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破傷風の抗毒素は有効なのか?? [医学関連]

 こちらの記事にコメントいただいたのでお返事です。

 破傷風は非常にまれな疾患(年間100人前後)ですが、発症の危険はないと言って良いのでしょうか???

 以前も書きましたが、怪我をした人の傷から細菌を調べると、20人に一人に破傷風菌が検出されたという報告があるそうです。菌がいるから発症するとは限りませんが、20人に一人も!と言う気がします。
 破傷風になった人の半分ぐらいは、怪我をした覚えがないという統計もあります。それぐらい小さな傷でも発症する可能性があると言うことです。
 発症したら非常に激しい症状が出ます。助かるとしても何ヶ月も入院が必要になります。

 以上のことから破傷風は予防注射をしておくべき疾患だとされています(が、日本は風疹と一緒で予防注射に対する考えが甘いので、やっている人は少ないです。破傷風に関しては医師でも認識が甘い人がいます。)。

 今回は破傷風抗毒素(破傷風免疫ヒトグロブリンTIG)についてです。結論から言えば、有効です。使った方が死亡率が低い、発症率も低いです。発症してからでもです。

 以下はこちらの本からのお話です。





 破傷風は日本で年間100人程度なので実験する事が非常に困難です。よって過去の事例を引っ張り出すしかないようです。
 1914年の第一次世界大戦の時に、イギリス陸軍では8月と9月に破傷風患者が戦傷者1000人中3.7人と9人発症したそうです。そこで10月中旬から抗毒素の投与が実施されたそうです。
 10月は7.2人でしたが、11月は2.3人、12月は1.4人と減少、その後は常に3人以下で、低い時は0.2を示したそうです。が激烈な戦闘があった1916年から1917年には破傷風は依然として発生していたそうで、限界はあるようです。
 なんと、このデータが破傷風抗毒素の有効性を科学的に示した唯一のものだそうです。

 別の実験があります。1960年にBrownさんが行ったもので、ジャマイカとナイジェリアで行われました(破傷風の発症が多いのに抗毒素があまり手に入らないためだそうです。抗毒素を使わないのは倫理的に問題があるので、不足しているから使えないという国を選んだと言うことらしいです)。何故このような方法を行ったのか分かりませんが、、、、以下のような感じです。

 二つの封筒の中に、抗毒素を使う、使わないと書いた紙をそれぞれ入れて、破傷風患者が入院したら、主治医にどちらかを無作為に渡した。主治医はそれを開封して、それに従い投与の有無を決定。それ以外は全て同じ治療を行った。
 例えば、1,5,6,8,9番目の患者が抗毒素注射、2,3,4,7,10番目の患者は無投与となったとします。抗毒素の効果を1と2、5と3、6と4、8と7、9と10の組で比較します。どちらも死亡、あるいは助かれば統計から外し、抗毒素側のみが助かれば+1、逆ならば−1として、これが抗毒素有効ラインを超えた時点で実験終了とし、この実験では18組目で抗毒素有効と判断されたそうです。
 抗毒素有効ラインというのがよく分かりませんが、、、、、5ぐらいから始まり、10組目で10、40組目ぐらいで20になっています。イギリスの熱帯病研究所の統計学者が考えた方法だそうです。ネットで調べたんですが、、、、載っていませんでした。じゃんけん選抜みたいなものでしょうね(^^)。


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