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頭部外傷患者さんにCTをとるべきか?(その2) [医学関連]

 前回の続きです。こちらの論文の紹介です。

 「Comparison of the Canadian CT Head Rule and the New Orleans Criteria in Patients With Minor Head Injury(軽症頭部外傷患者におけるカナダ頭部CTルールとニューオレゴン基準の比較)」

背景  軽症頭部外傷に対して頭部CTを行う事が近年急激に増加しており、有用性の検討が必要である。カナダ頭部CTルール(CCHR)とニューオレゴン基準(NOC)は軽症頭部外傷の患者に対してCTが必要かどうかを判断するための基準であり、CCHRはグラスゴーコーマスケール(GCS)が13−15、NOCは15の患者を対象としている。しかし、これらの指標には臨床上の不明確さが存在する。
目的 脳外科的介入の必要性と臨床的に重要な脳損傷を見つける能力に関する、これら二つのルールの臨床上の有用性を比較する。
研究方法 2000年6月から2002年12月までの前向きコホート研究である。カナダの9つの病院の救急部において、意識消失を目撃され、指南力低下、明らかな記憶消失があり、GCSが13−15の鈍的頭部外傷患者2707人にCCHRを施行した。CCHRとNOCを軽症頭部外傷でGCSが15の1822人に行い比較した。
主アウトカム CTとフォローアップの電話による聴取により発見された脳外科的な介入と臨床上重要な脳損傷
結果 GCSが15の患者1822人のうち、8人(0.4%)が脳外科的な介入を必要とし、97人(5.3%)が臨床上重要な脳損傷をきたしていた。脳外科的な介入の必要性に関して、NOCとCCHRはどちらも100%の感度を示したが、特異度はCCHRの方が高かった(76.3%対12.1%、P<0.001)。臨床上重要な脳損傷に関しては、CCHRとNOCは同じ感度(100%対100%、95%信頼区間96−100%)であったが、CCHRの方が特異度が高く(50.6%対12.7%、P<0.001)CT施行率が低かった(52.1%対88%、P<0.001)。臨床医の解釈に対するκ値はCCHR対NOCで0.85対0.47であった。CTが不必要であると言う解釈について、CCHRだと4%、NOCだと5.5%の間違いを認めた(P=0.04)。2707人のすべての患者において、CCHRは、脳外科的な介入を必要とした41名の患者に対して感度100%(95%信頼区間91−100%)、臨床的に重要な脳損傷を持っていた231名に対して感度100%(95%信頼区間98−100%)であった。
結論 GCS15点の軽症頭部外傷の患者に対して、脳外科的な介入の必要性と臨床上重要な脳損傷があるかどうかについて、CCHRとNOC共に高い感度を持っていた。CCHRは、臨床上重要な予後に関して、NOCよりも高い特異度を持っており、CCHRを行う事でCT施行率を減らす可能性がある。

 CCHRの方が有用であったと言う報告ですが、カナダからの報告なので、多少のバイアスがかかっている可能性があります(^.^)。

 どちらも感度が100%近いので、これらの基準に一つも当てはまらなかった場合、脳外科的介入(手術などの事です)が必要になったり、重大な損傷(手術にはならないが、入院して経過観察が必要だったりする場合です)がある可能性はほとんどゼロです。この基準をCT撮像しなくて良い基準にして問題ないと言う事ですね。

 特異度はそれほど高くないので、CTとっても何ともなかった、、、、と言う事は結構あるみたいですが、これは仕方ないと言う事でしょう。
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