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携帯が振動してないのに振動しているように感じませんか? [医学関連]

 以前こんな記事を書きましたが、紹介したリンク先がなくなっているようですね。

 幻想振動症候群と言って、携帯が振動していないのに振動しているように感じる病気?があります。私も良くあります。これについて検討した論文がありましたので紹介します。BMJのクリスマス特集なので、もちろん冗談です。

 「Phantom vibration syndrome among medical staff: a cross sectional survey(医療スタッフの幻想振動症候群について:横断研究調査)」です。

 型の如く日本語にしてみます。

目的:ポケットベルや携帯電話を携帯している人が時々経験する幻覚である幻想振動の経験がどのぐらいあるか、その危険因子は何かを調査する。
研究デザイン:横断研究
研究施設 教育研究病院
研究対象:アンケートに答えた176名の医療スタッフ(232人にお願いをして76%が回答)
研究指標:携帯の使用場所、使用頻度、幻想振動の経験、それを止める方法など17の質問をコンピューターで解析した。
結果:質問に答えた169人のうち、115名(68%、95%信頼区間61−75%)が幻想振動症候群の経験があると答えた。112人中68名は幻想振動症候群を携帯などを使用開始後1ヶ月から1年の間に経験し、13%は毎日経験すると報告している。発症には4つの因子が独立して関係していた。職種(attending physicianに対してレジデントは1.47倍、95%信頼区間1.10から1.97)、携帯部位(ベルトに対して胸ポケットは1.30、95%信頼区間1.29から2.14)、携帯している時間(6時間以上だと1.30倍、95%信頼区間1.07から1.58)、振動の使用(per frequency categoryは1.18倍、95%信頼区間1.03から1.34)。経験者のうち43名(39%、95%信頼区間30%から48%)はこの現象を止めることが出来た。マナーモードをオフにする、携帯の場所を変える、別の携帯にする(成功率75、63、50%、P=0.217)であった。しかし、39%(95%信頼区間30から49%)は何の対策も取っていなかった。
結論:電子機器を使用している人では幻想振動症候群はよくある症状である。

 まず論文には「pager」と「cell phone」とあります。「pager」はポケットベルのことで、日本で今使っているところはほとんどないでしょうね。首都圏の1都3県、沖縄本島のみでサービスされているそうです。私が研修医の頃は、院内も院外も呼び出しはポケットベルで、鳴ったら表示された電話番号に電話しなければなりません。トイレ中だったり、電話がその場にない場所だったりすると返事ができませんので、行きたくない場合には、「いや〜、トイレ中だったんだよ〜」とか、「電話が使われていたんで〜」(院内の場合)、「いや〜、渋滞でね、、、、」等と嘘をつけました(^.^)。懐かしいです。今は電話に出ないと怒られますからね。トイレ中に出たりすると、「先生今トイレですか?」などと聞いてくる看護師さんもいて辛いです(^.^)。

 「cell phone」は携帯電話(たぶんPHSも含みます)のことです。「cell」は小部屋という意味で、細胞、電池という意味もあります(ちなみにバッテリーはcellが集まったものだそうです)。電池を内蔵した電話という意味なのか、箱型の電話という意味なのか、どっちなんでしょうかね。PHSは日本で開発された技術(LOE3)で、今は日本でもメジャーではありません(昔は携帯よりも圧倒的に音質が良かったのですが、携帯が進化したので、、、、)。よって、cell phoneに含まれていると思います。ってこんな解説どうでもいいですか。

 「横断研究」とは、ある時点の状態を検討するもので、アンケートもそうです。政党支持率も横断研究です。AKB48の総選挙も一種のcross-sectional studyです(^.^)。

 「レジデント」は日本で言えば研修医で、病院にずっと住んでいるぐらい働いていると言うような意味から来ているという噂です。「resident」は居住者という意味です。日本でもレジデントと呼ぶ先生がいますが、私は嫌いです。仕事が終わったら家に帰るべきですから。私は日本人なので「研修医の先生(達)」と呼んでいます。個人を指す場合には名前を言っています。
 「attending physician」とは、residentを終えた先生たち(physicianは医者のことです。内科医を指す場合もあるのですが)のことです。Wikipediaによれば「In the United States, an attending physician (also known as an attending, or staff physician) is a physician who has completed residency and practices medicine in a clinic or hospital, in the specialty learned during residency」とのことです。つまり後期研修医ということですね。

 研究対象者をどのぐらい集めるべきか分からなかったので、スタッフ全員に以下のようなメールを送っただけだそうです。
「我々は、ポケットベルや携帯電話などの電子機器に関する調査研究にあなたが参加することをお願いしています。あなたがポケットベルを携帯する仕事についているからです」
“We are asking you to participate in a research study survey about electronic devices, such as beepers and cell phones, because in your job you carry a beeper.”

 115人が経験していると書かれているのですが、使用開始後1ヶ月から1年の間に112人中68人がという下りはなぜ115でないのか本文を読んでも分かりませんでした。

 「per frequency category」は意味が全くわかりませんでした、、、、振動モードを全く使わない人は、幻想振動症候群になる率が低いという事なんでしょうね。

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Hirosuke

携帯電話 は、正式には cellular telephone [phone] といいます。
ここに語源が説明されていますよ。
http://eow.alc.co.jp/%e6%90%ba%e5%b8%af%e9%9b%bb%e8%a9%b1/UTF-8/?ref=sa
by Hirosuke (2010-12-21 19:16) 

Kim

Hirosukeさん、コメント&nice!ありがとうございます。

参考URLありがとうございます。小さな範囲しか電波が届かないと言う意味なんですね。面白いです。

確かに電池であれば、本当はバッテリーであり、バッテリーホンになりますよね。

by Kim (2010-12-21 20:00) 

yangt3

忙しくて疲れている当直の時には、時々ふっと目が覚めて
PHSで呼び出されたのを無視して眠っていないか
時々不安になります.
by yangt3 (2010-12-21 20:04) 

Kim

yangt3さん、コメント&nice!ありがとうございます。

確かにそう言うのありますよね。これも一種の病気でしょうか。お疲れ様です。

by Kim (2010-12-21 20:17) 

ask

私もこれは感じることはあります。あと街中で昔の院内PHSと同じ音を聞くと、今でもドキッとします。
by ask (2010-12-21 23:00) 

Kim

askさん、コメント&nice!ありがとうございます。

私も同じです。嫌な職業ですよね(^.^)。

by Kim (2010-12-22 08:34) 

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