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造影CT検査前にクレアチニン値を見る必要はありません [医学関連]

 造影CTを撮像しようとすると、「先生クレアチニンを待ちますか?」と言われます。私は待たなくて良いですと言っています。今回は待つべきなのか?待たなくて良いのか?と言うお話です。

 まず、時間に余裕がある(患者さんの状態も、こちらも)場合には、待った方が色々無難でしょう。造影剤の添付文書には腎機能が悪い人には注意が必要とありますから、腎機能もチェックしないで造影したから、、、、、、と言われてしまいます。

 時間に余裕がない場合には、もちろんクレアチニンの採血はしますが、結果が出るのを待つ必要はありません。緊急対応が必要な疾患を疑ったら、躊躇なく造影CTをしましょう。

 以下に理由を述べます。

(1)造影剤腎症が存在するというエビデンスはない。
(2)クレアチニンなどの血液検査は、緊急時には腎機能の評価として正確ではない。
(3)私はほぼ全例造影CTを撮っていますので、採血結果を診る必要がない(造影をするかどうかの判断に使っていない)。

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検査は必須のものではありません [医学関連]

 新型コロナウイルス関連でもうひとつ。

 新型コロナウイルスの検査をしてもらえないと言う報道がされているようですが、何が問題なのか考えてみましょう。

 検査をしてもらえなくて困ると言う人は、検査をして欲しいことが直接の目的ではなく、新型コロナウイルスに感染して死にそうになりたくないとか、人に感染させたくないとか、そういう気持ちのために、結果が知りたいのだと思います。

 最初に結論を言うと、検査をルチンに行う必要はありません。

 新型コロナウイルスに感染していると診断されても、皆さんの行動に変わりはありません。何しろ治療法がありませんから、死にそうにならない方法は今のところありません。また、人に感染させたくないのであれば、咳エチケット、マスク着用、人の多いところに行かないなど、すでに皆さんがされている事をするしかありません。昨日書きましたが、検査が陰性であっても、偽陰性の可能性もありますので、新型コロナウイルス感染によって重症化しないと言えませんし、何もしないで歩き回って良いとも言えません。

 検査はその結果によって行動が変わるから行います。例えば、合コンで年齢とか職業とか、長男かどうかなどを聞くのは、それによってアタックするかどうかを考えるから聞くんですよね。そう言うの気にしないという人であれば、雑談として聞くかも知れませんが、気にはしません。

 今のところ新型コロナウイルスの検査によって行動は変わりませんので、ルチン検査の必要はない(強く疑われる人以外は)と考えられます。ルチンとは、取りあえずビールのような行動です。熱が出ただけでコロナウイルスの検査をすると言う行動です。

 通常の診療でも、大切なのは医者の判断です。インフルエンザであれば、お話を伺って、診察をして、必要ならば検査をして、その情報を総合して判断するのが医者の役目です。インフルエンザの検査は採取した部位(通報は鼻の奥)にインフルエンザウイルスの残骸があったと言うことを示すだけです。インフルエンザの検査が陰性であってもインフルエンザの治療をすることがあります。医師の総合的な判断が必要なのです。検査をして、すぐに診断、治療と行くわけではなく、何段階もの医者の判断があって進んでいくのです。

 例えば、皆さんがコーヒーを飲むとします。以下のようなことをするでしょう。

・蛇口をひねって電子ケトルに水を入れ、電子ケトルのスイッチを入れます。
・コーヒーカップを出して、コーヒーの素?を入れます。
・お湯が沸いたら、コーヒーカップにお湯を入れます。
・スプーンでかき回して飲みます。

