夜眠りたい時には、患者さんにラシックスを投与しましょう(皮肉です) [研修医教育]
医療ドラマを見ていると、良くあるシーンです。
超かわいい看護師さん 「先生!例の患者さんが急変です!!」
超いけめんドクター 「(昨日の看護師さんとの情事を思い出しながら)何だって!(昨日あんなことしていたから、、、何て俺はバカなんだ!)ラシックスを!!」
(なぜか)意地悪そうな師長 「あなた何もたもたしてるの!挿管の準備も!!」
なんでラシックスなんだ、、、、、と思います。
ラシックスは、ループ利尿剤と言う薬剤の一つです。利尿剤とはおしっこを出す薬です。何でおしっこを出す薬なんて必要なんだ?と思うかも知れませんが、人間が生きて行く上でおしっこが出ると言うのはとても大切な事です。重症な患者さんや癌の末期の人は、おしっこが出なくなったらもう数日の命です。
ラシックスの一般名はfurosemide(フロセミド)と言います。簡単に書けば、この薬は尿中ナトリウムを増やし、尿浸透圧を下げます(つまり尿量を増やす)。よって、心不全などの時に役立ちます。心不全は体内にナトリウムと水が貯留した状態だからです。急変した時にラシックス!と叫ぶ事は外科医の私にはあまりない(あと急変の時に呼ばれません。イケメンじゃないからかな(+_+))んですが、何となく名前もカッコいいから、ドラマではラシックスが出てくるんでしょうか?
病院では急変時以外にも患者さんの尿が少なくなる事がよくあり、その時に使われています。が、尿はただ出ればいいと言うものではありません。尿の質も重要です。質の悪い尿は沢山出ても意味がありません。AKB48もかわいい女の子をただ沢山集めたのでは売れません。オーディションをしてふさわしい?人を選んでいるからこそです(無理やりAKB48を出してみました)。
ラシックスは質の悪い尿を出す薬です。よって、夜中に患者さんの尿が少なくなった時にラシックスを注射すれば、尿が出るので良かった良かった、、、、と眠る事ができるかも知れませんが、実はそんな事はなく、翌朝指導医に起こられたり、患者さんが急変したりする事もあるのです。注意しましょう!
尿の質とは何かと言うと、尿中に老廃物を溶かす事が出来る用量のことです。詳細を知りたい方は以下の本を購入しましょう!(もちろんですが医療ドラマの話じゃないですよ)
本を買えない方はこちらを。
詳しく書くと、人間は一日に排泄しなければならない物質の量がある程度決まっています。そして尿を濃くする力も限界があります。つまり尿を最大限に濃くしても、1日500ml程度の尿は必要です。以前海水を飲んで何故生きられないのか?と言う記事を書きましたが、海水は尿の最高濃度よりも濃いので、老廃物を出せなくなるためです。
尿量が少ない場合には、老廃物が解ける事の出来る容量を確保しなければなりません。つまり尿は濃いのだが、ナトリウムは少ない尿を出す必要があります。ナゴヤドームのような大きな球場では、あまり近寄りたくない人が沢山いても他に席が沢山あるので良いですが、近くのグラウンドなどになれば、そう言った方は出来るだけ遠慮して頂かないといけません。
よく分からなくなってきたかも知れませんね(^.^)。
例えば、尿浸透圧が600mOsm/lだったとします。脱水になるとこれぐらいにもなります(もっと高くなるかも知れません)。また脱水になると人間はナトリウムを外に出さないように頑張りますので、尿中のナトリウム濃度が例えば10mEq/lとなります。他を無視すれば、590もの席を老廃物に使えます。窒素代謝物(Urea-N)を1g排泄するのに250mOsm/l必要だそうです。Urea-Nは1日1g以上排泄する必要があります。590÷250=2.36となりますので、1÷2.36=0.42L程の尿が出れば良いです。
ところが、ラシックスを使うと、、、、
尿浸透圧は例えば350ぐらいになります。そしてナトリウム濃度は75ぐらいになります。ナトリウム以外の座席は275となります。275÷250=1.1でこの尿を1.1リットル出さないとクレアチニンとかBUNが上昇してくると言う訳です。
さらに詳しい事は明日アップします!
尿について少し興味が湧いたでしょうか?もちろんですが、医学的な内容であって、変な方向に走らないようにしてくださいね!
