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コンサルトされたら「こちらで診ます」と言いましょう [研修医教育]

 病院で働いていると、他科の先生に相談される事がよくあります(私は救急医ですので相談する事ばかりですが)。

 例えば、「腹痛で来院されているのですが、色々検査をしてもよく分からないのです、、、、一度診て頂けないでしょうか?」と内科の先生から外科の先生に相談があります。私は一応外科医ですが、研修医の時に指導医から言われた事があります。こういう場合「分かりました。外科で診ます」と言いなさいと。

 よくあるのは、「う〜ん、確かに検査異常ないですね、、、、お腹も柔らかいですし、すぐ手術が必要な状態ではないと思います。それじゃあ」と言う対応です。これはよくありません。前半は良いですが、後半です。内科の先生は腹痛が不得意な人が多いです。もし、得意だったら相談してきません。手術が必要です!と言ってきます。それ以外には相談してこないでしょう。

 なので、「それでは、この患者さん外科で入院してもらいます」と言う必要があります。本来は手術が必要な患者さんだけが外科の患者さんです。心臓血管外科、脳神経外科、整形外科、などなど、なんとか外科と言うのは手術をする科です。しかし、消化器内科とか、神経内科など、そういう専門の内科の先生がいない場合には、消化器は消化器外科、神経は脳神経外科が診るべきでしょう。あるいは専門病院へ転送すべきです。繰り返しますが、内科の先生は消化器や神経などが不得意な人が多いのです!(違っていたらすみません)

 逆に自分の担当の患者さんの糖尿病が悪くなったりした時に、内科の先生から「糖尿病はインスリンでコントロールするだけですから、、、」と言われたらどう思うか、、、、良く考えましょう!!

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shiraisi

文章の中のKimさんみたいな医師ばかりだったら、理想なんですけどね…
私は、消化管が弱いのでしょっちゅう内科のお世話になっています。
比較的、消化器は強いのではないかと思いますが…その他何が強いかは分かりません。
呼吸器系は、弱い印象があります。(個人的目線)
by shiraisi (2009-04-12 10:16) 

Kim

shiraisiさん、コメント&nice!ありがとうございます。

私も偉そうな事言っていますが、ここで批判している医者になっていると思います。常に反省が必要ですね。

by Kim (2009-04-12 18:23) 

oldDr

コンサルトするとき、されるとき、転科を希望しているのかしないのか、を明確にするようにと、若い医師には説明しています。明らかに意見をもとめているだけのこともあれば、すぐにでも転科してほしい時もあります。
こういう方針でどうでしょうか?
by oldDr (2009-04-12 20:25) 

Kim

oldDrさん、コメントありがとうございます。

確かに明確にすべきですね。が、そうしても断る先生がいるのです、、、、

また、肺炎がほとんど治っており、退院が近い時に腰が痛くて歩けない、、、、頼まれなくても整形外科で診ますと言うべきかと私は思います。そうでなければ、その患者さんは腰痛が問題点なのに内科の先生が主治医であり続け、定期的に整形外科の外来に降りる(入院中は外来にかかる事を降りると言います。外来は1階や2階にありますから)と言う事になります。

今の病院ではないですが、脳出血を脳外科にコンサルトしたら、手術適応はないので内科治療で充分と言って診てもらえませんでした。内科の先生は当然診てくれません(+_+)。
重症の小脳出血をお願いしたら、絶対助からないからこっちで診る意義ない、、、とも。

困ったもんです。研修医のみなさん、こんな医師にならないようにお願いしますね!!

by Kim (2009-04-12 21:05) 

NO NAME

真意はどこでしょうか?

