ICU Book最新版が出ました! [興味ある本]
ICU Bookと言う本があります。以前もこのブログで紹介していますが、この本の最新版である第4版が出ました!!まだ英語版しかありませんが、、、、私はKindle版を買いました。買ってすぐ読めるから良いですね。ちょっと安いですし。
少し読んで興味深かった内容を紹介します。出血してヘモグロビン(血液中にある酸素と結合するタンパク質です)が半分の濃度になるのと、酸素分圧が半分になるのとどっちが怖いか???と言うお話しです。
久しぶりに例の調子でやってみます。
まーちゅん 「秋元先生!!入院中のHさんが急変やで!!」
秋元先生 「了解!!すぐ逢いに行くよ♡。さや姉も呼んでおいてね。」
わるきー 「さや姉は今日はチームNの劇場公演だから今おらんで!残念やったな。」
秋元先生 「なんで同じチームNのまーちゅんはおるん??」
まーちゅん 「わるきーも同じチームやけど、まええか。」
なな 「Hさん、吐血してはるわ〜。」
秋元先生 「まーちゅん、すぐ採血して!!輸血も頼もう!」
まーちゅん 「了解しました〜かみな!」
わるきー 「ヘモグロビンが4.8+2.7、つまり7.5や!」
秋元先生 「なんでそんな分かりにくい言い方??」
わるきー 「4.6+2.9の方がええ?」
秋元先生 「そう言う意味じゃなくて、、、、、」
まーちゅん 「Hbが15から7.5になると、動脈血酸素含有量(CaO2)は20から10mL/dLに低下するんやって。たかみなさんが言ってはりました。」
秋元先生 「たかみなは、そんな難しいこと分からんはずやけどな。まえっか。」
まーちゅん 「違いました。ポール麻里子、、、、じゃなくて、マリノさんでした。」
なな 「ちなみに、PaO2が90から45と半分になると、SaO2が98から78%に低下するんやけど、CaO2は20から16mL/dLに下がるだけなんやて。貧血の方が怖いんやな。」
秋元先生 「SpO2が78って相当怖いけど、酸素含有量から言ったらそうでもないんやな。勉強になったわ〜。」
わるきー 「総選挙の投票率も半分になったら順位どのぐらい下がるんやろ。」
まーちゅん 「それよりも、私たち紅白に出られることが内定したんやって!すごくない!!」
なな 「ほんま!?秋元先生、ありがとう!!」
秋元先生 「さあ、それはどっちでもええから、Hさんをはよ内視鏡室に連れて行くで!KTは?」
なな 「48ー11度や!!」
わるきー 「もうええわ!!」
そういう訳で、SpO2(パルスオキシメーターで測定したSaO2)が85でもかなり焦ってましたが、そこまで焦らなくても良いんですね。
でも、大量出血していたら、酸素不足は明らかなのでSpO2が正常でも酸素をやりましょうね。
CaO2=1.34×Hb×SaO2/100+0.003×PaO2
です。通常の呼吸状態だと前者が20ぐらいで、後者が0.3ぐらいです。
Marino's The ICU Book: Print + Ebook with Updates (ICU Book (Marino))
- 作者: Paul L. Marino MD PhD FCCM
- 出版社/メーカー: Lippincott Williams & Wilkins
- 発売日: 2013/10/28
- メディア: ペーパーバック
少し読んで興味深かった内容を紹介します。出血してヘモグロビン(血液中にある酸素と結合するタンパク質です)が半分の濃度になるのと、酸素分圧が半分になるのとどっちが怖いか???と言うお話しです。
久しぶりに例の調子でやってみます。
まーちゅん 「秋元先生!!入院中のHさんが急変やで!!」
秋元先生 「了解!!すぐ逢いに行くよ♡。さや姉も呼んでおいてね。」