 これは無意識に色々な判断が下されて行われています。
 蛇口が高温になっていて触ったらやけどをするかも知れませんし、蛇口から出てくる水に毒が入っているかも知れません。コーヒーカップは夜中に誰かが毒を塗ったかも知れませんし、コーヒーの素はメーカーが間違えて青汁を入れたかも知れません。電子ケトルは壊れていて、お湯が沸いてないかも知れません。
 しかし、これら全ては、大丈夫だろうと無意識に判断しているわけです。蛇口をひねったら変な臭いがしたら、大丈夫かなあ?と調べますよね。それと同じで、医師も患者さんの状態が明らかにこうであると判断できれば検査はしません。うーん、あやしいなあ?と思った時だけ検査をします。

 また、水道水が100%安全であるとは誰も考えていませんよね。治療も同じで、この患者さんは100%この病気であると確定しなければならないとなると、治療は出来ませんから、80%位の可能性かなあ?と言う段階で治療をしても良いです。20%の可能性で治療をしたりすることもあります。新型コロナウイルスの治療薬がもしあれば、基礎疾患があるとか高齢だという患者さんには、熱が出てインフルエンザの検査が陰性であれば、治療を開始するかも知れません(しかし、残念ながら新型コロナウイルスの治療薬は今はありません)。

 何でもかんでも検査をすべきというのは、コーヒーを飲むのに、蛇口の温度測定から始めるような行動と同じなのです。蛇口が熱くなっている可能性は非常に低いですし、もし熱かったとしても、ちょっとやけどをするぐらいです。だから蛇口の温度測定をする事はまずありません。医療現場の検査も同じです。頻度とその出来事の重大性、検査にかかる費用とか侵襲(痛いことをするかどうかとか)など、色々なことを考えてしています。

 検査をしなくても治療は出来ますのでご安心ください。医師が検査の必要はないと言った場合には、あきらかに状態が判明しているか、検査をしても行動が変わらない、あるいは検査に不利益があって、検査の利益が不利益を上回らない場合などです。

 書いていて上手くまとめられませんでしたが、分からないことがあれば気軽にコメントに書いてくだされば対応させて戴きます。

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検査を全員にする必要はありません [医学関連]

 新型コロナウイルスのPCR検査をすべきかどうかについて色々情報が流れています。良い機会なので、是非検査の性質について知って戴きたいです。以前にもこの検査の性質については書いているのですが、何度書いても良いと思うので書きます。

 感度(sensitivity)と特異度(specificity)という言葉が出てきます。検査の正確さを示す指標の一つです。これは以下のようなことをして算出します。以下の例えは、分かりやすいようにと考えただけで、差別などの意味合いはありません。また、検査はその程度のものだとお考えください。ブラジャーのサイズがBカップ以上なら女性であると言う検査を例に考えます。この例えがお嫌いであれば、以下は読まない方が良いと思います。

 男性のシンボルがついている人は男性、付いていない人は女性と定義します。こう言った定義は大切です。例えば、肺炎の研究ならば、この様な条件を満たした人を肺炎とした等と明らかにしなければなりません。
 そして、ある病院の職員全員に「ブラジャーのサイズを測定し、Bカップ以上ならば女性である」という検査をしたとします。その病院には、職員が1000人いて、内訳は男性が400人、女性が600人だったそうです。検査をしてみたところ、以下のような結果が出たとします。

                女性   男性  合計
Bカップ以上(検査陽性)    540    40  580
Aカップ(検査陰性)       60   360  420
  合計            600   400  1000

 感度は病気である(この場合、男性のシンボルがない人、定義上女性)人のうち、検査で陽性となる人の割合で、540÷600=0.9です。90%とも言います。
 特異度は病気でない(この場合、男性のシンボルがある人、定義上男性)人のうち、検査で陰性となる人の割合で、360÷400=0.9で、90%です。この感度、特異度は検査によって様々です。一般的にどちらも高い検査はあまりありません。例えば、Dカップ以上を女性とすると言う風に検査の閾値を変えれば、特異度は上がりますが、感度が低下します。検査が陰性だった場合に、病気でないと言える可能性が低くなります。

