善きサマリア人の法 [CPRの基礎]
善きサマリア人の法と言うのがあります。医療講演でよくお話しします。
善意で行った行為については罪を問わないと言うものです。駅で人が倒れ、心肺停止。そばにいた人が胸骨圧迫のみ行った。肋骨が折れてしまったという場合、処置を行った人に罪を問わないと言う法律です。もし、骨折させたと言ってしまうとバイスタンダーCPRは日本から消えてなくなり、病院の外で心臓が止まったらまず助かりません。
例えばアメリカではちゃんと法律があります。しかし、日本にはありません。一般市民は訴訟に巻き込まれる事はまずないでしょうが、、、
病院の外で医師が診療を求められたら、、、と言う話と関係あります。医師には応召義務と言うのがあって、診療を求められたら、正当な理由なく断ってはならないと医師法で決められています。正当な理由は法律には書いてないのですが、専門でないと言うのはダメらしいです。近くに救急病院があれば断っても良いみたいですが。
当然申し出るべきだろう！と思うかも知れません。が、半分以上の医師は知らないふりをしています。医学部に入ったり、研修病院を選ぶ理由の一つに、例えば新幹線の中で急病人が出たら出て行ける医者になりたいと言うのがあるのにです。
理由は以下の通りです。
・専門外の病気だったら対応法が分からない。
・不幸な事が起こると訴えられる可能性がある。
実際先ほどのWikipediaのリンクには、善意で対応したのに、逮捕されたり、訴えられたりした事例が紹介されています。 他にも急病人の治療のため、新幹線を止めたと言う事でJRに訴えられた先生も知っています。
新幹線を最寄りの駅に緊急停車させても数分遅れるだけだから安心して治療に応えて欲しいと聞いた事があるのですが、、、、
私は空港で対応した事が二回あります。一回目は先に別の先生が対応していたので、すぐ帰りました。二回目は精神的な不安を訴える方で、専門外でしたが、大きな問題は発生しませんでした。
ドクターコールがあっても出て行かない時の医師の気持ちは、こんな詩の少女と同じだと思います。
多くの医師が持っていた純粋な気持ちを継続できるよう、皆さん訴えないでくださいね。
善意で行った行為については罪を問わないと言うものです。駅で人が倒れ、心肺停止。そばにいた人が胸骨圧迫のみ行った。肋骨が折れてしまったという場合、処置を行った人に罪を問わないと言う法律です。もし、骨折させたと言ってしまうとバイスタンダーCPRは日本から消えてなくなり、病院の外で心臓が止まったらまず助かりません。
例えばアメリカではちゃんと法律があります。しかし、日本にはありません。一般市民は訴訟に巻き込まれる事はまずないでしょうが、、、
病院の外で医師が診療を求められたら、、、と言う話と関係あります。医師には応召義務と言うのがあって、診療を求められたら、正当な理由なく断ってはならないと医師法で決められています。正当な理由は法律には書いてないのですが、専門でないと言うのはダメらしいです。近くに救急病院があれば断っても良いみたいですが。
当然申し出るべきだろう！と思うかも知れません。が、半分以上の医師は知らないふりをしています。医学部に入ったり、研修病院を選ぶ理由の一つに、例えば新幹線の中で急病人が出たら出て行ける医者になりたいと言うのがあるのにです。
理由は以下の通りです。
・専門外の病気だったら対応法が分からない。
・不幸な事が起こると訴えられる可能性がある。
実際先ほどのWikipediaのリンクには、善意で対応したのに、逮捕されたり、訴えられたりした事例が紹介されています。 他にも急病人の治療のため、新幹線を止めたと言う事でJRに訴えられた先生も知っています。
新幹線を最寄りの駅に緊急停車させても数分遅れるだけだから安心して治療に応えて欲しいと聞いた事があるのですが、、、、
私は空港で対応した事が二回あります。一回目は先に別の先生が対応していたので、すぐ帰りました。二回目は精神的な不安を訴える方で、専門外でしたが、大きな問題は発生しませんでした。
