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指導医に教わる時は、大げさに! [研修医教育]

 どんな仕事でも、先輩に指導してもらうのは大切なことです。その時に大切なことは、指導者をイライラさせないことです。

 指導者は、自分がやった方が安全だし、確実だし、早く終わることを知っています。しかし、あなたのために、危険を承知で、自分の仕事の効率が下がることも承知であなたに指導をしてくれるのです。その気持ちをまず理解しましょう。教えてもらうのが当然だ!なんていけませんよ。

 そして、指導医に注意されると、うっとおしいな!って思うこともあるかも知れませんが、細かい指導が入らないように、自分は分かってますよ!と言う事をオーバーにアピールしなければなりません。分かってるよ!と言う事を指摘される原因はあなたにあるのです。

 例を挙げます。

 CVを入れる時、ガイドワイヤーに沿わせて本物のカテーテルを挿入するわけですが、ガイドワイヤーが曲がってしまい、変なところにカテーテルが入ってしまうことがあります。よって、カテーテルを入れていく時には、ガイドワイヤーがスムーズに動くことを確認しながらカテーテルを挿入します。
 私はガイドワイヤーを時々動かして、ガイドワイヤーがスムーズに動くことを確認しなさいと教えています。その時にガイドワイヤーを少ししか動かさない先生がいます。動かしているのが分からないぐらいの程度です。それだと、こちらはその事を分かっているのかどうか聞きたくなります。だから言われたくない言葉である「ワイヤースムーズに動く?」という事を言われてしまうのです。
 よって、ガイドワイヤーはここまで動かすか?と言うぐらい動かすべきです。あるいは口に出して操作すべきです。

 そうすれば、指導医は安心してみていられるし、あなたも言われたくない言葉を言われなくて済みます。

 プレゼンの時も同じです。これはどうなの?と聞かれると言うことは、あなたが大切な情報である「これ」を言わないからです。うるさい指導医だな!と思う前に、自分の力量を反省する必要があるでしょう。

 例えば、「血小板が1万しかありません」と言うプレゼンをする場合、偽性低血小板血症を除外することは大切です。よって、「偽性低血小板血症は除外しました」とか、「ヘパリン採血で再検査をしましたが結果は同様でした」、「検査室からpseudothrombocytopeniaではないとコメントいただいています」とか言わなければなりませんね。

 それぐらい察してよ〜というのは無理な相談ですよ。あなたも指導医になったら分かります!

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精神疾患の患者さんが受診されたら注意しましょう。 [研修医教育]

 精神科の患者さんは、そうでない患者さんより診断が困難なので注意しましょう。

 色々調べてもきちんとした記載が見つかりませんが、特に統合失調症の人は痛みに強いです。痛みを感じているという記載がありますが、どちらにしても、我々医療従事者に痛がっているということが伝わりにくいです。理由は以下の通りです。

 統合失調症は神経伝達物質の異常とも言われていて、痛みの神経伝達物質も傷害されているため、痛みをそもそも脳へ伝えにくい。
 痛みがあったとしてもコミュニケーションが傷害されているため、家族や医療従事者に症状を伝えられないことがある。

 よって、精神疾患のある患者さんが救急外来に来られたら、精神疾患の患者さんか、、、、、、うちの専門じゃないのに、、、、、、、などと思わず、ちゃんと身体診察をして重大な病気がないか調べたいですね。

 私の経験した患者さんを紹介します。

 近くの精神病院から発熱の患者さんが運ばれてきました。患者さんは特に訴えがありませんが、入院中の精神病院で行った採血では白血球もCRPも高値でした。精査をしたところ、虫垂炎が破れて膿瘍を形成していました。虫垂が破れると虫垂の圧が下がるので痛みが改善する場合があります。また大網が虫垂を覆うと痛みが改善する場合もあるため、精神疾患がない人でも同じ事は起こり得ますが、担当されていた精神科の先生が「精神疾患患者は身体疾患の訴えがあまりないことがあるので、注意しなければならないですね!反省しました!」とわざわざ返信をくださいました。

