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貧血と酸素低下、どっちが怖いか? [医学関連]

 ICU Bookの最新版が出たという記事に反響をたくさん頂いています。タイトル(貧血と酸素低下、どっちか怖いか?)が良くないというご意見を頂いたので変更しています。この記事は、本当はその2でした。

 色々とご意見いただける記事を書けて喜んでいます。皆さんありがとうございます。

 色々私が言っても仕方ないので、原文を載せます。本当はいけないんでしょうが、医学的な議論ですから、、、、、、麻里子、、、、じゃなくてマリノ先生と出版社の方、許してね♡。その代わり、Kindle版だけじゃなく、書籍も買いますから!!

Anemia vs. Hypoxemia
 There is a tendency to use the arterial PO2 (PaO2) as an indication of how much O2 is in the blood. However, the O2 content of blood is determined primarily by [Hb], as shown in equation 10.6. The influence of proportional decreases in [Hb] and PaO2 on the arterial O2 content is shown in Figure 10.2. A 50% reduction in [Hb] (from 15 to 7.5 g/dL) results in an equivalent 50% reduction in CaO2 (from 20 to 10 mL/dL), while a 50% reduction in the PaO2 (from 90 to 45 mm Hg, which corresponds to a decrease in SaO2 from 98% to 78%) results in only a 20% decrease in CaO2 (from 20 to 16 mL/dL). This demonstrates that anemia has a much greater influence on arterial oxygenation than hypoxemia. The PaO2 measurement is useful for evaluating gas exchange in the lungs
(ここまではKindleからツイッターとFacebookにシェアできましたので、スペルミスなどはないはずです)
(as described in Chapter 20), not for evaluating the oxygenation of blood.

貧血と低酸素
 血液中に酸素がどのぐらいあるかを示す指標として、動脈血酸素分圧(PaO2)を使用する傾向がある。しかし、血液中の酸素の量は、10.6に示した式のようにヘモグロビン濃度によってまず決まる。
(原文にはO2content=1.34×[Hb]×SO2とあります)
ヘモグロビン濃度とPaO2の減少が動脈血酸素含有量(CaO2)に及ぼす影響は図10.2に示した(Hbが10でPaO2が90だとCaO2は20ml/dlぐらいで、低酸素、PaO2が45、だとCaO2は17ぐらい、貧血でHbが7.5になるとCaO2は10ぐらいと言う図です)。ヘモグロビン濃度が50%減少(15から7.5g/dL)すると、CaO2は同じようにほぼ50%に減少する(20から10mL/dL)。一方、PaO2が50%減少(90から45mmHg、これはSaO2が98%から78%に低下に相当する)しても、CaO2は20%しか低下しない(20から16mL/dL)。これは動脈の酸素化には、低酸素よりも貧血の方が非常に大きな影響を与えることを示している。PaO2の測定は、肺の酸素化の評価に有用であるが、血液の酸素化の評価には有用でない。

 通りすがりさん、いかがでしょうか。ご意見お待ちしています。

 こちらは「僕は待ってる」というNMB48の名曲です。激しく名曲ですので是非聞いてください。最初はお話しですので(感動的なお話しなので良かったら聞いて欲しいですが、、、、、)3分50秒ぐらいから聞いていただけると喜びます!曲は5分27秒からです。



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通りすがり

私のこの文章を読んで受けた第一印象は、「PaO2が正常でもHbの低下はarterial oxygenationをとても悪くする。その程度はSpO2で78%に下がったときよりも悪い。」

と言うことを述べているにすぎない気がします。前後の項が分からないのでなんですが、ただ単にanemiaの重要性を述べている文章にすぎない気がします。

>貧血になれば血液が薄くなり、血液の粘性が低下しますので、末梢組織への酸素供給量は増えます。CaO2が低下しても、心拍出量が増えると言うことです。ご指摘の通りです。


毛細血管レベルではある程度はそうでしょうが、心拍出量が増えるのはあくまで酸素需要/供給バランスを保つためのHRの増加が主な者であると思いますが、どうでしょう?粘性が下がると血管抵抗が下がってかつ血圧は下がらずに、心拍出量が増えるのでしょうか?