ドクターコールがあっても出て行かない時の医師の気持ちは、こんな詩の少女と同じだと思います。
多くの医師が持っていた純粋な気持ちを継続できるよう、皆さん訴えないでくださいね。
「善きサマリア人の法」は聖書の話ですから、日本人には馴染みがなく、すぐには納得できない人が多いでしょうね。
「やさしい少女」の詩もグッと来ました。
こんな詩を知ってるなんて、Kim先生、なんてロマンチスト！
by リス先生 (2011-06-08 11:35)
リス先生、コメント＆nice!ありがとうございます！！
色々な所で出てくる、聖書ってすごいなあ、、、と思います。
吉野弘さんの詩は中学校の時に習いました。私が自発的に知っているはずありませんよ！
名古屋出身のアラフォーの人はみんな知っているはずです。何故か中学で習った事で、確実にこれを習ったと言う事は、これしか覚えていません。担当していた国語の先生の名前も顔もはっきりと思い出せます。桂ざこば師匠みたいな先生でしたが(^.^)。
当時の私はこの詩の意味が分からず、先生の解説に非常に感銘した事を覚えています。
by Kim (2011-06-08 14:56)
kim先生ご無沙汰して失礼しております。
救命専門医試験の解答を以前手伝わせていただきましたものです。
先日から、先生が言われていること、また急変時に医師が手を挙げて傷病者の方を助けるかどうか？
先生の言われていることに深く賛同しますし。
今回の言われている急病が現れた場合は私も悩みます。
私の同僚は家族旅行でバリ島に行く際に機内で突然の頭痛で倒れられた方がいて自分が脳外科医であるため手を挙げたがために、バリ島の病院まで搬送しその後も家族からの強い要望で病院にい続けたそうです。
そのため家族旅行はオジャンになり、日本に帰ってから、傷病者の親戚の
方から、初期対応が悪かったのではなど分けのわからないことを後から言われたそうです。
そんなことを聞くと飛行機など公共機関での傷病者に対し積極的に何かし
たあげようという気持ちにはなかなかなれなくなりますね。
by acute_medicen3832 (2011-06-08 16:55)
acute_medicen3832さん、コメントありがとうございます。
ブログ読んで頂き、また解説お手伝いありがとうございます。
我々医療従事者（救急隊の方も含めて全て）は仕事中でなくても、人の命が懸かっているんだ！と言う事で手を差し伸べる方ばかりのはずです。それが出来なくなってしまう、、、、こんな事は本当に避けて欲しいです。
バリ島の話ひどすぎます。家族旅行（それも海外！）よりも赤の他人のために時間を割いたのに、、、、それも無償ですよね（たぶん）。こんな人のために、、、、、と悲しくなったに違いありません。二度とドクターコールに応じられなくなりますよね。
逆に家族旅行をおじゃんにした損害賠償？で訴えたくなりますね！でもそんなことする医療従事者はほとんどいません。泣き寝入りですね。
ドクターハラスメントと言うのが良く話題になりますが、最近は患者の方が強いので、逆が多いです。そのために医療現場を去るスタッフは日本中で何人いるのか、、、、国民全体で良く考えるべきですね。
by Kim (2011-06-08 17:04)
kim先生お疲れ様です。
医療に携わる方は本当に大変ですね。
上手くいって当たり前、ひとつ間違えば患者側は告訴に走る・・・情けない現実ですね。
手術で神経が傷ついて身体の一部が不自由になった人がいます。
医療ミスで訴えたらと周囲に言う人もいましたが、それは注射針でも傷つく事があるとの事で、現実を受け入れて前向きに生きています。
この先の人生をどうするのか、見ていて不安に思いますが、本人はきっとどんなにか辛いと思います。
医師も人間ですから、絶対に不可抗力という事があるのだとつくづく思いました。
「やさしい少女」の詩は、胸にしみますね。
心情が夕焼けと共に伝わってくるようです。
by andante (2011-06-09 01:14)
この問題は医師の間ではよく話題になりますよね。
