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破傷風を忘れないようにしましょう [医学関連]

 今日は死腔についてお話しする予定でしたが、ちょっと変更です。

 破傷風についてです。破傷風は非常にまれな疾患(2010年には日本で106人発生)ですが、死亡率が高い(2010年には14人が死亡、人口動態統計より)病気です。

 予防注射があり、100%発症を予防できる訳ではありませんが、破傷風になった人の多くは予防注射をしていない人です。是非予防注射を!と思いますが、何故か日本ではあまり普及していません。

 多くの日本人、そして医療従事者が、頻度が低いから良いんじゃない?と思っていると言うことです。

 しかし、頭を打ったから念のためCTを、、、、、インフルエンザだったら困るから検査を、タミフルを、、、、、と言う国です。死亡率が20%を超え(癌ではない良性疾患で、死亡率が20%を超えているというのはすごい悪い病気です)、治る人も何ヶ月も入院して人工呼吸が必要となります。そんな病気になったら困るから、予防注射をしておくというのが、日本の医療として矛盾がありません。予防注射は数千円ですみますが、破傷風になったら数百万円の医療費がかかります。

 破傷風菌は珍しい菌ではなく、その辺の土の中に普通にいます。動物の腸の中に多いということで、牛や馬を飼っている付近に多いという噂がありますが、関係なくいます。ある研究では、怪我をした患者さんの15人に一人に破傷風菌がいたとされています。

 破傷風になった人の3割ぐらいが怪我をした覚えがないと言われるそうです(そのぐらい小さな傷で発症すると言うことです)。誰でもなる可能性があるのです。是非予防注射を受けましょう。

 こんな怪我で、、、、と言う症例が、阪南病院のホームページに載っています。喘息のために予防注射をしていなかったそうです(これ明らかな禁忌でないと思うのですが)。

 小児期の予防注射は1969年から始まっているそうです。私は1968年生まれなので、私より年上の方は抗体がない(自分でやっていれば別ですが)のでいつも勧めています。私より若い人でも、20歳を超えてから抗体の量が減ってくるらしいので、30歳前後で(20歳前後でも良いと思いますが)注射してもらうのが良いと思います。

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さうざんバー

予防接種はとても大切ですが、副作用が万一自分の子どもに当たったら・・・?と考える親御さん、これだけ清潔にしているのだから病気にはなら無い!と変な自信のある親御さん・・・(--;)どちらも、説得は大変ですが、正しい知識で、正しい摂取!そして、摂取後の正しい健康管理をしていただきたいですね(^^)
by さうざんバー (2012-05-28 18:12) 

Kim

さうざんバーさん、コメントありがとうございます。

そうですね。難しい問題です。日本人には理解しにくい事かも知れませんね。

公のために個が犠牲になる、、、、昔はよくあったんですがね。一人の犠牲者も出さないことは無理なので、何かを捨てるしか仕方がないです。

これを普段の診療で説明し、理解してもらうのはかなり困難ですよね。何とかならないかな〜。


by Kim (2012-05-30 16:01) 

医学生女子

先生こんばんは。

今日私の姉が子どもの予防注射に行ってきたようです。三種混合ワクチンとついでに、Hibワクチンも一緒に接種してきたようです。

私が姉に、先生のブログを見せて「破傷風の予防注射を受けた方がいいよ」って言っておいたので、子どもの予防注射の際に、大人の破傷風の予防注射を受けたいと言ったそうですが、先生は「??」だったみたいです。

「あなた釘でも踏んで足に刺さったの?」

と言われたそうです。


姉は私より10歳以上も年上で、30代半ばですので、予防注射の「受け時」ではないかなって思うのですが、やっぱり「まれな病気だから良いじゃない」という感じなんでしょうかね。

東日本大震災の被災地では感染が報告されていますが、被災地から遠く離れてる当地では情報が伝わっていないのか否かはわかりませんが。

姉は先生のブログを見て破傷風が怖くなったようで、注射をしてくれる病院を探すと言っています。

by 医学生女子 (2012-06-12 19:30) 