もう一人


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人工呼吸器の良い本がないか? [研修医教育]

 人工呼吸器は、重症患者さんの管理に必須の器械です。慣れればそれほど難しいものではないのですが、やはり最初は難しく感じます。私もそうなんですが、若い先生や看護師さんに分かりやすく教えられるかというと、なかなか難しいです。AKB48程ではないですが、人工呼吸のモードだけでもたくさんあって、どう使い分けるのか?分からないことが多いです。いつも良い本がないのかなあ?と探していました。

 そんな時、有名な田中竜馬先生翻訳の本が届きました。ネットで予約したときは、かなり分厚い本ではないか?と思っていて、値段が安いからすごい太っ腹だなあと思っていました。でも、薄い本なのに内容がすごく濃いです。研修医の先生や看護師さんなど、人工呼吸器の入門として最適です。是非お勧めします!





 第4章には、心構えみたいな「人工呼吸器の十一戒」と言う事が書かれています。これが素晴らしいです。ここだけ読んでも人工呼吸器の使い方が半分以上分かるはずです!!

人工呼吸器を積極的に使いましょう。


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インスピロン5リットル50%はどう言う意味か? [研修医教育]

 インスピロンという酸素投与器具があります。蒸気が出てきて音がややうるさいですが、蒸気が見えると何かいいことをしているような気がしてくる器具です。適応とか細かいことは除きますが、この器具の設定を理解していない人が多いので、アップしておきます。

 私は研修医の頃に、これはどういう風に使う物か調べなさいと言われて、インターネットもない時代でしたし、業者さんがまだ論文などをコピーしてきてくれる時代でしたので、業者さんに資料が欲しいと頼みました。今考えれば、調べ方を教えてくださった指導医の先生に感謝です。

 さて、インスピロン5リットル50%とは、100%酸素を5リットル使って50%のガスを患者さんに流すという物です。患者さんに実際にどのぐらいのガスが流れるのかはこちらのページの質問6に表がありますし、以下のような計算でも求められます。

患者さんに投与されるガスの流量=[(100-21)/(設定酸素濃度-21)] × 酸素流量計の流量

 これは以下の式を変形した物ですから、自分でも計算できます。

酸素流量計の流量+(患者さんに投与されるガスの流量ー酸素流量計の流量)×0.21
  =患者さんに投与されるガスの流量×設定酸素濃度

 また、酸素投与量が少なければネブライザー効果が得られないので、酸素投与量は最低でも4L/分は必要です。

100%1Lと言う設定はいいのか?


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質問されたら「問題点は3つあります」と答えましょう。 [研修医教育]

 こちらの記事の再掲載です。

 突然質問されたらこう答えましょう。相手は「こいつ出来るな!」と思うはずです。

「その件に関しては、3つ問題点があります。」

 と反射的に答えるのです。全く知らない事でも構いません。とにかく3つ問題点があると言えば良いのです。そうすると、相手はこいつはいつも色々な事に興味を持っていて色々考えているのか!?と思うからです(たぶん)。

 これは遠藤周作さんの小説かエッセイに書かれていました。どれに書かれていたかは覚えていないので申し訳ありません。一つや二つでは少なすぎますし、四つ以上だと思いつかない可能性があるから、三つが良いようです。

 どんなことでも一つや二つは見つかるでしょう。それを答えます。三つ目が思い浮かばなければ、「三つ目はこの二つを忘れない事です」などと言えば良いです。

 四つ以上見つかった!と言う場合「さらに付け加えれば」と言えば問題ありません。「お前、今3つって言ってたやないかい!」などと言う人はいないでしょう。なぜなら話のペースはこちらに移っているからです。

 さて練習してみましょう!

 島のつく県はいくつありますか?

