心静止か心室細動か迷ったら [CPRの基礎]
こちらの記事のアップデートです。
結論から言いましょう。心静止か心室細動か迷ったら、心静止と考えて直ちに胸骨圧迫をしましょう。心室細動かもしれないと考えて、昔で言うところのフラットラインプロトコールを直ちにすることも推奨しません。直ちに胸骨圧迫再開です。
以下は解説と言うか私の考えです。急いでいる人は読む必要ありません。
日本蘇生協議会のガイドライン2015年度版のP.75には以下のように書かれています。
「成人の院内心停止患者についてAEDとマニュアル除細動器とを比較した後ろ向き調査では、両者の間 に生存退院率の差はなかった。初期調律が心静止やPEAであった場合は、AEDを装着された患者のほうが マニュアル除細動器を装着された患者よりも生存率が有意に低かった(15% vs 23%, p =0.04)。」
ある救急救命士さんに相談されました。初期波形が心静止だったと思った(心停止から長時間経過しており、誰も心肺蘇生をしていなかった)ため、解析ボタンを押さなかったそうです。救急隊の方が使うAEDは一般の人が使うAEDとは少し異なり、心電図の波形が表示されます。その波形が心室細動っぽくなかったので、心電図の解析ボタンを押さずに、心静止として直ちに心肺蘇生を行ったのだそうです。
あとで細かい心室細動ではないのか?とフィードバックされたため、自分のせいで患者さんを死なせてしまったのではないかと夜も眠れないのだそうです。私は正しい行動だったと思います。心室細動ではなかった場合、解析ボタンを押すことで生存率を下げるからです。23%を15%に下げると言うのは約18回(100÷(23ー15))それを行うと1回だけそれを行ったために患者さんが死亡すると言う割合(分かりにくいですがそういう物で、その値NNTが二ケタなら医学的に意味があるとされています)です。結構な高い割合です。心静止の可能性が高かったわけですから、行うべきではありません。
また心室細動は助かる心停止だと言われますが、それでも社会復帰率は25%程度であり、4人に3人は死亡してしまいます。反省はすべきでしょうが、気にせず救急の現場で活躍をしていただきたいと思います。
心室細動ではないかと思われれば、電極外れのチェックや、誘導の変更、感度を大きくするなどは行っても良いでしょう。しかし、医療従事者用心肺蘇生法の指針には、これらの介入は、次のリズムチェックまでに行うとあり、やはり直ちに心肺蘇生を開始すると言うことになるでしょう。
ヨーロッパ蘇生協議会のガイドライン2015のP.110には以下のようにあります。
In addition, if there is doubt about whether the rhythm is asystole or extremely fine VF, do not attempt defibrillation; instead, continue chest compressions and ventilation. Continuing high-quality CPR however may improve the amplitude and frequency of the VF and improve the chance of successful defibrillation to a perfusing rhythm.
心リズムが心静止か細かい心室細動か分からない場合には、電気ショックを行ってはならない。かわりに胸骨圧迫と換気を続ける。質の高い心肺蘇生を続けることで、心室細動の振幅と周期を改善し、心拍再開の可能性を高める可能性がある。
よって、心室細動か心静止かよく分からない場合には、心室細動であったとしても電気ショックが良い効果を生むとは考えられず、心室細動でなかった場合には、電気ショックはむしろ禁忌である(これはまた記事にします)ため、自信を持って電気ショックをせずに心肺蘇生をしましょう!
心室細動か心静止か迷ったら、心静止だと考えて行動しましょう、、、、、、、、たぶん。
ACLSプロバイダーマニュアルP.117には「微細なVFであるのか心静止であるのか判然としない場合は、最初の処置として除細動は妥当である。」とあります。AHAのガイドラインを調べてみましたが、その理由が明らかではありませんでした。個人的にはアメリカの意見は参考にすべきでないと考えます。
結論から言いましょう。心静止か心室細動か迷ったら、心静止と考えて直ちに胸骨圧迫をしましょう。心室細動かもしれないと考えて、昔で言うところのフラットラインプロトコールを直ちにすることも推奨しません。直ちに胸骨圧迫再開です。
以下は解説と言うか私の考えです。急いでいる人は読む必要ありません。
日本蘇生協議会のガイドライン2015年度版のP.75には以下のように書かれています。
「成人の院内心停止患者についてAEDとマニュアル除細動器とを比較した後ろ向き調査では、両者の間 に生存退院率の差はなかった。初期調律が心静止やPEAであった場合は、AEDを装着された患者のほうが マニュアル除細動器を装着された患者よりも生存率が有意に低かった(15% vs 23%, p =0.04)。」
ある救急救命士さんに相談されました。初期波形が心静止だったと思った(心停止から長時間経過しており、誰も心肺蘇生をしていなかった)ため、解析ボタンを押さなかったそうです。救急隊の方が使うAEDは一般の人が使うAEDとは少し異なり、心電図の波形が表示されます。その波形が心室細動っぽくなかったので、心電図の解析ボタンを押さずに、心静止として直ちに心肺蘇生を行ったのだそうです。
あとで細かい心室細動ではないのか?とフィードバックされたため、自分のせいで患者さんを死なせてしまったのではないかと夜も眠れないのだそうです。私は正しい行動だったと思います。心室細動ではなかった場合、解析ボタンを押すことで生存率を下げるからです。23%を15%に下げると言うのは約18回(100÷(23ー15))それを行うと1回だけそれを行ったために患者さんが死亡すると言う割合(分かりにくいですがそういう物で、その値NNTが二ケタなら医学的に意味があるとされています)です。結構な高い割合です。心静止の可能性が高かったわけですから、行うべきではありません。
また心室細動は助かる心停止だと言われますが、それでも社会復帰率は25%程度であり、4人に3人は死亡してしまいます。反省はすべきでしょうが、気にせず救急の現場で活躍をしていただきたいと思います。
心室細動ではないかと思われれば、電極外れのチェックや、誘導の変更、感度を大きくするなどは行っても良いでしょう。しかし、医療従事者用心肺蘇生法の指針には、これらの介入は、次のリズムチェックまでに行うとあり、やはり直ちに心肺蘇生を開始すると言うことになるでしょう。
ヨーロッパ蘇生協議会のガイドライン2015のP.110には以下のようにあります。
In addition, if there is doubt about whether the rhythm is asystole or extremely fine VF, do not attempt defibrillation; instead, continue chest compressions and ventilation. Continuing high-quality CPR however may improve the amplitude and frequency of the VF and improve the chance of successful defibrillation to a perfusing rhythm.
心リズムが心静止か細かい心室細動か分からない場合には、電気ショックを行ってはならない。かわりに胸骨圧迫と換気を続ける。質の高い心肺蘇生を続けることで、心室細動の振幅と周期を改善し、心拍再開の可能性を高める可能性がある。
よって、心室細動か心静止かよく分からない場合には、心室細動であったとしても電気ショックが良い効果を生むとは考えられず、心室細動でなかった場合には、電気ショックはむしろ禁忌である(これはまた記事にします)ため、自信を持って電気ショックをせずに心肺蘇生をしましょう!
心室細動か心静止か迷ったら、心静止だと考えて行動しましょう、、、、、、、、たぶん。
ACLSプロバイダーマニュアルP.117には「微細なVFであるのか心静止であるのか判然としない場合は、最初の処置として除細動は妥当である。」とあります。AHAのガイドラインを調べてみましたが、その理由が明らかではありませんでした。個人的にはアメリカの意見は参考にすべきでないと考えます。
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