Kim

医学生女子さん、コメントありがとうございます。

残念な出来事でしたね。まずですが、患者さんが言われたことを否定するような発言は出来るだけ避けるべきですね。お姉さんは是非受けるべき年齢だと思います。私の以前の勤務先は常備していますよ。

それから、あまり否定的なことを書いてはいけませんが、、、、お子さんにDPTをしながら大人にはいらないなんて矛盾していると思います。お母さんはしなくて良いというのであれば、あるかどうか知りませんが、お子さんにはDPワクチンを投与すべきでしょうね。

それから破傷風の予防注射はどうすべきか?は、本当は難しいです。頻度的にはかかることはまずないですが、かかると大変です。医療費という大きなカテゴリーから考えれば、ワクチン一人1万円としても、一人発症させなければ300人ぐらいにうてます。ちゃんと打てば1000円ぐらいでしょうから、3000人にうてます。もっと頻度は低いのですが、、、、Hibも同じような感じだと思います。

ちなみに、東京と鹿児島は破傷風が多い(と言っても年間数名なので有意差はありませんが)んですよ。

by Kim (2012-06-12 19:31) 

ごろべあ

kimさん 医学生女子さん こんにちは

ごろベアと言いまして
今年のこどもの日に 家族でサイクリングに出かけ
自転車で泥の上で転び
(まさか40にもなって右膝を縫うことになるとは思いませんでしたが(^^;;

破傷風の恐怖でネットサーフィンしまくり
このブログにたどり着いた次第です

http://kekimura.blog.so-net.ne.jp/2010-01-19

ベテランの看護師さんの一言で
トキソイド躊躇なく打ちましたが
先生の(打っても打たなくてもどっちでもいいよ
だけでしたら 間違いなく打たなかったと思います

2歳までにDPT4回 きちんと間隔を守り接種
12歳の頃の追加接種は不明です

今回の怪我を機に
ブースターを
10年毎に打とうと決心しています

怪我の消毒で通院してた病院には取り寄せてもらいました
否定的なことは何も言われなかったですよ

何にしても知らないことほど恐ろしことはないと
思いました

子供は今年9歳になりますが
彼が赤ちゃんの時は HIbワクチンなどなかったし

日本脳炎の予防接種も 勧奨接種が控えられてました

2年ほど前から乾燥なんちゃらのワクチンができ
接種が開始されたようです
(よく海外渡航があれば接種が望まれるといいますが
日本でも発症してるみたいですね

もうちょっとよく調べて接種しようかと考えてます

今回の怪我で
母親が幼少時DPT4回接種してくれていたこと

自分の子供には日本脳炎以外はきちんと接種していることなど

予防接種は大事な子供へのプレゼントだと本当に思います

友だちには怪我のことと共に破傷風の追加接種の重要性を伝えてますが
誰も強く共感してくれません(涙

そんななか 1人野良猫に引っ掛かれた友達だけが
強く共感してくれました
彼女も引っ掻かれた翌日指が腫れ上がり
破傷風トキソイドうってもらったそうです

私は東京湾岸に住んでおり
首都直下地震が恐ろしいです

だから破傷風きちんと接種しますよ










by ごろべあ (2012-06-13 10:31) 

Kim

ごろべあさん、コメントありがとうございます。

予防接種はプレゼント、、、、素晴らしいお言葉です。予防接種は不思議な医療です。何もないのが当たり前です(それが予防接種が効果があったと言うことですから)。発症すれば効果がなかった、副作用が出れば副作用が出たと文句を言われます。破傷風も訴訟になる事例が多発しています。我々は破傷風になっても訴えません!と宣言していただければ良いんですが、、、、、説明は聞いたけど、そんな重大なこととは知らなかった、、、、なんて訴訟も今後増えるのではないかと思っています。

レバ刺しを禁止するような国が、何故破傷風の予防を成人にも勧めないのか不思議でなりません。

大阪の病院では2005年頃に子供が破傷風になっているようです。軽い傷でまさかの発症と書かれています。そういう物です。発症してからでは遅いです。

http://www.hannan-chuo-hsp.or.jp/iryo/shonikatopics/bn/46.html

by Kim (2012-06-13 10:58) 

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