>私は基礎をいつも大事にしています。研修医の先生に指導させていただく時は、前後に教科書を必ず確認します。勉強すればするほど、基礎は馬鹿にしてはいけないと痛感します。
だからoxygen deliveryの式を見ました。先生のようにレベルの高い方には「いまさら」かもしれませんが、私には必要なことです。またこのブログは医学生さんや看護師さんなども見てくださっているようなので、基礎はそういった方にも参考になると思います。


とても辛口になるかもしれませんが、私はoxygen deliveryの式は基礎などと思ったことがありません。肺胞方程式?などとともに、とても臨床に直結した式であり、重要なものであると考えます。

oxygen deliveryの式を知らずして(適切な)輸血の判断を行うことは出来ないと思いますし、輸血の話を研修医にするときにまず教えるのがこの式です。「私には必要」以前に、研修医には必須の知識だと思います(当然この必須の知識を知らずに、適当に輸血医療を行っている人を多く見ます。)

この式を知らずして「なぜ輸血を行うのか?」「酸素が必要だからか?なら酸素吸入ではだめなのか?」「今どの程度の酸素需給に対してどの程度の酸素供給が必要で、だから、Hbをどの程度にすべきなのか?」「輸血をせずに頑張れる人はいるだろうか?」「輸血をためらうべきでない人はいるだろうか?」を述べることは難しいと思います。(もちろんいろんなエビデンスを参考にすることは大事ですが、たった一つの式からこれらのことを類推できます。)

肺胞方程式, oxygen delivery, oxygen consumption, そこからSvO2やらの話くらいまでは私は通常の「臨床の内容」であると思いますがどうでしょう。。

by 通りすがり (2013-11-22 10:47) 

Kim

通りすがりさん、早速見ていただき感謝申し上げます。

>私のこの文章を読んで受けた第一印象は、「PaO2が正常でもHbの低下はarterial oxygenationをとても悪くする。その程度はSpO2で78%に下がったときよりも悪い。」

>と言うことを述べているにすぎない気がします。前後の項が分からないのでなんですが、ただ単にanemiaの重要性を述べている文章にすぎない気がします。

もちろんですが、いきなりHbが半分になることとPaO2が半分になることを同等に比較するのはおかしいと思います。でもSpO2が78%になっても酸素含有量はそんなに減らないんだ、、、、、と言う事が言いたかっただけです。私は半分ぐらいになっていると(確かに式をちゃんと計算したら分かることですが)認識していましたので。それだけです。

>>貧血になれば血液が薄くなり、血液の粘性が低下しますので、末梢組織への酸素供給量は増えます。CaO2が低下しても、心拍出量が増えると言うことです。ご指摘の通りです。


>毛細血管レベルではある程度はそうでしょうが、心拍出量が増えるのはあくまで酸素需要/供給バランスを保つためのHRの増加が主な者であると思いますが、どうでしょう?粘性が下がると血管抵抗が下がってかつ血圧は下がらずに、心拍出量が増えるのでしょうか?

その辺りはすみません。分かりません。今手元にないのですが、岡山大学を今は退官されている関先生だったと思いますが、術後管理の本に書かれていたのを記憶しています。その本紛失してしまったので、記憶しているとしか言いようがありません。申し訳ありません。

>>私は基礎をいつも大事にしています。研修医の先生に指導させていただく時は、前後に教科書を必ず確認します。勉強すればするほど、基礎は馬鹿にしてはいけないと痛感します。
だからoxygen deliveryの式を見ました。先生のようにレベルの高い方には「いまさら」かもしれませんが、私には必要なことです。またこのブログは医学生さんや看護師さんなども見てくださっているようなので、基礎はそういった方にも参考になると思います。


>とても辛口になるかもしれませんが、私はoxygen deliveryの式は基礎などと思ったことがありません。肺胞方程式?などとともに、とても臨床に直結した式であり、重要なものであると考えます。

基礎でなくても良いですが、oxygen deliveryの式を見るなんて、、、、と書かれていたので、見ますよとお返事したまでです。基礎かどうかはどちらでも良いです。私は基礎だと思います。基礎は臨床で重要でないと言っていませんし。

>肺胞方程式, oxygen delivery, oxygen consumption, そこからSvO2やらの話くらいまでは私は通常の「臨床の内容」であると思いますがどうでしょう。。

どちらでも良いですが、私はそれを基礎と言っています。バントやボーゲンをいい加減にやる人はプロになれないと思います。医者も同じです。

これからも、ご指導よろしくお願いいたします。

by Kim (2013-11-22 14:06) 

通りすがり

取り急ぎ、誤解していたことを訂正します。

基礎という言葉を、「臨床」「基礎」の基礎だと思っていました。「基本」という意味ですね。

私が言いたかったのは、「まさか低酸素と貧血では、酸素含有量は~で、なのでspo2が低くても酸素含有量はそんなに低くないよ」何て記載がICUbookに載ってるはずがないので、blog主さんが、「まさか酸素含有の式を初めて見られたのではないでしょうが、、」という意味で書きました。