「3つあります!」と答えましょう。


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急変したかなと思ったら舌を出してもらいましょう [研修医教育]

 こちらの記事の再掲載です。少し改変していますが。ブログは同じ事を何度書いても良いんだと伺ったことがありますし、9年前の記事なので再掲載です。

 私は救急車で来院された患者さんや、状態が悪そうな患者さんを見つけたら、「あっかんべー」をしてもらいます。私は舌フェチではないので、医師として科学的な根拠を持ってやってもらっています。理由について、ちょっと長くなるかもしれませんが、読んで頂ければと思います。

 結論から先に言えば、患者さんに「舌を出してください」とか「あっかんべ〜をしてください」と言って、やってくれたら、とりあえず安心できると言う事です。

 患者さんに「あっかんべー」をして下さいと言って、ちゃんと出来た場合、3つの事が同時に確認されます。

その3つとは、、、、、、、知りたい方はこちら。


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他科の先生を自分より下だと思わないように。 [研修医教育]

 研修を終えて専門の科のスタッフになった先生に注意です。

 例えば循環器内科医になったとします。あくまで例えです。

 毎日心電図を読み、カテーテルをし、患者さんと向き合い、どんどん循環器内科の知識を得ていきます。素晴らしいことです。

 そんな中、救急外来から、内科の先生から、外線で他院の先生から電話があります。胸痛を訴えている患者さんをお願いします、心電図に異常があるので診てもらえませんか?と。忙しい中大変ですが、あなたはきちんと対応します。

 胸痛が実は打撲だったとか、心電図に異常はなかったとしても、決して怒ってはいけません。患者さんは打撲をしたことを言わなかったのかも知れませんし、心電図が異常かどうかは専門じゃなければ分かりませんし、異常がないと言うのは非常に難しいです。あなたはそれが専門であり、毎日頑張っているから簡単に分かりますが、専門でない先生は分かりません。分からない患者さんを受け持つのはとても不安です。その気持ち、研修医の時に体験しませんでしたか?

 それから、もし一度でも、他科の先生に失礼な対応をしてしまうと、次からその先生はコンサルトをしづらくなります。そして、緊急カテが必要な患者さんがいたとしても、気軽に相談されませんから、不利益を被るのは患者さんです。場合によっては、重症化した患者さんを泊まり込みで診なければならなくなる自分も不利益を被るかもしれません。

 また、あなたが受け持っている患者さんが吐血をする事もあるでしょう。その時に消化器内科の先生が直ぐ来てくれなかったり、そんなのお前で診たら良いじゃないかと言われたらどう思いますか?

 医療はお互い様です。皆何らかの専門家であり、患者さんのために日々頑張っているのです。尊敬する気持ちを忘れないようにしましょう。

 そして、謙虚になりましょう。何でも出来ると思っているあなた、指導医からは、こいつなんも分かってないなと思われているかも知れませんよ。私は26年目の医者ですが、謙虚であること、医者として一番大切なことの一つだと思います。

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ボスミン!と叫ぶのは辞めましょう [研修医教育]

 こちらの記事をご覧ください。心肺蘇生中に、医師がアドレナリンを投与して欲しいと「ボスミン」と言ったのだが、看護師が「ボスミンはないので、ノルアドレナリンしかない」と言ったら、、、、、、、みたいな話です。

 ボスミンはアドレナリンのアンプル製剤です。たぶん、現在多くの病院では、アドレナリン注等というプレフィルドシリンジを使っていると思います。新人の看護師さんなどはボスミンを知らないと思います。
 しかし、私のような気持ちだけ若いつもりの医師はついつい、「ボスミン!」と言ってしまいます。おば、、、、、、じゃなくてベテランナースなら、「はい、先生アドレナリンですね!」と問題なく蘇生が進行しますが、若い看護師さんは、ボスミンなんて薬初めて聞く訳なので、、、、、、、

 よって、アドレナリンを使いたい時には、ボスミンではなく、ちゃんとアドレナリンと言いましょう。

 アドレナリンは日本人が発見した数少ない?物質の一つなのですしね(^^)。

ノルアドを蘇生に使ってはいけないのか?


