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緊急時は酸素投与をしましょう [医学関連]

 救急車に乗った患者さんに対して、私は全員酸素を投与しても良いと思います。もちろん極論です。そのぐらいの勢いでやりましょう!ということで、迷ったら酸素は投与するように救急隊の方は指導されているようです。

 ところが、救急隊の方に話を聞くと、なんで酸素をやってきているんだ、なんでこんな高流量(と言っても5L/分)でやってくるんだ!とか怒られることがあるようです。

 今回はこの事について考えてみましょう。COPDの患者さんについての記事を以前書きましたので、よかったらご覧ください。コメントをたくさんいただけて、とても勉強になります!

 パイロットは何かあれば酸素マスクをつけるようになっているようです。飛行機が飛んでいる所は気圧が低くて低酸素になりやすいです。低酸素になると意識を失って、本人達はもちろん、乗客、客室乗務員も飛行機も、下手をすれば飛行機が落ちたところの人たちにも危険が及びます。

 医療では患者さん本人に危険が及ぶだけかもしれませんが、疑ったら酸素を投与して良いと私は思います。

 理由は以下の通りです。

 低酸素は危険です。
 低酸素かどうか(SpO2がよくても、酸素含有量や心拍出量は悪いかも知れません。一酸化炭素中毒などでは、これらがよくても細胞に酸素が行きません)を病院の外や救急外来で素早く調べることは困難です。屋外でも一酸化炭素中毒になることがあります。
 酸素が過剰に投与されることは、短時間であれば問題ない(問題ある場合ももちろんありますが、問題がない場合の方が圧倒的に多い)。
 低酸素は簡単な処置で改善できる(もちろんできない場合もあります)。
 COPDなど、酸素投与によって呼吸抑制が来る人がいますが、救急車内、救急外来には患者さんをずっと診ている人がいますから補助呼吸をすればいいです。

 だから、迷ったら酸素を投与してきていいです。と言うかすべきだと思います。あくまで救急隊員の方や私のような救急医は。もう末期の患者さんなので、、、、、、と言うのであれば、いざという時には酸素はしなくて良いとか、そう言う話を家族としておいて、そう言う文書などを持たせて、救急車をもし呼んだ場合には見せるようにとか。しかし、本来はそう言う人は救急車を呼ぶべきじゃないのかも知れませんが。

 お前がこんなに酸素を投与してきたから抜管出来なくなったじゃないか!と言うのは、本当なのでしょうか?患者さんの状態が悪くて、これだけの酸素を投与しなければ酸素分圧を保てなくなっているから、抜管出来ないのではないでしょうか?

 もちろんむやみに高濃度酸素を投与してSpO2を高い値に保つ必要はありません。もともとSpO2が90前後しかない人であれば、そのぐらいの値を目標として酸素投与をすれば良いと思います。


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