わるきー 「さや姉は今日はチームNの劇場公演だから今おらんで!残念やったな。」
秋元先生 「なんで同じチームNのまーちゅんはおるん??」
まーちゅん 「わるきーも同じチームやけど、まええか。」
なな 「Hさん、吐血してはるわ〜。」
秋元先生 「まーちゅん、すぐ採血して!!輸血も頼もう!」
まーちゅん 「了解しました〜かみな!」
わるきー 「ヘモグロビンが4.8+2.7、つまり7.5や!」
秋元先生 「なんでそんな分かりにくい言い方??」
わるきー 「4.6+2.9の方がええ?」
秋元先生 「そう言う意味じゃなくて、、、、、」
まーちゅん 「Hbが15から7.5になると、動脈血酸素含有量(CaO2)は20から10mL/dLに低下するんやって。たかみなさんが言ってはりました。」
秋元先生 「たかみなは、そんな難しいこと分からんはずやけどな。まえっか。」
まーちゅん 「違いました。ポール麻里子、、、、じゃなくて、マリノさんでした。」
なな 「ちなみに、PaO2が90から45と半分になると、SaO2が98から78%に低下するんやけど、CaO2は20から16mL/dLに下がるだけなんやて。貧血の方が怖いんやな。」
秋元先生 「SpO2が78って相当怖いけど、酸素含有量から言ったらそうでもないんやな。勉強になったわ〜。」
わるきー 「総選挙の投票率も半分になったら順位どのぐらい下がるんやろ。」
まーちゅん 「それよりも、私たち紅白に出られることが内定したんやって!すごくない!!」
なな 「ほんま!?秋元先生、ありがとう!!」
秋元先生 「さあ、それはどっちでもええから、Hさんをはよ内視鏡室に連れて行くで!KTは?」
なな 「48ー11度や!!」
わるきー 「もうええわ!!」
そういう訳で、SpO2(パルスオキシメーターで測定したSaO2)が85でもかなり焦ってましたが、そこまで焦らなくても良いんですね。
でも、大量出血していたら、酸素不足は明らかなのでSpO2が正常でも酸素をやりましょうね。
CaO2=1.34×Hb×SaO2/100+0.003×PaO2
です。通常の呼吸状態だと前者が20ぐらいで、後者が0.3ぐらいです。
運搬される酸素の量は変わらなくても、末梢で手放される酸素の量は変わるのではないでしょうか?
Hb16程度、SaO2=80%のCaO2=16程度と、
Hb12程度、SaO2=99%のCaO2=16なら当然前者が危険だと思うのですが。
Hb16程度、SaO2=60%のCaO2=10程度と、
Hb9程度、SaO2=99%のCaO2=10程度など極端にすればわかりやすいと思います。
by 通りがかり (2013-11-21 13:03)
通りがかりさん、コメント誠にありがとうございます。
確かに酸素を放す量については全く考えていませんでした。ありがとうございます。
以下のリンクによれば、、、、静脈での酸素分圧が40として、曲線の右方移動などがないとして、、、、、、
SpO2が98%の患者さんは、末梢で23%の酸素を放出します。正常な患者さんでは4.6ml/dlぐらいの酸素を放出します。よって貧血でHbが半分になれば、2.3ml/dlぐらいです(かなりいい加減です)。
SpO2が78%の患者さんは、3%の酸素を放出します。よって0.6ml/dlですね。
http://plaza.umin.ac.jp/~histsite/sansokairi.pdf
貧血では血液の粘性が低下して流れやすくなりますし、そう言う意味でも低酸素の方が危険ですね。
貧血や低酸素で酸素解離曲線がどうなるのかがちょっと分かりませんが、ご指摘誠にありがとうございました!
by Kim (2013-11-21 20:31)
SaO2とPaO2はどちらの方が重要なのですか?