確かに、DMはインスリンでコントロールは可能です。 それも、患者自身がご自身でコントロールされているケースが多いと思いますが。

>逆に自分の担当の患者さんの糖尿病が悪くなったりした時に、内科の先生から「糖尿病はインスリンでコントロールするだけですから、、、」と言われたらどう思うか、、、、良く考えましょう!!

by NO NAME (2009-04-12 22:26) 

Kim

NO NAMEさん、コメントありがとうございます。

説明不足ですみません。例えば、肺損傷で入院し、かなり良くなった頃に、その人がもともと持っていた糖尿病が悪くなった場合、当然こちらとしては内科へ転科し、内科でコントロールを、、、、と思いますが、その場合に、「インスリンの調整するだけだから、、、(内科では診ません)」と言われると困りますよね!と言う意味です。

by Kim (2009-04-12 23:14) 

yangt3

専門性のはっきりした病気はよいですが
いろいろな領域にまたがる疾患とか
診断のはっきりしない病態とか、本当に困りますね.
私も人に御願いすることが多い立場ですので
「こちらで診ます」という言葉は、本当にうれしいです.
そんな病院が素敵です.
by yangt3 (2009-04-14 19:13) 

Kim

yangt3さん、コメントありがとうございます。

患者さんが来なくて、入院も増やしたいのに、、、、
働きたいけど雇ってもらえない、、、、
 と言う人も多いのですから、頼られるのは良い事だと思うようにしています(が実際は難しいですね(+_+))。

by Kim (2009-04-14 19:58) 

地方の中小病院外科医

たとえとして外科をだされたので、外科医としては一瞬反発心を感じてしまいました。
もちろん、一つの例としてあげられただけであって、外科医が云々という話ではないことは理解しています。

昔は(15年くらい前)、「内科」「外科」といったおおまかな分類で、だれでも「何でも屋」をやっていたものです。昔と比べて今の医者は自分の専門性を大事にするので、自分の領域外の事や自分の仕事の範囲からはずれることはやりたがらなくなっています。
「一般内科」「総合診療科」のような診療科がない病院では、どこにも行き場のない患者ができてしまい、医師間での押し付け合いとなることが多くあります。

以下は私の勤務する病院での状況です。もちろんそれぞれの病院で事情は異なるとは思います。

私の勤務する病院では、脳神経外科・泌尿器科・皮膚科や内分泌科は常勤医がいません。
ですから、「頭を打った人がいます」、「尿路結石の入院が必要です」と外科医が呼ばれます。
帯状疱疹がひどく入院が必要な場合も外科入院となります。

外傷や骨折のない頭部打撲であれば、神経症状を観察するだけです。
尿路結石であれば、痛みをとり、利尿をかけて排石を待つだけです。感染症を併発すればむしろ内科の領分でしょう。
帯状疱疹のようなウイルス「感染症」を外科医が診る必要がありますか。
「消化器や神経が不得意な内科医が多い」としても、外科医が得意な訳ではありません。

腹痛で婦人科にコンサルトしても「婦人科的には問題ないと思います」という返事が来るだけで、実際には骨盤腹膜炎であったり、卵巣茎捻転だったりすることがよくあります。
骨盤腹膜炎で婦人科入院中の方について週末に虫垂炎「かもしれない」とコンサルトがありました。
お産や筋腫の手術は産婦人科医がするが、腹膜炎については得意ではない。夜中や週末に何かあったら困るから外科で引き受けてくれ、と。自分たちは夜中に起こされるのは困るが、外科医なら夜中に出てくるのがあたりまえだということでしょうか?

私も当初は快くなんでも引き受けていましたが、あまりにもなんでもゴミ箱のように外科に持ち込まれることが続き腹に据えかねていました。あげくには「外科医なら全身管理ができなければならないのだから、糖尿病の管理も外科医がやれ」といわれ、心が折れました。
今はなるべく、依頼元の医師と自分とどちらが診たら患者さんのためになるかを考えてから、「外科の領域ではない」と丁重にお返しするようにしています。

というったわけで、冒頭のように一瞬反発心をいだきましたが、おっしゃることはよく理解できます。
病院内の医師間で、おたがいに良好な関係ができるのが一番良いのだと思います。


by 地方の中小病院外科医 (2009-04-15 11:28) 

Kim

地方の中小病院外科医さん、コメントありがとうございます。

おっしゃる事よく分かります。私もつい半年前までは地方の外科医でしたし、今は都会ですが、中小病院です。同じように尿管結石や頭部打撲、婦人科関係は診させて頂いています(皮膚科は常勤医がいるので帯状疱疹は診てもらえます)。

