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経鼻胃管を入れたらレントゲンを撮りましょう。 [研修医教育]

 経鼻胃管とは、鼻から胃まで入れる柔らかいチューブです。ご飯が食べられない人に栄養剤を投与する場合や、胃に溜まった液を外に出す場合などに使います。マーゲンチューブとかNGとか単に胃管などと言われています。
 マーゲンチューブは、ドイツ語のマーゲン(胃)と英語のチューブを合わせて作られた日本語です。カンファレンスなどで、「マーゲンチューブ」と研修医の先生が言うと、用語にうるさい私のような医者が、「それ正しくないでしょ。マーゲンゾンデかガストリックチューブと言うべきじゃないの?マーゲンチューブはいかんでしょ!」などと言うことがあります。
 NGは、naso-gastric tubeの略です。だからNG入れておいて!と言われても、ダメ出しされたわけではないので覚えておくといいかもしれません。

 さて、今日のテーマは、胃管はちゃんと確認しなきゃ「いかん」です。

 胃管は鼻から入れるだけなので、医師だけでなく、看護師さんも行う簡単な処置だと思われていますが、わりと事故が多い処置です。最近「医療事故の再発防止に向けた提言6」と言う文書が出ていますので是非御一読ください。

 この文書をよく読めば、胃管は危ないので注意しないといかんと読めますが、さらっと見ただけだと、レントゲンが撮れない施設では胃液のpHをはかればいいんだ、レントゲンはいらないね!ととられかねないと感じました。危険です。私は、胃管挿入後の確認はレントゲン以外にないと思います。

 レントゲンが撮像できない施設に配慮したのか、胃液のpHを測定する方法が採り上げられていますが、配慮する必要はないと思います。胃管は合併症を起こすと危ないのですから、レントゲンで確認できないのなら、胃管を入れてはいけないと思います。

 「胃管挿入は重篤な合併症を起こしうる手技である」と提言6に書いてあります。私は今まで経鼻胃管が肺に入っているのに気付かず、そのまま栄養を入れてしまった人を三人経験しています(私は必ずレントゲンで確認しますから、別の先生の担当した患者さんです)。n=3ですが死亡率100%です。
危険なのですから、やはり念には念を入れてレントゲンを撮るべきでしょう。

 「そんな事言っても、レントゲンを撮れない場合はたくさんあるよ。医療の現実を分かっていない!」と言う反論は当然あるでしょう。いくつか実際に言われた反論に反論してみます。

・うちはレントゲン写真が撮れない施設なんです。胃管を入れた患者さんたくさんいるんです。胃管を入れ替えるたびに他の病院へ連れて行くなんて無理です。
 なら、緊急手術が必要になった場合、うちは手術室がないから、手術しなくて良いでしょ。と言えますか?必要な事が出来ないのなら、出来るようにするか、出来る施設にお願いすべきでしょう。胃管が肺に入ったまま栄養剤を入れたら死んでしまうのですよ。一時的に苦しいだけとかじゃないんです。うちはレントゲンが撮れないから、NGチューブを入れてもレントゲンの確認なんて出来ないから、レントゲンは必要ないと考える事は患者さんに向いた発言でしょうか?

・そんな事言ったって、レントゲン撮るのにどれだけの人手がいると思っているんですか?!
 胃管が入っている患者さんをレントゲン室に連れて行く、あるいはポータブルでレントゲンを撮る、さらに他の施設に連れて行くのには、それなりの人手が必要です。しかし、必要な事であれば、出来るようにすべきではないでしょうか?出来ないから仕方ないと言っていたら、いつまでも変わらないのではないでしょうか?

・頻繁に抜いてしまう人がいるからレントゲンばかり撮っていられないですよ。
 この場合には胃管の適応について考え直す必要があると思います。これも私見ですが、私は胃管を長期に留置した事はありません。胃瘻にします。
 頻繁に詰まるのなら、詰まらないように努力すべきです。胃管は詰まるのが当たり前と思っていませんか?詰まらない対策をしている病院もありますよ。検討してみた事ありますか?

 もちろん、レントゲンを撮れない現場は大変だと思います。だからレントゲンを撮像しなくても仕方がないと思います。そう、本当はしなきゃいけないんだけど、仕方がなくそうしていると言う認識が大事です。
 ある人から聞いた話ですが、「えっ!?胃管ぐらいで??」と言う認識のスタッフがいるようです。胃管による合併症で死ぬ人がいるんです。胃管ぐらいじゃなく、胃管でも注意が必要だと思いましょう。

 もちろん、レントゲンに替わる検査法として、pHの測定が優れた検査であるなら、それはそれで良いと思いますので、是非優れた簡単な検査法の開発を望みます。


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