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救急隊の方が点滴をとった場合、輸液速度は全開が良いのか? [医学関連]

 救急救命士は、救急救命処置が行える国家資格です。救急救命処置の中には、特定行為と言って医師の具体的な指示を受けて行う物があります。気管挿管やアドレナリンの投与などがそうです。今までは心肺停止の患者さんのみと言う縛り?がありました。
 が、今年から、心肺停止でない患者さんにも点滴を確保することが可能になりました。

 どんな患者さんに行うかというと、次の二つを満たす傷病者です。

・増悪するショックである可能性が高い。もしくはクラッシュ症候群を疑うか、それに至る可能性が高い。
・15歳以上である(疑いでもいい)。

 ただし、心原性ショックが強く疑われる場合は、処置の対象から除外する。

 と言う事です。

 使用できる薬剤は、乳酸リンゲルのみです。落とす速度は原則全開です。標準プロトコールには急速輸液とあります。急速輸液とは「救急車内のもっとも高い位置に輸液バックをぶら下げ、クレンメを全開して得られる輸液速度」だそうです。が、医師の指示により速度を遅くしても良いそうです。

 ここで出てくる問題は二つです。そんな全開投与でたくさん輸液したら、過剰にならないの??ということと、乳酸リンゲルってカリウム入ってるからクラッシュ症候群の人に入れたらダメじゃん!と言う事です。

 二回に分けて書きます(記事稼ぎです(^^))。

 まず過剰にならないか?と言う事です。クラッシュ症候群は次回にすることとして、出血性ショック、血液分布異常性ショック、閉塞性ショックの場合ですね。閉塞性ショックであれば、輸液しようが何しようが、針刺さないとダメでしょうから、、、、、、、、

 血液分布異常性ショックは、多くは敗血症でしょう。血管拡張によって相対的に循環血液量が減少していますので、大量輸液が必要です。日本版敗血症ガイドライン(こちらのP.47)では、1時間で2リットル以上入れるとあります。15分で500ml一本ですから、全開で全然問題ないですよね。2本ぐらい入ったっていいでしょう。15分ぐらいで病院に着く場合が多いのではないでしょうか。それ以上かかる場合には医師に相談すれば良いでしょう。

 出血性の場合には、以前書いたように出血量の4倍は必要です。出血性ショックになるためにはまあ、1リットル以上は必要です。つまり出血性ショックが疑われる場合には4リットル以上の輸液が必要です。500mlの点滴8本ですから、病院に着く前に全部入るって事はまず無いでしょうね。

 出血性ショックの時には輸液をしない方が良いと言う意見もあるようですが、そこまで言い出すと救急救命士さんには何もしてもらえなくなってしまいますから、、、、、、、

 よって、救急救命士さんが点滴を行うと判断した場合(プロトコールに従って)、点滴をゆっくりする必要はまずないということです。いつも全力で歌う彼女らと同じように、いつも全開で点滴投与ですね。


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