Icubookがいいたいのは、「酸素化っていうと、pao2が見られがちだが、それって肺でのガス交換などを評価できるに過ぎないよ。ヘモグロビン大事だよ」ということです。

元の日記からは「低酸素でも意外と酸素含有量が下がってないよ。たかだかヘモグロビン7とか8程度だよ。心配ないさ」というニュアンスが伝わってきます。

全く違う内容だと思います。
by 通りすがり (2013-11-22 15:00) 

Kim

通りすがりさん、コメントありがとうございます。

誤解が解けたようで良かったです。

表現については色々ですので、、、、、Hb7でも対応は必要です。低酸素でも、Hb7程度だから超慌てなくても、、、、、と言う自分への戒め?のつもりです。

決してお茶でも飲んでから、、、、と言う意味ではありません。

by Kim (2013-11-22 15:57) 

通りすがり

だから、その認識が違うんですって。

Hb7程度だから、なんて認識が間違ってるんです。
by 通りすがり (2013-11-22 16:28) 

Kim

通りすがりさん、ご指摘ありがとうございます。

表現の問題だけです。

心不全や呼吸不全のある高齢者が、いきなりHbが3ぐらい下がって血圧も低い、、、、のを、たいしたことがないから、、、とは言いません。が、超緊急時は、まずvolumeですよね。酸素ですよね。輸血ではありません(オーダーはもちろんしますが)。

例えば、「全身状態が良好な若年者では循環血液量が正常に保たれていれば,Ht 値が 24〜27%,Hb が 8.0〜9.0g/dL であっても問題がないと考えられる」
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/iyaku/kenketsugo/dl/tekisei4b_0003.pdf

 と言う事を頭にいつも置いていれば、救急外来で出血が続いている患者さんの前で落ち着くことが出来ると信じています。

 「認識」という点もかみ合っていないので、、、、、今日は当直ですし、この辺りでご勘弁ください。

by Kim (2013-11-22 16:57) 

通りすがり

だから、その大したことない(ただちに生命の危険があるわけでない)貧血と、spo2 78%(直ちに危険)を同列に扱ってるのが、認識のあやまり、だといってるのです。
by 通りすがり (2013-11-22 17:40) 

Kim

通りすがりさん、これが最後です。以後何を書き込んで頂いても、この件に関してはコメントしません。ご意見は掲載させて頂きますが。

まず「通りすがり」と言うのでここまで突っ込むのは辞めて頂けませんか。せめてニックネームぐらい。別の通りすがりさんと区別がつきません。

それから、何度も言っていますが、低酸素を軽く扱うつもりはありません。低酸素で超焦って現場をより混乱させるのは良くないと考えています。だから、低酸素になっても、循環があれば、酸素の含有量はHb7程度に下がったくらいで(色々その他難しいことはあるでしょうが)、まず落ち着け!と言う意味です。

私は酸素投与を積極的にする考えです(COPDで控えるなんてことはしてませんし、重症外傷でSpO2が100%でも10リットルマスクで投与しています)。挿管も早めにします。

だから先生がご心配されているようにSpO2が78%で、たいしたことないな、、、、、とのんびり対応することはありません。若い先生にもそんな指導はしません。

「程度」という単語が悪かったんだと思います。「相当」と言い換えると問題ないかと思います。Hb7も軽く扱うつもりはありません。

色々とご指摘頂いて感謝申し上げます。今後もよろしくお願いいたします。

by Kim (2013-11-22 20:12) 

ガチポテ

あなたが酸素運搬、酸素消費、酸素遊離曲線、酸素含有量に関して理解していないことはわかりました。

酸素含有量は「同程度」でも、緊急度は全く異なります。

というか、何度も言いますが「酸素含有量が同程度」であることと、「組織で実際に使える酸素量」が異なることを理解しましょう。

貧血による実際に使える酸素量の低下と、低酸素によるそれとは全く違います。

御自身で計算されてたのでてっきり理解されたものとおもいましたが、理解されていないようです。

Spo2 78%では、血液内に酸素があっても実際にはほとんど利用できないのです。だから「血液内の酸素量がHb7と同程度だから、もしくは相当だから」ということはなんの慰めにもなりません。

必要なのは利用できる酸素を増やすことです。

わかります?酸素含有量が同程度だろうがなんだろうが、低酸素と貧血では全く違うんです。

あなたの無茶苦茶な理屈によればspo2 50%でも、Hbを20程度にあげてやれば酸素供給に問題ない、という結論になります(閉塞する云々は言わないでね)

