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胃酸の分泌抑制効果が早く出るのはPPIかH2RAか?? [医学関連]

 胃潰瘍などの薬として胃酸分泌を抑制する薬があります。一つはPPIでproton pump inhibitorの略です。プロトンポンプ抑制剤で、タケプロンとかオメプラールと言うような薬です。これは胃酸分泌の最終段階?の塩酸を出すところに作用します。

 もう一つはH2RAで、ヒスタミンH2受容体拮抗薬で細胞の表面にあるヒスタミン受容体に作用します。ガスターやザンタックはこちらです。

 テレビに例えれば、アンテナがH2RAでテレビ画面の液晶がPPIみたいなものです。アンテナを壊しても、録画したビデオを見ることは出来ます。だからPPIの方が強力かもしれない、、、、たぶん。

 両方を併用するのは本来ダメなんですが、多少の違いがあります。

 H2RAは内服後2〜3時間で十分な胃酸分泌抑制効果を示す。
 PPIは2〜3日かけて強力な胃酸分泌抑制効果が得られる。

 H2RAは夜間のpH上昇効果が強いが、PPIは食後や日中のpH上昇効果が強い。
(木下芳一:内視鏡診断に基づいて胃酸分泌抑制を考える. Medical Asahi : Vol.42, No. 7, P.20-21, 2013)

 夜に胸焼けが強くて寝られないという人がいたら、H2RAを追加すべきかも知れませんね。

 昔参加させていただいたACLSコースで、熊本大学の消化器内科の先生が、消化管出血でPEAと言う症例に対して、今日はガスターを投与、明日からタケプロンを行ってください、、、、と言っていたんですが、業者さんに聞いてもそう言う効果はないと言われました。業者はあてになりませんね。

 ただ、胃酸分泌抑制効果が早く出るから、例えば消化管出血に対してはH2RAが良いという証拠はありません。UpTpDate "Overview of the treatment of bleeding peptic ulcers(出血性消化性潰瘍の治療の概要)"には「Treatment with PPIs leads to elevation of gastric pH levels, which stabilizes blood clots and improves clinical outcomes. As a result, PPIs are recommended for all patients with peptic ulcer bleeding.(PPIによる治療は胃内pHの上昇を起こし、凝固した血液を安定させ、臨床的アウトカムを改善する。よって、PPIは全ての出血性消化性潰瘍患者に推奨される)」とあります。

 こちらの文献には、死亡率には差がないが、再出血や手術になる可能性はPPIが非常に低いと書かれています。

 色々な論文を読むときには注意が必要です。何を結果として出しているのか、、、、です。

 AKB48はCDが日本で一番売れているので、日本で人気があるアイドルグループである。

 これは誰でも本当か?と分かりますよね。人気はCDの売り上げだけではありませんし、そもそも、CDを一人で何枚も買っている人がいますから、、、、、医学文献も同じように本当か?と考えて読まないといけませんね。
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