 感度、特異度は病気がある、ないことが分かっている集団で、どのぐらい病気の診断が出来るかという指標です。病気の可能性(確率)が分かっていると言うのがミソです。

 しかし、我々医師が知りたいのは、病気の可能性が分からない人での病気の可能性です。目の前にいる人が病気かどうかを知りたいのです。検査をしたら陽性だった、この人が病気である可能性はどのぐらいか?を知りたいのです。上の表であれば、検査をする前は60%だった可能性(これを事前確率と言います)が、検査が陽性であれば、540÷580=93%になりますが、これは事前確率が分かっているから出た数字です。

 事前確率が何%かは色々な条件で変わります。上記の検査を、男子校でやったとしましょう。生徒も職員も含めて1000人いて、女性は20人だったとします。女性である可能性は2%です。

                女性   男性  合計
Bカップ以上(検査陽性)     18    98   116
Aカップ(検査陰性)       2    882  884
  合計            20   980  1000

のようになりますので、検査が陽性だった場合、18÷116=15%で、85%の人は偽陽性です。2%の可能性が15%に上昇していますので、可能性は高くなっていますが、病気の可能性が15%あると言われて、私は病気なのか!と思えますか?

 他にも女性と男性の割合を色々変えて計算して戴ければ分かりますが、事前確率が低い場合、検査が陽性であっても、偽陽性が多いことが分かります。医師は色々な話を聞いたり、診察をしたりして、事前確率を推定し、高いと思われた場合に検査をしています(そうでない場合ももちろんありますが)。上記の例で言えば、女性が多そうな集団だと考えた場合にのみ検査を行うと言うことになります。

 新型コロナウイルスのPCR検査は感度、特異度がもっと低い(感度や特異度が90%もある検査はそんなにありません)と言われています。むやみに検査をしても意味がないことがお分かりいただけたでしょうか。それから、新型コロナウイルスに感染していることをどのように定義したのかもチェックすべき項目です。私はその定義を知りません。ある病原体に感染していると判断するのは意外に難しいです。病原体がいただけでは感染と言いませんし、患者さんが苦しんでいる病態が病原体のせいだと確定することもなかなか難しいです。感染とは病原体が体に侵入して増殖し、悪さをしているということなのですが、それを証明するのは難しいです。

 新型コロナウイルス感染の可能性が高い(例えばクルーズ船に乗っていたなど)場合、PCR検査が陰性であっても偽陰性の可能性が高いです。逆に新型コロナウイルス感染の可能性が低い場合(たぶん読んでいただいているあなたはそうでしょう)に、PCR検査が陽性であっても偽陽性の可能性が高いです。検査が陰性だったから、自由に行動していいとは言いがたいですし、検査が陽性だったから感染しているとも言いがたいのです。

 上手く説明できたかどうかは分かりませんが、理解できなくても大丈夫です。お医者さんでもこの事を理解できない人がおられますので。

 また、感度を別の意味で使っている人もいますので、言葉の定義を確認する必要があります。例えば、感度を検出感度と言う意味で使う人がいます。が、感度と検出感度は別です。上記の例で言えば、検出感度はBカップ以上とかDカップ以上ということであり、感度は、検出感度を設定すると、女性のうち検出感度以上になる人の割合です。

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マスクが必要かどうか悩んでいる人へ [医学関連]

 新型コロナウイルスの流行のため、マスクが手に入らない状況が発生しているようです。マスクが欲しいのに手に入らないと困っている人がおられるようです。

 先に結論から言いましょう。マスクをした方がいいのか迷う方はマスクはいりません。勇気を持ってマスクは買わないようにしましょう。家にあるのなら、必要な時のために保存しておきましょう。
 もし、感染が怖いのなら、不要な外出は控えましょう。

 以下解説です。

 通常のマスクは、感染した人が他の人に感染させる可能性を低くする効果があるようです。目の前に病原体を排出する人がいたとして、自分がマスクをしていても、していなくても、自分が感染する可能性に変わりはないというデータがあるようで、一般の人はマスクをする必要はないと言われています。