わかりますかね?まあコメントはされないということでしたが、あまりに理解が間違えてるので、多くの患者、医療関係者のために記載しておきます。
by ガチポテ (2013-11-22 20:31) 

Kim

ガチポテさん、コメントありがとうございます。

一切お返事しないと書きましたが、貴重なお時間を割いてご指導頂いたので、、、、

お互いかみ合っていないだけだと思います。相当と言い換えてもここまで書かれるとは驚きました。私の日本語力の低さも実感しました。大変申し訳ありません。

血液中に含まれる酸素の量が同じだったら、末梢で利用される量も同じとは書いていません。そこまで書く意義はないと考えたので書いていません。ブログはそういう物ではないと思います。教科書を読んだら良いんです。

SpO2が78%で何もしないとは言っていません。焦らないようにと言う気の持ち方だと書きましたよ。酸素含有量はSpO2が78%とHbが7と同じぐらいなんだ、、、、、と言うことにちょっと感動したので記事にしただけです。そこまで突っ込まれるとは思いませんでした。SpO2が78%でも平気なんだ、、、、と感じる読者の方はいないと信じていますが、それは私だけなんでしょうか。

不勉強だとご指摘頂いたので、一生懸命この連休中に勉強させて頂きます。本当にありがとうございました。
by Kim (2013-11-23 09:28) 

ガチポテ

「貧血と酸素低下、どっちが怖いか?」というタイトルで書き始めて、
「Hb7も、SpO2 78%も酸素含有量は一緒だね。それだけみると同じだけ酸素が溶けてるよね。だから焦らないで対応しようね。(でも末梢での利用は明らかにSpO2 78%のが悪いからこっちが患者にとっては本当は危険だよ☆。でもブログだしそんなこと書かないよ。教科書読めば?ワラ)」ってことですか!?

そもそも以前のエントリーで

>確かに酸素を放す量については全く考えていませんでした。

“”全く考えていませんでした“”

と書いていた貴方が?実は「末梢での酸素利用については知っているけど、そこまで書く意義はない!」って。

実は「酸素含有量の話をしているだけで、患者の病態(どちらが危険か)については何も述べている訳ではないよ。」っていうこと??

日記タイトルの「どっちが怖いか」は「どっちが酸素含有量が少ないか?」
ってこと??

普通の感覚をもっていれば

「どちらが怖いか」=「どちらが患者にとって危険か」だと思うと思いますが、どうなんでしょう?

「どちらが患者にとって危険か?」を述べるのに「末梢での酸素利用」を述べる意義が無いなんてとても私には理解出来ません。

それについては二人が話していても埒が明かないので第三者が出てくることを待ちましょう。

主さんさえよければ、某SNSにリンクを貼って人を呼びますがどうでしょうか?

by ガチポテ (2013-11-23 10:53) 

Kim

ガチポテさん、しょうもない一医師(アイドル関係の動画を載せている段階で、みた人は、大したやつじゃないと思うのではないでしょうか)のブログでどうしてそこまでしたいのかよく分かりませんが、いくらでもお願いいたします。

by Kim (2013-11-23 11:29) 

がちぽて

それは先生が

>私は基礎をいつも大事にしています。研修医の先生に指導させていただく時は、前後に教科書を必ず確認します。勉強すればするほど、基礎は馬鹿にしてはいけないと痛感します。
>だからoxygen deliveryの式を見ました。先生のようにレベルの高い方には「いまさら」かもしれませんが、私には必要なことです。またこのブログは医学生さんや看護師さんなども見てくださっているようなので、基礎はそういった方にも参考になると思います。

とおっしゃられるからです。
by がちぽて (2013-11-23 11:52) 

Kim

私には能力がないので、理由がよく分かりませんが、他の方のご意見がいただけるのを待ちたいと思います。

by Kim (2013-11-23 12:51) 

救急医シロ

 私もそんなに詳しいわけではありませんが、
 同じCaO2でも、Hbが10g/dLでSaO2 70%の場合と7g/dLで SaO2 100%の場合では、CvO2は前者が高く、VO2は前者が低く、より恐ろしいでしょう。同じでは無いです。更に言えば、貧血では粘稠度の低下が末梢血管抵抗の低下をもたらすため心拍出量は上昇するので、これも同じCaO2では有利となるはずです。
 私はそう理解しています。

 ちょっとずれますが、こんな論文があります。Hbは低めに管理する試みが次第に正当化されつつあります。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1211801
by 救急医シロ (2013-11-28 21:40) 

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