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過換気症候群にペーパーバッグがいけないと言う文献の紹介 [医学関連]

 しつこい性格なので、、、、それから、過換気症候群について書くとコメントをたくさん頂きます。興味がある方が多いのでしょう。それから先日コメント頂いた方にファックスしたんですが、電話番号が違っていたようで、、、、メールをさせて頂いたのですが、届いたでしょうか??

 ペーパーバッグがいけないと言う文献の一つを紹介します。何と1989年のものです。私が医者になる前です。以下は原文です。日本語が好きな方は続きを。

Hypoxic hazards of traditional paper bag rebreathing in hyperventilating patients.
Ann Emerg Med.  1989; 18(6):622-8 (ISSN: 0196-0644)

Callaham M
Division of Emergency Medicine, University of California, San Francisco.

It is traditional practice to treat acute hyperventilation (thought to be due to anxiety) by having patients rebreathe into a brown paper bag. The author reports three cases in which this treatment, erroneously applied to patients who were hypoxemic or had myocardial ischemia, resulted in death. This clinical experience motivated a study of the effects of paper bag rebreathing in normal volunteers. Subjects deliberately hyperventilated to an average end-tidal CO2 concentration of 21.6 (SD, 3.2) mm Hg and then continued to hyperventilate into a no. 4 Kraft brown paper bag containing the calibrated sensors for a Hewlett-Packard 47210A capnograph and a Teledyne TED 60J digital oxygen monitor. Fourteen men and six women with an average age of 36 years (SD, 6.1) were tested. Results are reported as mm Hg. After 30 seconds of rebreathing, mean change in O2 from room air was -15.9 (SD, 4.6) and mean CO2 was 38.7 (SD, 6.2); at 60 seconds, -20.5 (6.0) and 40.2 (6.4); at 90 seconds -22 (6.8) and 40.5 (6.4); at 120 seconds -23.6 (6.8) and 40.7 (6.5); at 150 seconds -25.1 (1.2) and 41 (7.3); and at 180 seconds -26.6 (8.4) and 41.3 (7.5). A few subjects achieved CO2 levels as high as 50, but many never reached 40. The mean maximal drop in O2 was 26 (8.8); seven subjects had drops in oxygen of 26 mm Hg at three minutes, four had drops of 34 mm Hg, and one had a drop of 42 mm Hg.(ABSTRACT TRUNCATED AT 250 WORDS)

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「過換気症候群の患者に対する伝統的なペーパーバッグ法による再呼吸は低酸素の危険がある」

 精神的不安によると考えられる急性過換気症候群を茶色のペーパーバッグで再呼吸させる事によって治療する事が伝統的になっている。著者は、この治療により死亡した3症例を報告する。患者は低酸素状態にあるか、心筋虚血状態にあり、誤ってこの治療が適応された。この経験により、ペーパーバッグによる再呼吸法が正常人に与える影響を研究するきっかけとなった。対象者を呼気終末二酸化炭素分圧が平均21.6mmHg(標準偏差3.2)になるまで過換気とし、その後ペーパーバッグを口に当て過換気を続けた。バッグ内には二酸化炭素分圧と酸素分圧を測定する器械を設置した。14人の男性と6人の女性(平均年齢36歳、標準偏差6.1)で検討した。結果はmmHgで報告した。再呼吸開始30秒後では、酸素分圧のルームエアーからの変化は平均-15.9mmHg(標準偏差4.6)であり、二酸化炭素分圧は38.7mmHg(標準偏差6.2)であった。60秒後ではそれぞれ-20.5mmHg(6.0)、40.2mmHg(6.4)。90秒後は-22mmHg(6.8)、40.5mmHg (6.4)。120秒後は-23.6mmHg (6.8) 、40.7mmHg (6.5)。150秒後 -25.1mmHg (1.2) 、41mmHg (7.3)。 180秒後-26.6mmHg (8.4) 、41.3mmHg (7.5)であった。二酸化炭素が50mmHgまで上昇した者が数名いたが、多くは40mmHgに達しなかった。酸素分圧の低下は平均26mmHg (8.8)であった。7人は3分後に酸素分圧が26 mmHg低下し、4人は34mmHg、一人は42mmHgであった。

 酸素分圧が26低下するのは結構な値です。簡単に言えば25%程度低下すると言う事です。危険ですね、、、

 過換気症候群で最も大切なのは、基礎疾患がないかを除外することです。基礎疾患がなければまあペーパーバッグをしても良いかも知れませんし、鎮静剤を使っても良いでしょう。たいした検査をせず、直ちにペーパーバッグをする事は殺人罪になる可能性があります。覚えておきましょう。

 変法としてペーパーバッグに酸素を入れてから再呼吸と言うのも考えられますが、、、、そこまでこだわる程の効果がないから、いっそやめちゃおうと言う感じかも知れませんね。
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Kim

こんな怖い事もあるので、気を付けましょう。

http://case-report-by-erp.blog.so-net.ne.jp/20070519

by Kim (2011-01-18 10:30) 

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