 大切なことは、「自分が感染することを予防するためにする必要はない」と言うことで、他の理由があればマスクをしても良いです。マスクをしたから感染率が高くなることもありませんし、喉が乾燥するからとか、花粉症がひどいからとか、今日はお化粧するの忘れたからとかの理由があればマスクをしても良いです。やっぱり、私は人に感染させることも絶対嫌だとお考えになるのであれば、マスクをしても良いです。
 マスクをしていると、鼻や口を触ることが少なくなるので、手についた病原体が感染する可能性は低くなるかも知れません(が、マスクをしていても手や口は触るという人もいます)ので、マスクをしたらそう言う手段による感染は減るのかも知れません。

 よって、あなたはマスクをしていないからダメだとか、あなたはマスクもしていないなんて非常識ねとか、そう言う言葉を発しないようにしたいですね。日本はそう言う風潮になりやすいので困りますね。

 それから、このように多くの人がマスクを手に入れようとすると、必要な人にマスクが届かない事態が容易に発生します。マスクはそれなりに量産が出来るとは思いますので、そのうち手に入りやすくなると思いますが。

 もし、これがワクチンだったり、薬だったり、検査だったりしたらどうでしょうか?我々医師は、このような状態にならないよう、出来るだけ本当に必要な人にだけ出すようにしています。インフルエンザの検査も同じです。検査には検査のキットが必要で、そのキットはそんなにたくさん手に入るものではありません。よって、熱がちょっと出たから、インフルエンザが心配だからと言う理由だけで検査をしません。もし検査のキットがなくなったら(2000年ぐらいだったと思いますが、本当に検査キットがなくなりました)必要な人に検査が出来ません。

 医師は目の前のあなたのことだけでなく、今後同じような症状で来るかも知れない人や、国の財政とか、そういう事も考えて対応していますので、ご理解いただけたら幸いです。


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少量の血液で癌の診断が出来ることがいいことなのか? [医学関連]

 詳しくは知りませんが、血液検査で癌の可能性が分かる検査が出来たそうです。すごいことだと歓迎の意見もありますが、、、、、、、、

 検査は、偽陽性というのがあります。健診で行う場合には、この危険性を考えておく必要があります。つまり、特に健康で何も問題ない人で癌の血液検査をしたところ、何かの癌があると思われる(そう言う結果であることが多いです)と判定されたとします。色々な精密検査をしたのが異常が見つからず、例えば20年後も癌が見つからなかった場合、良かった良かったとなるかと言えば、患者さんの不安は20年間続くし、その後も続くかも知れません。また、精密検査をしたことで重大な合併症を受けるかも知れません。とすると、その健診の検査は受けない方が良かったのではないか?となるわけです。

 例えば、1000人に一人の人がかかる病気があるとします。確率は0.1%ですね。検査をするとその可能性が変化します。検査が陽性(病気がある可能性が高い)となった場合、その可能性がいくらになるのか計算してみましょう。検査の精度は感度と特異度で表されます。ある集団(例えばA市の住民全員)で、あらかじめ別の方法で、その病気の患者さんの数を調べます。そして、その検査を全員に行い以下のような表を作ります。

      病気がある 病気がない
検査陽性    a     b
検査陰性    c     d

 感度は病気がある人のうち検査が陽性になった人の割合(a/a+c)で、特異度は病気がない人のうち検査が陰性だった人の割合(d/c+d)です。
 本来は、検査が陽性(あるいは陰性)だった場合の病気の確率(つまり横)を知りたいわけですが、縦のデータしか出せません。目の前にいる患者さんでは、横の確率は不明です(よって、予測するしかない)。このデータでは、A市民のデータを持ってきていますが、目の前にいる患者さんが同じ確率であるとは限りません。
 しかし、他にデータがなければ、0.1%の可能性とします。そして0.1%だった可能性は、感度、特異度ともに0.9という非常に優秀な検査だったとして、検査が陽性だった場合、0.9%に上昇します(計算法を知りたい人は調べてください)。1000人に一人の確率が100人に一人弱の確率に上昇していますが、99人の人は検査が陽性でもやはりその病気ではありません。0.9%と言う数字が高いと感じるか、低いと感じるか?これは皆さんの感覚にかかっています。そして、100人中99人の人に不安と検査の負担を与えてしまうと言うことです。それでも100人中1人を救うためなのだ!というのが健診の意義なのですが、、、、、、、、

