軽い気胸には酸素投与が有用です。 [医学関連]
気胸の患者さんに酸素を投与すると改善します。今日はこの事を書いたICU roomからです（と言ってもほぼそのまま）。
Q: 64 year old male, admitted to ICU for unrelated reason, found to have about 10% of pneumothorax (PTX) after subclavian central venous line placement. Patient is hemodynamically stable, alert, oriented and saturation is 98% on room air. You decided to observe the patient. What amount of oxygen should be applied at least via nasal canula to increase the absorption of pneumothorax?
質問 64歳の男性がICUに入院中。鎖骨下静脈からの中心静脈ライン留置後に10％の気胸を起こしているのが発見された。患者は気胸を起こすような疾患ではない。循環動態は安定していて、意識は清明、酸素飽和度は室内空気で98%。患者は経過観察となった。
気胸の吸収を促進するために最低何リットルの酸素を与えるべきでしょうか？
Answer: 3 L/min
By applying oxygen, you may be able to treat stable, low volume, PTX by process called "Nitrogen washout". On room air, most of the air volume trapped in the pleural space is Nitrogen. By breathing higher amount of oxygen, you lower the level of Nitrogen within the alveoli and, thus, the nitrogen in the pleural space will diffuse across (down the gradient).
窒素の洗い出しと呼ばれている機序により、酸素投与によって、安定した軽度の気胸の治療が可能かも知れない。室内空気では、胸膜腔に存在するガスの大部分は窒素である。高濃度の酸素を吸入することにより、肺胞内の窒素濃度を下げ、胸膜腔の窒素が吸収される。
Though it would not harm to apply 100% non-rebreather mask (NRM) in a patient who has no contraindication, oxygen administration at 3 L/min nasal canula or higher flow is associated with a 4-fold increase in the rate of pleural air absorption compared with room air alone.
禁忌のない患者では、非再呼吸マスクにより100％酸素を与えることは危険ではないが、経鼻カニューラで3リットル／以上投与すると胸膜腔のガスの吸収速度が、酸素を投与しない場合と比較して4倍に増える。
中心静脈ラインというのは、腕などからの点滴では難しい場合に肩や首、足の付け根などから入れる点滴です。特に鎖骨下静脈に入れる場合には、肺がすぐ近くにあるので肺に穴を開けてしまう危険があります。これは100％防げるものではなく、どうしても起こります。だから起こったらどうすべきか？と言うことを研修医の先生には学んで頂きます。起こるはずがないと言う風に考えてはいけません。中心静脈ライン留置では気胸を作るものだと教えています。それでも必要な場合にのみ入れる点滴だと。
この曲ぐらい強い気持ちになった場合のみと言うことです(^^)。
Q: 64 year old male, admitted to ICU for unrelated reason, found to have about 10% of pneumothorax (PTX) after subclavian central venous line placement. Patient is hemodynamically stable, alert, oriented and saturation is 98% on room air. You decided to observe the patient. What amount of oxygen should be applied at least via nasal canula to increase the absorption of pneumothorax?
質問 64歳の男性がICUに入院中。鎖骨下静脈からの中心静脈ライン留置後に10％の気胸を起こしているのが発見された。患者は気胸を起こすような疾患ではない。循環動態は安定していて、意識は清明、酸素飽和度は室内空気で98%。患者は経過観察となった。
気胸の吸収を促進するために最低何リットルの酸素を与えるべきでしょうか？
Answer: 3 L/min
By applying oxygen, you may be able to treat stable, low volume, PTX by process called "Nitrogen washout". On room air, most of the air volume trapped in the pleural space is Nitrogen. By breathing higher amount of oxygen, you lower the level of Nitrogen within the alveoli and, thus, the nitrogen in the pleural space will diffuse across (down the gradient).
窒素の洗い出しと呼ばれている機序により、酸素投与によって、安定した軽度の気胸の治療が可能かも知れない。室内空気では、胸膜腔に存在するガスの大部分は窒素である。高濃度の酸素を吸入することにより、肺胞内の窒素濃度を下げ、胸膜腔の窒素が吸収される。
Though it would not harm to apply 100% non-rebreather mask (NRM) in a patient who has no contraindication, oxygen administration at 3 L/min nasal canula or higher flow is associated with a 4-fold increase in the rate of pleural air absorption compared with room air alone.
禁忌のない患者では、非再呼吸マスクにより100％酸素を与えることは危険ではないが、経鼻カニューラで3リットル／以上投与すると胸膜腔のガスの吸収速度が、酸素を投与しない場合と比較して4倍に増える。
中心静脈ラインというのは、腕などからの点滴では難しい場合に肩や首、足の付け根などから入れる点滴です。特に鎖骨下静脈に入れる場合には、肺がすぐ近くにあるので肺に穴を開けてしまう危険があります。これは100％防げるものではなく、どうしても起こります。だから起こったらどうすべきか？と言うことを研修医の先生には学んで頂きます。起こるはずがないと言う風に考えてはいけません。中心静脈ライン留置では気胸を作るものだと教えています。それでも必要な場合にのみ入れる点滴だと。
この曲ぐらい強い気持ちになった場合のみと言うことです(^^)。
お疲れさまです。こんにちは～(^_^)
CVは医師しか入れられない管ですよね。
交通事故で搬送された患者さんに胸腔ドレーンを入れて、容態が安定されるのと、この記事は似ているのでしょうか？
by めめ (2015-02-24 11:19)
めめさん、コメントありがとうございます。
胸腔ドレーンはそれなりに痛いものです。よって、それを避ける為に酸素投与だけでもいい場合があるという記事です。
by Kim (2015-02-24 14:17)
お返事ありがとうございました。
何も分からない子供が、親に聞くように不躾な質問(コメント)を連続投稿してしまいました。
過去のブログを拝見していると、医療従事者の方々が、ご自分の考えを熱く話されていて素晴らしいと思いました。
一般市民の１人に過ぎませんが、今後も拝見したいと思います。
by めめ (2015-02-24 19:19)
めめさん、コメントありがとうございます。
一般の方に分かるように書いているつもりです。分からない事は是非聞いてください。分かりにくい返答の場合、私のスキル不足ですので、気軽にここが分からないと言っていただければ幸いです。
by Kim (2015-02-24 23:23)