今まで国際線の機内で2回ほど、出くわしたことがあります。1回はもっと詳しい先生がいたのでお願いし、もう1回は自分で対応しました。いずれも重症ではなかったものの、専門外では非常に迷いますよね・・・相手が外国人の時はもっと迷いますが・・・・
これで訴訟になったら、厳しいですが、裁判ではきっちり主張したいと思います！というか訴えないでほしいですね。
by ask (2011-06-09 07:20)
お疲れ様です。
以前勤めていた病院で研修医のドクターも飛行機とかで探されても知らんフリするわぁって言ってはりました（＾＾；）設備も人もいない状況で無理やもんということでした。
by Bluemoon (2011-06-09 19:51)
andanteさん、コメントありがとうございます。
訴訟が全くないのはどうか分かりませんが、現在は何かあったら訴訟と言う感じがします。人間は必ず死ぬと言う事を忘れているのでは、、と思います。
治療が上手く行っても人は死にます。治療が上手く行かなかったから診断だと思うのは大変困ります。もちろんそう言う場合もあるのですが、、、、
by Kim (2011-06-10 00:50)
askさん、コメント＆nice!ありがとうございます。
多くの医者は数回は経験があるようですね。
たとえ勝ったとしても裁判は良いものではありません。それに裁判で反論する事って結構大変で、医学の常識から外れたものも多いと言う風に聞いています。是非訴えないで頂きたいです。
前も書きましたが、明らかに個々はバントと言う場面でも、ヒットエンドランをする事があるでしょう。それを何故バントをしなかったんだと言うのは簡単ですが、、、、、そうなるとプロの判断や技術と言うのは不要になりますよね。
by Kim (2011-06-10 00:52)
Bluemoonさん、コメントありがとうございます。
多くの医師が出て行きません。色々な理由があるでしょうが、私は出て行く医者でありたいです。
以前紹介した気がしますが、、、、、逆説の10箇条？です。
手を差し伸べたら、その人から訴えられるかも知れない。それでも手を差し伸べなさい。
勝手に裁判に変えましたが。
by Kim (2011-06-10 00:54)
命あるものは必ず死が訪れますね。
昔、母が手術をした際、成功したけれど助かりませんでした。
一瞬、夢の中の出来事のように思いましたが、本当に執刀のＤｒも精一杯の力を尽くしてくださいました。
それでも生身の人間には、どうにもならない事があるのだと、人はこうして生きているだけで奇跡なんだと、不思議な感覚がありました。
奇跡なんて物は、ドラマの中だけなのだと思いました。
今の医療なら助かっていたのかなと、時々ふっと思ったりしますが、あの時はあれが最高だったと、私たち家族は今でも感謝しています。
by andante (2011-06-10 01:22)
andanteさん、コメントありがとうございます。
そう思ってくださる人ばかりだと良いのですが、、、、
今はミスがなければ死なないと思っている人も多いようです。困ったもんです。
by Kim (2011-06-10 08:06)
良きサマリア人の例えは、そうした善意を行える、こころや思いを人間は持っているけれども、どこかで見返りを求めてしまう人の心を示していると聞いたことがあります。
私は患者として病院に行くだけですが、やはり医師の心労に感謝し、意のままにならない結果が出ても、医療ミスとか騒がないでいたいものです。
by めめ (2015-03-05 00:43)
めめさん、コメントありがとうございます。
めめさんのような方が増えると良いのですが、現実はなかなかです。が、やはりせっかく医師免許を持っているのですから、十二分に使いたいと思います。
by Kim (2015-03-05 07:22)
急病人になっても医者を呼ぶな。本人も周りの人も。
by きらきら星 (2017-03-07 06:49)
きらきら星さん、コメントありがとうございます。
その様な雰囲気に日本がなれば良いのですが、、、
by Kim (2017-03-08 11:26)