 検査をしても、頻度は低く、検査の意味があるのだろうか?と考えてしまいます。もちろんですが、検査が陰性だと可能性は0.009%に低下し、少ないという意味では、検査前と可能性はあまり変わらないと思います。

 まとめると、もともと頻度の低い病気の検査を健診などで行う意義は低いと言う事です。ただ、画像検査は形として病気の診断が出来ますので、意義が少し違います。内視鏡やCT、エコーなどは定期的に行うことをお勧めします。

 医者は、こんなことを考えながら(細かい計算は毎回しませんが)患者さんとお話ししています。


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インフルエンザの診断をするのは検査キットではなく医者です [医学関連]

 多くの方に知ってもらいたいと思い、記事を書きました。

 タイトルの通りです。現場では色々なトラブルというか、言い合いというか、、、、、、が起こっています。以下のようなことがあります。

 インフルエンザの検査をしないという医師に対して、患者側が「何故しないのか!」
 インフルエンザの検査が陽性であっても、抗インフルエンザ薬を処方しないと言われたので、患者側が「何故薬をくれないんだ!」
 インフルエンザの検査が陰性なのに、薬を出すと言われて、「何故薬を飲まなければならないのか?」

 病気の診断をするのは、簡単なようで実は難しいのです。医師は学生の時から、医師になってからの初期研修はもちろん、一生診断について勉強をし続けています。そして、診断が一番難しいと知っています。実は、検査データが一番くせ者なのです。

 細かいことは一冊本が書けるほどの事なので、一般の方は知らなくても良いですが、検査は異性を顔だけで判断しているようなものだと考えてください。顔が好みだと言うだけで、その人を結婚相手に出来ますか?あるいは、顔が好みじゃないと言うだけで、結婚を申し込まれたのだが断りますか?インフルエンザの診断で、検査をしないのはおかしいとか、結果が陽性なのにうんぬんというのは、人を見た目だけで判断しているのと同じなのです。と言うか、本来熱が出る病気はたくさんありますので、インフルエンザではない人も多くいます。

 よって、診断は医師にお任せ頂ければありがたいです。もちろん、疑問があれば質問をして頂けばお答えできます。

少し解説します。


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H2ブロッカーはピロリ菌の感染診断に影響する? [医学関連]

 ヘリコバクターピロリに感染していると胃がんになりやすいとか、鉄欠乏性貧血の原因ではないかとか色々言われるようになりました。ヘリコバクターピロリに感染しているかどうかを検査する方法は色々あるのですが、最も感度、特異度が高い検査として尿素呼気試験があります。この検査はPPIと呼ばれる胃薬を飲んでいると検査に影響が出て、偽陰性(ピロリ菌がいるのに、いないという結果が出る)となる可能性があり、PPIは2週間以上中止して検査すべきとされています。が、中止できないことも多くて困ります。

 PPIはプロトンポンプインヒビター(proton pump inhibitor)の略で、胃から胃酸を出す最終段階のプロトンポンプと言うものの働きを弱くする薬です。ピロリ菌に対して静菌作用(増殖はしなくなるが死んではいない。検査するが分からしたら、かくれんぼしているような状態)を持っています。

 よって、どうしてもピロリ菌を検査したくて、PPIを辞められない患者さんに対しては以下の二つの方法があります。

 尿素呼気試験以外の方法でピロリ菌の検査をする。
 PPIを別の薬(多くはH2ブロッカー)に変更する。

 PPIをH2ブロッカーという別の胃酸を抑える薬に変えるのが結構簡単なので、好んで行っていますが、実はH2ブロッカーもピロリの感染診断に影響を与えるかも知れないのだそうです。知らなかった、、、、、、、

詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。


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「骨折はありませんね」と言えなくて済みません。 [医学関連]

 先日日曜日の日直(休日の昼間に診療を担当することをそう言います)をしている時に、骨折疑いの人がたくさん来られました。レントゲンを撮っても異常がなかったのですが、「骨折の否定を非専門医がしてはいけない」と研修医の時に習いましたので、全員整形外科に行ってもらいました。

 ほぼ全員、骨折の疑い、あるいは骨折で治療しますとお返事を戴きました。明らかに折れていると書かず、疑わしいとかレントゲン撮り直してもはっきりしないなどとお返事いただき、私に配慮してくださる先生方に感銘を受けました。いい専門医の先生に紹介して良かった。

 ちなみに、骨折で一番あてになる徴候は痛みなのだそうです。レントゲンが全てと思っている方もおられると思いますが、レントゲンで写らない骨折(ひびも骨折です)も多くあります。

 以前勤めていた病院では、CT撮っても異常がなく、その病院のやや非力なMRIでも異常がなく、別の病院のMRIでやっと骨折が分かったと言う事もありました。手の舟状骨という骨の骨折でした。冗談だと思いますが、相談した整形外科の先生は、「レントゲンでもCTでも異常がないと思ったけど、木村先生が折れているかもと言われるからMRIまで撮ったんですが、異常がないので、大きな病院に紹介します」と言われました。

 なので、病院を受診して、骨折がないとは言えないと言われて不満に思わないでくださいね。

 「○○がない」と言うことはなかなか困難なのです。論理学的にも、例えば宇宙人はいないと言うことは困難だと聞いています。こちらのページにもサンタクロースがいないと言うことは論理学的に不可能だと書かれています。

 恋人がサンタクロースではないと言うことも困難だと思います、、、、、、、、、たぶん。


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妊娠中に破傷風トキソイドを打っても良いのか? [医学関連]

 以前の破傷風の記事にコメントを戴いたので、再度記事をアップします。質問された方の希望により質問文は公開しておりません。妊娠中にちょっとした怪我をして、産婦人科で相談したのですが、外科に行けと言われ、外科では消毒だけしてもらい、皮膚科に行けと言われたと言う事です。破傷風のワクチンについて誰もきちんと理解をしていないという事が分かりますね。私も完全に知っているわけではありませんが、頑張って勉強しなければと思いました。

 結論から言うと、妊娠中に破傷風トキソイドを打っても問題ありません。というか、アメリカの資料では、毎回妊娠時にワクチンを打つように推奨されています。日本にはないようですが、Tdapという種類のワクチンです。

 Tは破傷風、Dはジフテリア、Pは百日咳です。aは知らなくて良いです(と言うか私も知らない)が百日咳のワクチンのタイプです。wと言うのもあるようですが、現在はaPしか作られていません。Tdapの小文字は、そのワクチンの量が少ない物で、大人になるとワクチンの量は少なくて良いようです。よって、Tdapとは、破傷風に関しては子供と同じ量のワクチンが入っているが、ジフテリアと百日咳は少なめの三種混合ワクチンだという事です。

 こちらの資料を読んでいただけば良いのですが、長文かつ英語なので、、、、、、、「Prevention of Pertussis, Tetanus, and Diphtheria with Vaccines in the United States: Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP)」という名前の資料で、日本語にすれば「アメリカにおける、ワクチンによる百日咳、破傷風、ジフテリアの予防:アメリカ予防接種諮問委員会の推奨」です。アメリカのCDCと言うお役所が出しています。日本語にすれば、アメリカ疾病管理予防センターという物で、厚生労働省みたいなものでしょう。
 CDCがこう言っていると言えば、水戸のご老公様が言ったかのような権威のあるお役所です。本当に信じて良いのかは疑問を呈している人がいますが、まあ、私はははーっ!となります。以下の先生はCDCガイドラインが大好きで、三度の飯より大好きな先生のようです。


CDCガイドラインの使い方 感染対策: 誰でもサッとできる! (You Can Do it!)

