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高脂血症や高タンパク血症がある場合のナトリウムの補正式 [医学関連]

 偽性低ナトリウム血症という名前の病気?があります。本当の病気ではありません。血液検査でナトリウムを測定したところ低値を示しているのですが、これは検査のエラーであり、患者さんの体内のナトリウム濃度は正常だという病態です。当然ですが、低ナトリウム血症をみた時に、必ず除外しなければなりません。偽性低ナトリウム血症は治療不要ですので。

 結論から先に言うと、これは高脂血症や高タンパク血症で認められる(それも激しい場合)ものです。理屈を説明するのは私には難しいのですが、こちらの文献を読んでいたければ幸いです。蛋白や脂肪は浸透圧には影響せず、また水分ではないと言うことのようで、蛋白や脂肪が増えると分母が増えるからナトリウム濃度が低下する(ように見える)と理解すれば良いかも知れません、、、、、、知らんけど。

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 さて、先ほどの文献にはナトリウム値の補正係数が載っています。

 脂質異常症;TG460mg/dLの上昇につき1mEq/Lの低下
 高蛋白質血症;TP1g/dLの上昇につき1〜1.5mEq/Lの低下

 相当の異常でなければ問題とはならないでしょうね。最大でもNaが2mEq/L低下する位でしょうか。血液疾患とか代謝異常の患者さんを良く診る先生は、もっとすごい異常があるのかも知れませんね。例えば、総コレステロールが977mg/dL (その時のNaは129mmol/L)4091mg/dL(Naが101mmol/L)という報告があるようです。

 UpToDateに紹介されていたこちらの文献には以下の式が載っています(単位を日本向けに訂正しました)。

 血清水分量(%)=99.1ー(0.001×脂肪mg/dL)ー(0.7×蛋白g/dL)

 通常水分は93%(脂質と蛋白で7%)と考えるようなので、補正Na=Na値×93÷血清水分量となります。

 こちらの文献の方が新しく、色々詳しく書かれていますので参照ください。

 しかし、血液ガス分析装置のナトリウム濃度は蛋白や脂質の影響を受けないそうなので、低ナトリウム血症を見つけたら血液ガス分析を行ってみる(静脈血でよい)のが良いでしょう。


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