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EDDとは [CPRの基礎]

 蘇生講習会ではEDDと言う器具が使われます。挿管した後の確認を行う器具です。

 心肺蘇生中です。
研修医A 「B先生、僕は気管挿管したことないので、やっても良いでしょうか?毎日気道管理トレーナーで練習していますから、、、」
看護師K 「先生いつも夜遅くまで病院にいますもんね。偉いです!一部では特定のナースの夜勤の時に多いから、彼女のストーカーと言われていますが、、、、」
研修医A 「えっ、、、俺ってそんな風に見られていたんだ、、、、」
指導医B 「気管挿管は、メンバーの中で一番上手い人がやるべきだと言われているんだぞ。でも俺も最近やっていないから、ストーカーと間違われるぐらい毎日練習していたのならいいだろう。」
研修医A 「ありがとうございます!でもストーカーはやめてください、、(本当はKさんが帰るときに一緒になりたいからいたんだけどね、、、、確かに訓練もしたけど、ほとんどの時間は寝ているか、大好きな渡り廊下走り隊の曲を聴いていただけなんだけど、、、それは内緒)」

研修医A 「挿管しました!」
看護師K 「さすがA先生、胸骨圧迫の中断はたったの8秒ですね。操作全体でも26秒しかかかっていませんね。練習の成果ですね!」
指導医B 「じゃあ挿管の確認をしよう。身体的所見だけでは2割近く食道挿管を見逃すとされているので、器具を使おう。以前は二次確認と言われていたものだが、現在はそういう言葉はなくなって、必須の物とされているんだ。これが食道挿管検知器。Esophageal intubation Detector Deviceで略してEDDだ!」
看護師K 「B先生がきれいな女性の業者さんにサンプルでもらったんですよね。」
指導医B 「Kさん、余計なことを言わないように、、、、基本使い捨てなんだが、別に使い捨てにする必要ないでしょう。病院経営に貢献したと言ってもらいたいね。」
研修医A 「あれ?先生、これ膨らんできませんよ、、、、これで良いんですか?」
指導医B 「う〜ん、A先生はセンスあるようだね。食道挿管の実技はA評価をあげよう。さあバッグバルブマスクでしばらく換気しよう。その後、私がお手本を見せてあげよう!」

指導医B 「ほら、これがベテランの手技だぞ!ビデオに撮っても良いぐらいだぞ!!」
看護師K 「買ったばかりのiPhone4Sで撮影しておきましたよ!YouTubeにアップしておきます!」
研修医A 「あれっ?バルブ膨らんできませんが、、、、」
指導医B 「お前のEDDの使い方が悪いんだ!貸してみろ!ん?48歳の麻酔科の先生をコールして!!それから、YouTubeへのアップはキャンセルを!」
看護師K 「私はauのを買ったので、もうアップされちゃいましたよ〜。消し方分からないのでごめんなさい〜」

 EDDはこちらに説明があります。ブルーの固いゴム?でできています。大きい注射器でも代用できるようですが。気管チューブを吸引して引けるかどうかで判定します。食道に入っていれば食道壁がぺちゃんこになってすぐ吸引できなくなるのですが、気管に入っていれば、気管は軟骨があってぺちゃんこにならないのでいつまでも吸引できるという理屈です。

 しかし、おぼれて救急車で運ばれると、気管にちゃんと挿管されていてもバルブが膨らまなかったり、換気の不具合で胃がぱんぱんになっていたり、コーラなどを飲んだ後に心停止すると胃に空気が大量にあるので、食道挿管してもバルブが膨らむことがあります。

 CoSTRやAHAのガイドラインに引用されているこちらの文献(何と日本人の研究です!)によれば、EDDの感度は70.8%しかなく、院外などで気管挿管の確認をする方法としては不十分であるとしています(他にCO2チェッカーなども検討していますが、感度は64.6%だったそうです)。が、特異度は100%であり、EDDが膨らめば食道挿管は否定できる(この研究ではと言う意味で、現場ではそうとは限らないでしょうが)と言う事で有用と思いますが、、、、気管挿管されているのにそうだと診断できない割合が3割近くあるのでいけないのでしょうかね。複数の検査を組み合わせて、全部陽性でないとダメとするともっと精度が下がり、気管挿管できた!と思える率が低下します。まあ、食道挿管を気管挿管と間違える方が罪が重いので、そういう点では良い検査だと思います。

 JRC蘇生ガイドライン2010のP.54には、この器具は身体所見と精度が変わらず、持続的呼気二酸化炭素モニターを推奨しています(クラスI)。持続的にCO2を測定する器械だと感度、特異度ともに100%と言う報告もあるそうです。

 どちらにしても、気管挿管がキチンとされていると判断するのはとても難しいことだと理解していただければ幸いです。たまに食道挿管されていたと言うニュースがありますが、この子はAKB48かSKE48かNMD48、あるはHKT48か判別するのが難しいのと同じ、、、、と言ったら怒られるでしょうか?

 ちなみに、AKB用語?でDDとは誰でも大好き(女なら誰でも良い??)と言う意味です。EDDはエロくて誰でも大好きという意味になるんでしょうか?最低ですね(^^)。

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こんにちは

つい先日、厚労省が特定行為として看護師にも脱水時の点滴処置、褥創処置が行える等の医療処置の規制緩和を検討するとのニュースがありました。私としては、看護師の役割は、脱水状態に陥らないように、また、褥創にならないような観察力と、細やかなケアにあると考えています。故に、厚労省の考えは的外れだと考えています。なぜ、こんな事を厚労省は検討するのか、理解に苦しみます。看護師に、医師の代行を行えということでしょうか?
by こんにちは (2011-11-16 15:45) 

Kim

こんにちはさん、コメントありがとうございます。

そうですね。褥瘡処置はすでに行われていますので、法的に認めていただけるのはありがたいことですよね。点滴に関しては、脱水になっているかどうかが大切で、これは的外れだと思います。

他にやって欲しいことはたくさんあるのですが、、、、

おっしゃる通り、観察と細かいケア、、、これが大切です。医師でもですが。しかし、点滴などの処置の方が派手なので目立つんですよね。大切なことが見えていないんでしょうね。

by Kim (2011-11-17 13:53) 

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