by すぐるん (2013-11-21 21:25)
当然御存知のことだと思いますが、oxygen deliveryは、CaO2のみでなく、cardiac outputとの積でので、
先生のおっしゃられる
貧血によって4.6ml/dl→2.3ml/dlへと半分に低下しても、通常の患者であればout putを1.5倍程度(すごく単純にHR60台→90台)にあげることで、oxygen deliveryの低下は25%程度ですみます。また、当然心臓自身も酸素供給を受けますが、通常時の75%程度の酸素供給を受けて、1.5倍の仕事をします。
低酸素になると、4.6ml/dl→0.6ml/dlへと下がるとして、out putを2倍(単純にHR60→120)にしても、通常の25%程度のoxygen deliveryしかありません。その酸素供給で2倍の仕事をさせる訳ですから、
>そう言う意味でも低酸素の方が危険ですね
と言っている場合ではないと思います。
当然臨床の現場では、そこから徐脈→さらなるoxygen deliveryの低下→死亡となる訳で。
本文を見させてもらったときに、まさか救急科専門医がいまさらoxygen deliveryの式を見た訳ではないだろうし、「興味深い話」とあったので、このブログの内容がICU bookに掲載されているものと思い込み、「え?まさか?」と思ってしまいました。
多くのコメディカルや若手医師も見るであろうHPであると思いますので、コメントにたどり着かなくても
>SpO2(パルスオキシメーターで測定したSaO2)が85でもかなり焦ってましたが、そこまで焦らなくても良いんですね。
などと思わないように、本文の訂正をお勧めします。
また、一応念のため、
>大量出血していたら、酸素不足は明らかなのでSpO2が正常でも酸素をやりましょうね。
とありますが、たとえPaO2を500に上げられたとしても、100程度の人からすると、CaO2で1.2程度しか上がりません。
もちろんHb3程度になった貧血患者でCaO2が4.5程度→6に上がることは有意義であると思うし、其の場凌ぎとして適切であるとは思いますが、たったHb1上げることでそれと同様のoxygen deliveryの改善が得られることも記載されるとよりよいと思います。むしろ、
「大量出血時の酸素投与は輸血がくるまでのその場しのぎにすらならないので、迅速な輸血を」と言うのが正しいと思います。
偉そうに申し訳ありませんが、「専門医」と名乗って明らかに誤った本文を残すのは少し問題かと思い、コメントしました。
実際にどうされるかはお任せいたします。
by 通りがかり (2013-11-21 21:29)
通りすがりさん、ご叱責誠にありがとうございます。
>当然御存知のことだと思いますが、oxygen deliveryは、CaO2のみでなく、cardiac outputとの積でので、
コメント欄に書きましたが、貧血になれば血液が薄くなり、血液の粘性が低下しますので、末梢組織への酸素供給量は増えます。CaO2が低下しても、心拍出量が増えると言うことです。ご指摘の通りです。
>>そう言う意味でも低酸素の方が危険ですね
>と言っている場合ではないと思います。
>当然臨床の現場では、そこから徐脈→さらなるoxygen deliveryの低下→死亡となる訳で。
もちろんです。低酸素状態でぼーっとしていても良いという意味ではありません。文章に臨場感がなくて申し訳ありません。
>まさか救急科専門医がいまさらoxygen deliveryの式を見た訳ではないだろう
私は基礎をいつも大事にしています。研修医の先生に指導させていただく時は、前後に教科書を必ず確認します。勉強すればするほど、基礎は馬鹿にしてはいけないと痛感します。
だからoxygen deliveryの式を見ました。先生のようにレベルの高い方には「いまさら」かもしれませんが、私には必要なことです。またこのブログは医学生さんや看護師さんなども見てくださっているようなので、基礎はそういった方にも参考になると思います。
>「興味深い話」とあったので、このブログの内容がICU bookに掲載されているものと思い込み、「え?まさか?」と思ってしまいました。
是非原著をお読みいただければと思いますが、原文を載せます(別記事に)。私の下手な日本語訳と共に。
>多くのコメディカルや若手医師も見るであろうHPであると思いますので
ありがとうございます!
