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どんな資源にも限りがあります。セファゾリンの供給不足について。 [医学関連]

 セファゾリンという点滴の抗菌薬が使えなくなっています。

 理由は色々ですが、原料となる薬を作っている会社が、その原料となる薬、原薬を作らなくなったのが大きな原因のようです。私も知りませんでしたが、多くの薬は原薬という物をどこかから(外国の会社が多いようです)買って作る事が多いんだそうです。そして、その原薬を作っている会社はそれほど数が多くなく、その会社が作るのを辞めてしまうと、世界中の国が困るという事です。

 他の理由としては、セファゾリンという抗菌薬をいくら売っても、もうけがあまりないのだそうで、そう言う薬を私企業が売り続けるかと言えば、、、、、、、

 セファゾリンという抗菌薬は私が生まれて初めて処方した薬です。最も基本的な薬の一つで、日本中で相当沢山の量が使われています。

 そのセファゾリンが手に入らなくなるとしたら、一体どうなるのか?と言うことを今回は書いておきます。

 点滴の抗菌薬が必要だと判断し、セファゾリンが良いだろうと考えても、セファゾリンが使えなかったら、別の薬になりますよね。当然ですが、別の薬も突然沢山の注文が入れば、製造が追いつきません。多くの抗菌薬がなかなか手に入らなくなっているのだそうです。点滴がダメなら飲み薬でもないよりは、、、、、、と言うことになり、飲み薬の抗菌薬も使えなくなるかも知れません。

 よって、セファゾリンの供給が再開するまでの最低ここ数ヶ月は抗菌薬の使用が制限される事になります。普段抗菌薬の適正化に興味がない医師であっても、興味を持って、必要ない人への抗菌薬投与は控えざるを得ない状態になったのです。

 つまりこういう事です。

 「風邪をひいてしまいました。いつもの抗生物質をお願いします」と言っても、出してもらえなくなります。

 「いつも出してくれたじゃないですか!」と言っても、「もともと無意味だったし、今抗菌薬が手に入りにくい状態なんだよね、、、、、、」と言われるかも知れません。

 医師は患者さんの言うことを鵜呑みにしているわけではありません。常に耐性菌のこととか、こう言った有限な資源の有効活用について考えているのです。

 セファゾリンの供給が停止したことは、多くの患者さんに不利益が及ぶ可能性もありますが、もっと多くの患者さんに不利益を及ぼす可能性がある抗菌薬の不適切使用について、多くの人が考えるきっかけになって良かったのかも知れません、、、、、、、と誰かが言っていました。

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脂肪乳剤を投与する場合単独ルートでなければならないのか? [研修医教育]

 久しぶりの投稿です。以前もこの話題を書いた気もしますが、何度でも書きます。

 いつものように結論から。脂肪乳剤は側管から投与しても大丈夫です。ただし、添付文書には違反することだけ注意が必要です(と言っても知っておくだけで良いです)。

 脂肪乳剤は、末梢静脈からも投与できる上、カロリーが1g当たり最も高く、その上炭素が少ないので二酸化炭素の排出量が少なくなり、動脈血二酸化炭素分圧が下がる可能性があり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の人にも有用です。浸透圧も等張であり、静脈炎の治療にも使えます(とされているのですが、静脈炎を起こす人もいます)。

 とても有用な輸液製剤なのですが、イントラリポスの添付文書には以下のようにあります。

 本剤に他の薬剤を混合しないこと

 この記載によって、イントラリポスを点滴する場合には、ルートをもうひとつ確保する必要が出てきます。私が知っている範囲ではありますが、ほぼ全ての病院で、薬剤師さんが看護師さんに「点滴ルートをもう一本確保して投与してください」と言いますので、患者さんの腕には針が二つ刺されることになります。

 しかし、患者さんの立場に立てば、何で点滴がすでに入っているのに、抗菌薬とかはその点滴の横から(これを側管と言います)入れてくれるのに、どうしてこの白い点滴もそうしてくれないのか?と思いますよね。
 看護師さんも、エーあの患者さん血管が細くて、やっと入ったのに、また点滴取るの?と思うかも知れません。

 薬剤師さんは、このようなことを知っているでしょうか??それでも単独ルートで行かなければならないのでしょうか?いやこの薬はCV入れてくださいという人がいますが、CV入れるってどんなことか知ってますか??本当にCVじゃないとダメなんですか??添付文書に書いてありますと言う返答が薬剤師として患者さんのためになっていますか?

 おっと横道にそれてしまいました。

 詳細に勉強したい方は、こちらの文献をご覧ください。

文献を読む時間がない方はこちらを。


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急に血圧が上がると脳梗塞を起こしやすいのか? [医学関連]

 このブログでもよく取り上げていますが、患者さんの血圧が高くなると心配になる人が多いです。例えば、昼は血圧が130ぐらいだったのが、夜に測ったら200あったとします。心配だから診て欲しいと看護師さんから連絡があったり、患者さんが受診したいと電話してきたりします。

 しかし、血圧が高いだけであれば、少なくともその日の夜は問題ありません。血圧が長期間(何週間も)のは問題となる恐れがありますが、今だけ高いのは問題ありません。

 例えば、脳卒中を起こすのではないか?と言う不安が出てきますが、例えばこちらのリンクをお読みください。こちらには、血圧が上がったために脳梗塞を起こすと言う証拠はないと書かれています。
 もちろんですが、起こさないと言うエビデンスもないのですが。現在のところ血圧が高いだけで大きな問題になる事はありませんので、血圧を下げる事もしません。

 そもその夜中に血圧を測る事さえしなければ、、、、、、、、と当直の時には思います。が、御心配であればいつでも御相談ください。

 また、息が苦しくて血圧が高いとか、頭が痛くて血圧が高いとか、そういう場合には緊急受診が必要ですので、その場合にも遠慮なく病院を受診してくださいね。

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4月1日から転勤しました。 [雑談]

 しばらく更新しておりませんでした。最近は更新する方がまれになってしまいましたが、この度古巣の病院に戻ることになりました。それに伴ってブログのタイトルも変更しました。

 今日は短いですが、皆様今後もよろしくお願いします。
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