何でも外科に、、、と言う怒りを感じる事はあります。おっしゃるように、内科が尿管結石や腹痛を診てももちろん良いです。が、例えば当院の場合には、内科は少人数で手いっぱいと言う感じです。受け持ち患者さんも多そうですので、腹痛ぐらいは、、、、と思って引き受けております。肺炎と腹痛、、、なんてのも引き受けております。

みんながそういう風になれば良いなあ、、、と言う意味です。

先日は他院の専門医に、深部静脈血栓の患者さんを紹介させて頂いたところ、「深部静脈血栓です。ワーファリンを投与して下さい」とコメントだけで、患者さんが帰ってきました。???です。それぐらい知っていますし、診断できたので紹介したのですが、、、、、結局自分で診る羽目になりました(+_+)。これって「貴院で入院の上加療をお願いします」とか書いておかないといけなかったと言う事なんでしょうか?

by Kim (2009-04-15 12:42) 

地方の中小病院外科医

kimさん、

つい、コメントに愚痴を書き込んでしまいました。
よく見れば、「研修医教育」のカテゴリーですね。
研修医に私のコメントのような内容は読んでもらわない方がよかったと反省しています。
それぞれの病院の医局の雰囲気とか、医師間の確執とかによって状況はさまざまだと思いますが、反目しあったり押しつけ合ったりしているばかりでは、患者さんにとっても良くないことですし、病院のためにも、そして自分のためにも良いことではありません。

研修医の先生方には、ぜひ なな先生のブログの1年ほど前のエントリーを読んでいただきたいと思います。

http://blog.m3.com/nana/20080312/It_s_my_turn1

病院間でも、病院内の医師間でも、今度は自分の番だ、と思いながらお互いに助け合い協力し合うのが本当でしょう。

by 地方の中小病院外科医 (2009-04-15 16:09) 

Kim

地方の中小病院外科医さん、コメントありがとうございます。

私は先生のコメントを研修医の先生方に読んでもらうべきだと思います(こちらでコメントを消す事が出来ますが、消しませんよ〜。私はコメント一度も削除した事ありません)。色々な意見を知っておくのは大事な事です。良い面しか知らないと言うのもいけません。

別記事でローテションの意義について書きましたが、こう言った事を自分の事として感じること、例えば外科に短期間でも所属して内科から(あくまで例です)腹痛の患者さんを押し付けられてみないと分からないです。そうされるとどう思うのか、、、、知っている内科医とそうでない内科医とでは同じ事をするにも気持ちが違うでしょう。

また外科医はいざとなったら手術をすると言う手段を持っています。手術で治らない病気も多いですが、腹痛の場合、訳が分からなかったら開腹するという手段を持っている人と、そうでない人とでは違うんだと言う事が外科をする者としては持っているべきかな、、、と思います。外科の方が偉い訳ではないですが、手段があるからこそ、これは内科じゃないか、、、、と思っても、ぐっとこらえて外科で診ましょう!と言えたらなと思います。

なな先生のブログ紹介ありがとうございます。以前読んだ事がありますが、この記事は知りませんでしたし、ブログが終了していたのも知りませんでした!!

It's my turn。良い言葉です。みんながそう思える医療界になるといいなあ、、、

by Kim (2009-04-15 16:38) 

徳永義邦

乳房触診も外科がするとは
大変だな


by 徳永義邦 (2017-08-28 10:11) 

Kim

徳永さま、コメントありがとうございます。

たぶんですが、日本では乳がんの診療は外科医の仕事ではないでしょうか?例えばドイツでは乳がんは産婦人科医が担当するようですが、日本ではそうなっていません。

乳がん専門医という方もおられますから、そう言う人にお願いするのも手ではありますが、何でもかんでも専門医にお願いすると専門医もパンクしてしまいます。みんなで協力して何とかしたいですねと言う主張です。

最初の外来から入院、手術、術後まで全部診るべきだという意味ではありません。お互い協力して、例えば初めて外来に来た時は診て、次からは専門の先生にお願いするとか、精密検査などの方針を相談しながら非専門医が入院の主治医になるとか、色々なパターンがあると思いますが、それは診ない、知らないと拒否してしまうと、困るのは患者さんであり、電話や受付で対応している事務の人であり、看護師さんであると言うことです。

by Kim (2017-08-28 12:17) 

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