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一人よりも二人で協力しあえば、、、、 [CPRの基礎]

 ACLSコースでバックバルブマスクの使い方を習いますが、一人よりも二人で行う事を推奨しています。一人でやるのはなかなか大変だからです。真面目に?やっていると手がつってしまいます。

 機械も単独ではなく協力してやった方がよいと言うデータが出ています。ランセットと言う雑誌に載っています。

 一人はACD(active decompression-decompression device)と言う機械です。便所掃除の時に使う吸引するヤツです。こちらに写真があります(文章は英語ですが、写真だけ見てください)。これを胸につけて押したり引っ張ったりします。特に引っ張る時に胸の中の圧がマイナスになる事がポイントです。

 もう一人はITD(inpedance threshold device)と言う機械で、気管チューブに装着するバルブです。通常の換気の時には何の動作もしません。が、胸骨圧迫を解除する時に胸の中の圧が下がるのですが、その時に弁が閉じて空気が胸に入ってこなくなります。すると胸の中の圧が下がります。これがこの機械のポイントです。

 心臓のスターリングの法則と言うのがあって、心臓は、心臓に帰ってきた血液をそのまま送り出す能力しかないそうです。いくら心臓が元気でも、帰ってきた血液以上送り出さないのです。貰ったお金の分しか働かない若者のような臓器ですね。

 また、心臓は自力で大量に血液を吸い込む力がないんだと思います(たぶん)。よって、心臓は、自分が入っている胸の圧力の変化に助けてもらっています。胸腔内圧が陰圧になると、その分だけ胸の中に血液が入ってきて、ついでに心臓に血液が入ってくると言う訳です。

 胸腔内圧が陰圧になる事は、全身に血液を送り出すためにとても重要だと分かります。先ほどの二人のエースはとても役立つ機械だと言う事も分かりますね。よって二人で協力すればもっと、、、、と言うのが今回紹介した論文です。

 長文になったので内容は原文を読んで頂くとして、2470人の患者さんを対象として、一方は普通に蘇生、一方はACDとITDの両方を使って蘇生しました。前者は6%の人が生存退院したのに対して、後者は9%もの人が生存退院したそうです。何と生存率が1.5倍になったのです。別の言い方をすれば、NNTが33.3と言う事で、約34人の人にこれを行うと一人の人に意味があると言う事です。なんだ、、、、と思うかも知れませんが、多くの治療はこんなものです。NNTと言う指標が二桁なのは結構良い治療です。
 この研究は色々問題があるみたいなんですが、まあ、一般の人にはそういう研究があったと言うだけで良いでしょう。ちなみに、標準的な心肺蘇生は2005年ガイドラインにのっとって、ACDとITDを用いた方は何故か圧迫の早さを80回/分にしたそうです。なんでだろ〜♬。

 ただし、ACDは腰がわっぜ痛くなるそうです。医療関係者の皆さん、毎日腰を鍛える運動をしましょうね!

 2015年のガイドラインに採用されるかも知れませんね!4年も前にフライングゲットです!


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