超かわいい看護師さん 「先生!例の患者さんが急変です!!」
超いけめんドクター 「(昨日の看護師さんとの情事を思い出しながら)何だって!(昨日あんなことしていたから、、、何て俺はバカなんだ!)ラシックスを!!」
(なぜか)意地悪そうな師長 「あなた何もたもたしてるの!挿管の準備も!!」
なんでラシックスなんだ、、、、、と思います。
ラシックスは、ループ利尿剤と言う薬剤の一つです。利尿剤とはおしっこを出す薬です。何でおしっこを出す薬なんて必要なんだ?と思うかも知れませんが、人間が生きて行く上でおしっこが出ると言うのはとても大切な事です。重症な患者さんや癌の末期の人は、おしっこが出なくなったらもう数日の命です。
ラシックスの一般名はfurosemide(フロセミド)と言います。簡単に書けば、この薬は尿中ナトリウムを増やし、尿浸透圧を下げます(つまり尿量を増やす)。よって、心不全などの時に役立ちます。心不全は体内にナトリウムと水が貯留した状態だからです。急変した時にラシックス!と叫ぶ事は外科医の私にはあまりない(あと急変の時に呼ばれません。イケメンじゃないからかな(+_+))んですが、何となく名前もカッコいいから、ドラマではラシックスが出てくるんでしょうか?
病院では急変時以外にも患者さんの尿が少なくなる事がよくあり、その時に使われています。が、尿はただ出ればいいと言うものではありません。尿の質も重要です。質の悪い尿は沢山出ても意味がありません。AKB48もかわいい女の子をただ沢山集めたのでは売れません。オーディションをしてふさわしい?人を選んでいるからこそです(無理やりAKB48を出してみました)。
ラシックスは質の悪い尿を出す薬です。よって、夜中に患者さんの尿が少なくなった時にラシックスを注射すれば、尿が出るので良かった良かった、、、、と眠る事ができるかも知れませんが、実はそんな事はなく、翌朝指導医に起こられたり、患者さんが急変したりする事もあるのです。注意しましょう!
尿の質とは何かと言うと、尿中に老廃物を溶かす事が出来る用量のことです。詳細を知りたい方は以下の本を購入しましょう!(もちろんですが医療ドラマの話じゃないですよ)
輸液ができる、好きになる―考え方がわかるQ&Aと処方計算ツールで実践力アップ
- 作者: 今井 裕一
- 出版社/メーカー: 羊土社
- 発売日: 2010/06
- メディア: 単行本
本を買えない方はこちらを。
詳しく書くと、人間は一日に排泄しなければならない物質の量がある程度決まっています。そして尿を濃くする力も限界があります。つまり尿を最大限に濃くしても、1日500ml程度の尿は必要です。以前海水を飲んで何故生きられないのか?と言う記事を書きましたが、海水は尿の最高濃度よりも濃いので、老廃物を出せなくなるためです。
尿量が少ない場合には、老廃物が解ける事の出来る容量を確保しなければなりません。つまり尿は濃いのだが、ナトリウムは少ない尿を出す必要があります。ナゴヤドームのような大きな球場では、あまり近寄りたくない人が沢山いても他に席が沢山あるので良いですが、近くのグラウンドなどになれば、そう言った方は出来るだけ遠慮して頂かないといけません。
よく分からなくなってきたかも知れませんね(^.^)。
例えば、尿浸透圧が600mOsm/lだったとします。脱水になるとこれぐらいにもなります(もっと高くなるかも知れません)。また脱水になると人間はナトリウムを外に出さないように頑張りますので、尿中のナトリウム濃度が例えば10mEq/lとなります。他を無視すれば、590もの席を老廃物に使えます。窒素代謝物(Urea-N)を1g排泄するのに250mOsm/l必要だそうです。Urea-Nは1日1g以上排泄する必要があります。590÷250=2.36となりますので、1÷2.36=0.42L程の尿が出れば良いです。
ところが、ラシックスを使うと、、、、
尿浸透圧は例えば350ぐらいになります。そしてナトリウム濃度は75ぐらいになります。ナトリウム以外の座席は275となります。275÷250=1.1でこの尿を1.1リットル出さないとクレアチニンとかBUNが上昇してくると言う訳です。
さらに詳しい事は明日アップします!
尿について少し興味が湧いたでしょうか?もちろんですが、医学的な内容であって、変な方向に走らないようにしてくださいね!
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