労働省の統計を見ると令和1年(今見られる最新の情報)には、218万4407人の方が亡くなっています。1日6000人程度になります。日本の人口が1億2427万人とすれば(出典が不明ですが、こちらのWikipediaより)1.8%程度の人が毎年亡くなります。

 また、突然の心停止は40歳以上の成人1000人が1年生きていると1回発生するそうです。40歳以上の人は人口の半分と仮定すると2000人の人が1年生きていると、そのうち1人の方は突然心臓が止まります(全員が亡くなるわけではなく、助かる人もいます)。日本の人口は1億2427万人なので、1年間に62135件の突然の心停止が発生します。1日170件です。

 テレビを見ていても、ご飯を食べても、散歩しても、トイレに行っても、お風呂に入っても、瞬きをしても、コンビニでパンを買っても、こうやってブログを書いても、その後偶然に突然心臓が止まることがあります。

 それだけが言いたくて書いた記事です。




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