SSブログ

電気ショックをする時に、パッドを貼るのか?パドルで行うのか? [CPRの基礎]

 電気ショック(同期電気ショックも含む)を行う場合、粘着パッドを貼って行うのか、パドルで行うべきなのか?と言う問題があります。私が関わっている講習会では、まだ日本ではパドルで行う施設が多いので、パドルで行う様に指導しています(パッドでの電気ショックも実習しますが)。
 ちなみに、2010年ガイドラインではどうなっていたか?については過去に書いたので、こちらをご覧ください。

 2015年ガイドラインにはどうあるのでしょうか?

 日本のガイドラインに基づいて作られている、救急蘇生法の指針2015医療従事者用には、どちらを推奨するという記載はありません。

 AHAはどうかというと、「粘着性のパッドのルーチン使用を推奨している。除細動の施行中に伝導素材(ジェルパッドまたは粘着性のパッド)を使用すると、経胸壁インピーダンス、または胸部構造の電流に対する抵抗が減少する。」とACLSのテキスト(2015年版)のP.99に記載があります。AHAは以前からパッドを推奨していました。


ACLSプロバイダーマニュアル  AHAガイドライン2015 準拠

ACLSプロバイダーマニュアル AHAガイドライン2015 準拠

  • 作者: American Heart Association(AHA:アメリカ心臓協会)
  • 出版社/メーカー: シナジー
  • 発売日: 2017/02/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



 CoSTRを見てみると、2015年版を作成するにあたり検討されなかった項目として、粘着性パッドとパドルのどちらがいいか?と言う疑問が挙げられています。新しい知見がなかったのでしょうか?

 そして、UpToDate(過去記事に訳しています)の記載は全く変更がされていません。文書は2016年9月8日に更新されたと書かれていますから、パドルとパッドを直接比較した研究はまだ出ていないと言うことでいいでしょうか。

 日本蘇生協議会のガイドライン2015P.88には、2005年以降両者について比較した研究は存在しないとあります。なので推奨などが書かれていません。オンラインですとこちらのP.75に書かれています。

 しかし、ヨーロッパのガイドラインには、2015年度版のガイドラインで変更した点として以下のようにあります。

 Self-adhesive defibrillation pads have a number of advantages over manual paddles and should always be used in preference when they are available.
 自己粘着性のパッドは手動式のパドルよりも利点がたくさんあるため、パッドが使えるのであれば、パッドを優先して使用すべきである。

 AHA、ERCが推奨していて、JRCはノーコメントと言う事で、多数決でパッドを使うのが良いという事になるのでしょう。一回目の電気ショックはパドルで、二回目以降はパッドでというのもいいかも知れません。どちらにしても、胸骨圧迫の中断は最小限で、出来るだけ早く電気ショックが出来るように!と言う事は忘れないようにしたいですね。




nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。