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高カリウム血症を腎障害のせいと決めつけない [研修医教育]

 カリウムが高い患者さんがいると、腎臓が悪いせいだろうと思ってしまいます。私もそうでした。

 しかし、そうではないことも多いです。こちらの本に載っていました。日本語版はP.26、英語版はP.29です。

 正常な生活をしている人の通常な食事からはカリウムが1日1mEq/kg摂取されるそうです。体重が50kgの人だと、1日50mEqです。点滴で投与する場合もそのぐらいの量にしますよね。

 カリウムの排泄上限量は、GFR(糸球体濾過量)に比例するそうで、約10mEq/kg/日です。体重50kgだと1日約500mEqのカリウムを排泄できます。

 計算してみます。GFRの正常値を100mL/minとすると、100mL/min×60min×24h×4mEq/L÷1000=576mEq/dayとなります。約10mEq/kg/日ぐらいですよね。

 よって、1日50mEqのカリウムを摂取している体重50kgの人が、GFR低下による腎臓のカリウム排泄障害だけでカリウムが上がるとすれば、50:500=x:100よりGFRが10mL/minとなった場合にカリウム摂取量>カリウム排泄上限量となります。つまり、GFRが10%にまで低下しないとカリウムが上がってこないと言うことです。以下に本の解説文を引用します。

「軽度から中等度の腎不全で高K血症がある場合には、高K血症は腎不全単独の原因によるものではありません。高K血症を起こす他の原因を積極的に精査することが必要です。」

 よく覚えておこう。

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