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カテコラミンを何故ブドウ糖で溶かすのか? [研修医教育]

 最近ある方からメールが来ます。今お勤めの病院での色々なことが問題があると感じておられるようで、少しずつお返事しておりますが、それをついでに?こちらに載せておきます。他に役立つ人が一人でもいればと思いますし、折角書いたお返事なので、ブログに載せておくと自分にも役立つ(後で検索しやすいので)かなと思いました。

 また、このブログに書いてあったと言えば、結構な説得力がある可能性が少しあるので(^^)。近くの病院の看護師さんの勉強会の資料に使われたりしているようですから。

 今日はカテコラミンを何で薄めるか?と言うお話です。最近このテーマでブログを書いた気もするのですが、ブログは同じ事を何度でも書いて良いと誰かが言っていましたので、また書いてみます。大事なことは何度でも言えば良いとビリギャルの本に書いてありました。

 さて、皆さんの病院にあるドパミンのキットをご覧ください。カタボンとかプレドパとか、キャサリンとかです。キャサリンについては以前記事にしました(^^)。

 ほぼ間違いなくストレートでもウーロン茶割りでもなく、水割りになっているはずです。つまりブドウ糖で薄めてあります。生理食塩水で薄めてある製剤は見たことがありません。

 病院によっては、ドパミンのアンプルを点滴に入れて、何かで薄めて投与する場合があると思います。その時に生理食塩水ではダメなのですか?と聞かれたりします。

 先に結論から。

 カテコラミンを薄める時にはブドウ糖が良いです。
 でも、生理食塩水でも良いです。

 どっちか決めてや〜!と言う場合にはブドウ糖にしましょう。理由は以下に説明します。

理由を知りたい方はこちら。


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生理食塩水を入れても高ナトリウム血症にはなりません [研修医教育]

 患者さんの急変時の輸液として、「生理食塩水や乳酸リンゲル液を入れると、高ナトリウム血症になる」と言って、緊急時に使用することを良しとしない人がいるそうです。

 ビックリですが、その先生は、輸液についてご専門でないのでしょうから、知らないのは仕方がありません。きっと以前、その先生に、「生理食塩水は絶対ダメだ!」と教えた人がいるんでしょう。その先生がいけませんよね。

 理屈を説明して理解して戴くしかありませんので、ちょっと考えてみます。体重50kgの人に生理食塩水を1リットル入れるとします。こちらのブログにわかりやすく書かれていますが、Adrogue-madiasの補正式と言うのがあるようです。

 点滴後のナトリウム濃度は

 点滴後に細胞外液に含まれるナトリウム÷点滴後の細胞外液量

 です。本当は尿とか便とか不感蒸泄とかも考えなければならないでしょうが、取りあえず緊急時なので無視します。

 点滴後に細胞外液に含まれるナトリウムの量は、もともとあったナトリウム+点滴で入れたナトリウム量になりますので、以下のようになります。

 140×50×0.6+154

 ナトリウムの正常値は140mEq/L、体重50kgの人は水分が体重の60%程度であれば30L近くです。

 点滴後の水分の量は、体重×0.6+点滴の量なので

 50×0.6+1

です。計算すると、ナトリウム濃度は140.45となります。ほとんど変わりませんね。2L入れたとしても140.88です。

 ちなみに乳酸リンゲル液を1L入れると、139.68となります。2Lで139.375です。

 あくまで計算値です(人間の身体はもっと複雑です)が、どちらにしても、ほとんど気にする意義のない値です。ましてや緊急時の患者さんは、ナトリウムが140ではないかも知れません(高齢者はむしろナトリウム低めの人が多いでしょう)し、細胞外液量が足りない事がほとんどです。

 緊急時には細胞外液を用いましょう。生食は高CL性アシドーシスをきたすとか、乳酸リンゲル液は乳酸が高くなるとか、カリウムが入っているからとか、あまり気にする必要はありません。これらについては別に記事にしました。乳酸についてはこちらの記事をご覧ください。

 ちなみに、あくまで緊急時に限った話です。落ち着いた患者さんに生理食塩水や乳酸リンゲル液を点滴するのは、私はお勧めしません。私は維持輸液にこれらの点滴を使うことはありません。

生理食塩水と乳酸リンゲル液を交互に使っては??


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