CDCガイドラインの使い方 感染対策: 誰でもサッとできる! (You Can Do it!)

  • 作者: 矢野 邦夫
  • 出版社/メーカー: メディカ出版
  • 発売日: 2019/02/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



 以下のように書かれています。ACIPは米国予防接種諮問委員会のことです。

 ACIP recommends that providers of prenatal care implement a Tdap immunization program for all pregnant women. Health care personnel should administer a dose of Tdap during each pregnancy, irrespective of the patient’s prior history of receiving the vaccine.

Guidance for Use

 Tdap should be administered between 27 and 36 weeks’ gestation, although it may be administered at any time during pregnancy. Available data suggest that vaccinating earlier in the 27–36 week time period will maximize passive antibody transfer to the infant.

 Tdap may be simultaneously administered with an inactivated influenza vaccine to pregnant women.

 If a woman did not receive Tdap during her current pregnancy and did not receive a prior dose of Tdap ever (i.e., during adolescence, adulthood, or a previous pregnancy), then Tdap should be administered immediately postpartum. If a woman did not receive Tdap during her current pregnancy but did receive a prior dose of Tdap, then she should not receive a dose of Tdap postpartum.


日本語がいい方はこちら


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どんな資源にも限りがあります。セファゾリンの供給不足について。 [医学関連]

 セファゾリンという点滴の抗菌薬が使えなくなっています。

 理由は色々ですが、原料となる薬を作っている会社が、その原料となる薬、原薬を作らなくなったのが大きな原因のようです。私も知りませんでしたが、多くの薬は原薬という物をどこかから(外国の会社が多いようです)買って作る事が多いんだそうです。そして、その原薬を作っている会社はそれほど数が多くなく、その会社が作るのを辞めてしまうと、世界中の国が困るという事です。

 他の理由としては、セファゾリンという抗菌薬をいくら売っても、もうけがあまりないのだそうで、そう言う薬を私企業が売り続けるかと言えば、、、、、、、

 セファゾリンという抗菌薬は私が生まれて初めて処方した薬です。最も基本的な薬の一つで、日本中で相当沢山の量が使われています。

 そのセファゾリンが手に入らなくなるとしたら、一体どうなるのか?と言うことを今回は書いておきます。

 点滴の抗菌薬が必要だと判断し、セファゾリンが良いだろうと考えても、セファゾリンが使えなかったら、別の薬になりますよね。当然ですが、別の薬も突然沢山の注文が入れば、製造が追いつきません。多くの抗菌薬がなかなか手に入らなくなっているのだそうです。点滴がダメなら飲み薬でもないよりは、、、、、、と言うことになり、飲み薬の抗菌薬も使えなくなるかも知れません。

 よって、セファゾリンの供給が再開するまでの最低ここ数ヶ月は抗菌薬の使用が制限される事になります。普段抗菌薬の適正化に興味がない医師であっても、興味を持って、必要ない人への抗菌薬投与は控えざるを得ない状態になったのです。

 つまりこういう事です。

 「風邪をひいてしまいました。いつもの抗生物質をお願いします」と言っても、出してもらえなくなります。

 「いつも出してくれたじゃないですか!」と言っても、「もともと無意味だったし、今抗菌薬が手に入りにくい状態なんだよね、、、、、、」と言われるかも知れません。

 医師は患者さんの言うことを鵜呑みにしているわけではありません。常に耐性菌のこととか、こう言った有限な資源の有効活用について考えているのです。

 セファゾリンの供給が停止したことは、多くの患者さんに不利益が及ぶ可能性もありますが、もっと多くの患者さんに不利益を及ぼす可能性がある抗菌薬の不適切使用について、多くの人が考えるきっかけになって良かったのかも知れません、、、、、、、と誰かが言っていました。

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