>>SpO2(パルスオキシメーターで測定したSaO2)が85でもかなり焦ってましたが、そこまで焦らなくても良いんですね。
>などと思わないように、本文の訂正をお勧めします。
「そこまで」と言う意味が私と先生で違うのだと思います。私は「焦らなくて良い」とは書いていませんし、実は現場では焦らないようにしています。焦って看護師さんに「酸素を!!」とか言うと看護師さんも焦って、かえって酸素投与が遅くなったりすることがあります。私は救急は焦って作業をしなければならないのですが、非常に落ち着いて作業をすべき現場だと考えています。
>>大量出血していたら、酸素不足は明らかなのでSpO2が正常でも酸素をやりましょうね。
>とありますが、たとえPaO2を500に上げられたとしても、100程度の人からすると、CaO2で1.2程度しか上がりません。
血液の粘性が低下し、心拍出量が増えますから、溶存酸素は少しではありますが、意外に沢山の酸素が運ばれます。もちろん輸血などはしますが、とりあえずの処置として行うべきです。
>もちろんHb3程度になった貧血患者でCaO2が4.5程度→6に上がることは有意義であると思うし、其の場凌ぎとして適切であるとは思いますが、たったHb1上げることでそれと同様のoxygen deliveryの改善が得られることも記載されるとよりよいと思います。
ありがとうございます。先生のこのコメントが他の方に大変参考になると思います。
>「大量出血時の酸素投与は輸血がくるまでのその場しのぎにすらならないので、迅速な輸血を」と言うのが正しいと思います。
そう書くと酸素投与は必要ないと思う人がおられるのではないでしょうか?迅速な輸血が必要だが、酸素投与を行うべきであると、、、、
ご指摘誠にありがとうございました。今後もよろしくお願いいたします。
by Kim (2013-11-22 08:38)
すぐるんさん、コメントありがとうございます。
SaO2とPaO2はある程度の相関があります。よってどちらが大事?と言ってもどっちかが上がると言うことは一方も上がっていると言うことです。
が、血液に酸素がどのぐらい含まれているか(酸素含有量)という点では、SaO2の方が重要です。例えば一酸化炭素中毒やメトヘモグロビン血症という特別な病気になると、PaO2が高くてもSaO2は低いという状態になります。これは、もしPaO2が低くてもSaO2が高いと言うこと(はあり得ないと思いますが)より酸素含有量は非常に低くなります。
by Kim (2013-11-22 08:41)
>>「大量出血時の酸素投与は輸血がくるまでのその場しのぎにすらならないので、迅速な輸血を」と言うのが正しいと思います。
>そう書くと酸素投与は必要ないと思う人がおられるのではないでしょうか?迅速な輸血が必要だが、酸素投与を行うべきであると、、、、
確かにそうですね。一応上に
>>もちろんHb3程度になった貧血患者でCaO2が4.5程度→6に上がることは有意義であると思うし、其の場凌ぎとして適切であるとは思います
と記載したので、強めのコメントを入れました。「重度の貧血には当然酸素投与はすべきだが、その場しのぎにもならないから、迅速な輸血を行いましょう」が正しいと思います。
by 通りすがり (2013-11-22 10:52)
通りすがりさん、コメントありがとうございます。
表現の問題ですから、あまり気にされないでください。
その場しのぎというのの定義が色々です。私は救急医ですから、救急外来で酸素は絶対必要だと教えています。もちろん輸血が不要だなんて思いませんし、そう書いてもいません。
酸素はその場しのぎになると信じます。
この議論(表現の問題)はここまでにさせてください。書き換えるつもりは一切ありません。
by Kim (2013-11-22 14:10)
あと貧血時の溶存酸素について明後日朝7時にアップされる記事を書きましたので、よろしくお願いいたします。
by Kim (2013-11-22 16:03)