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アドレナリンは一回だけの投与がいいのかもしれません [CPRの基礎]

 英語の得意な方は、こちらの論文こちらの論文を読んでいただけばいいです。

 現在アドレナリンは、心肺蘇生のガイドラインにおいて、3から5分毎に投与すると書かれています。しかし、ACLSプロバイダーマニュアルにも繰り返し記載されているように、アドレナリンを投与しても社会復帰率は高まりません。しかし、例えば、心拍再開率は高めますので、心拍が再開して病院に入院する率は高めます。突然心停止になって病院へ運ばれ、御家族が病院に呼ばれて、もう亡くなりましたと言われることは少なくなると言うことなので、全く意味がないとはいえませんが、やはり、元気に退院できる率を高めたいですね。しかし、それを高める薬は現在のところ存在しません。

 紹介させていただいた論文は、アドレナリンを3ー5分間隔ではなく、もっと長くすると生存率が高くなると言う結果を報告しています。ただ、その理由は不明であると書かれていますし、生存率を高めると言っても少しの割合です。直ちにこのような行動を取り入れるべきかどうかは不明です。UpToDateの「Supportive data for advanced cardiac life support in adults with sudden cardiac arrest(成人の突然の心停止における二次救命処置を支持するデータ)」と言う文献にも、今のガイドラインが変更されるまでは、今のガイドラインに示されている3から5分ごとのアドレナリンの投与を行うべきであると書かれていました。

 次のガイドラインは2020年に出るはずなので、次のガイドラインではアドレナリンの間隔が長くなるかもしれないと思っていると、興味が湧いて良いかもしれませんね。

 個人的には、アドレナリンは3分間隔ではなく、5分間隔で投与しようかなと思いました。現在は、心肺停止の患者さんが来られると、看護師さんが3分のタイマーをスタートして、タイマーが鳴ったらアドレナリンを投与しています。

 もしかしたら、心肺停止後に一度アドレナリンを投与し、追加投与はしないと言う方針もいいのかもしれません。何しろ薬剤を使わないアルゴリズムを作ることが検討されたと言う噂もあるぐらいですから。どちらにしても、大切なのは質の高い心肺蘇生と早期の電気ショックと言うことになりますね。


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