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災害医療についても書いてみます [災害医療]

 先週DMAT隊員養成研修に参加させていただきました。何と県が受講費、宿泊交通費を出して下さったみたいで、一生懸命勉強する義務があります。復習をかねて時々アップさせていただきます。

 ちなみにDMATは「disaster medical assistance team」の略で、日本語では災害派遣医療チームです。

 救急科専門医の試験にもDMATについての問題が出されていますので、予想問題を作ってみました。

問題 航空機内で医療活動を行う場合の注意点について間違っているのはどれか。二つ選べ。
(a)航空機内とはいえ、医療チームであるので、医師の方が機長よりも権限がある。
(b)2400m上空では、正常人でもSpO2が90%近くまで低下する。
(c)機内で死亡診断を行う事はできるだけ避ける。
(d)2400m上空では、気体は1.35倍の体積になる。
(e)航空機内には電源が豊富にあるので、バッテリー切れの心配はない。

 災害が発生すると、被災地域の医療能力は低下します。被災地域では対応が難しい患者さんは被災地域以外へ搬送する必要があります。そのために航空機を用いるので、航空機内の医療活動について勉強しておきましょう。

 以下の解説のページ数は全て「DMAT標準テキスト、日本集団災害医学会監修、へるす出版」のものです。

(a)× 航空法第73条には「機長は、当該航空機に乗り組んでその職務を行う者を指揮監督する」と書かれており、医療チームの上に機長が存在します。よって、離着陸時に患者さんが心肺停止になっても、医療行為が始められないこともあり得ます。なので、あまりに重症な患者さんは、航空機による搬送は出来ません(P.194)。
(b)○ その通りです(P.254)。
(c)○ 航空法第73条第1項には、航空機事故として「航空機内にある者の死亡」も挙げられており、もし航空機内で病死であっても死亡したとなると、国土交通省に報告しなければなりません。よって、可能な限り航空機内での死亡確認は避けます(P.194)。
(d)○ その通りです(P.255)。よって、気胸が悪化したり、胃の膨満がひどくなって嘔吐したりと言う合併症が起こりえます。
(e)× もちろん電源はちゃんとありますが、通常の商用電源に変換するコネクターの供給が得られる保証がないので、DMAT側がバッテリーを準備する必要があります(P.257)。

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コメント 6

へびぱく

1は、すぐに誤りとわかりました。
当然年長のCAだと思ったのですが。
「しっかりしてください、機長」とか言いそうだし、
最近、上に立つ者が情けなくなっている日本ですから。
by へびぱく (2011-11-18 10:28) 

ふりーだむ

SpO2が90%にまで落ちるというのは驚きでした
飛行機でビールやらワインを飲むと
頭痛がしやすい(個人的感想)のは
そのせいでしょうか・・・?
タダ酒の飲み過ぎ・・・^^?
by ふりーだむ (2011-11-18 11:31) 

Kim

へびぱくさん、コメントありがとうございます。

なるほどですね(^^)。年長のCAさんの方が偉いかもですが、ちなみに患者さんを災害時に搬送する航空機は自衛隊機である可能性が高いので、CAさんはいません。もちろんドリンクサービスもありません。

by Kim (2011-11-18 21:55) 

Kim

ふりーだむさん、コメントありがとうございます。

飛行機の中では酔いやすいらしいですね(理由は忘れました)。だからでしょうね。でも飛行機の中で飲むお酒はまた格別ですよね。

by Kim (2011-11-18 21:57) 

ぐりん

はじめましてぐりんといいます
災害医療に目覚めて、救急にはまっている状態です。
9/1訓練やDMAT訓練などありますので
どこかでお目にかかるときがあるかもしれませんが
その時はよろしくお願いいたします
by ぐりん (2012-07-08 00:22) 

Kim

ぐりんさん、こちらこそよろしくお願いいたします。

普段からの訓練は大切ですよね。もしお目にかかった時には、よろしくお願いいたします!

by Kim (2012-07-08 07:35) 

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