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CVから大量輸液ができるのか? [医学関連]

 大量出血の患者さんなどに、大量輸液を行わなうことがあります。その時「早くCVを入れろ!」と言う人がいます。「末梢じゃダメなんですか?」等と言おうものなら、「バカかお前は!?」と言われてしまいます。CVとはCVラインのことで、日本語では中心静脈ラインです。IVHという先生もいますが、古い言い方です。IVHという言葉も現在はTPNになっていますから、あとでこっそり教えてあげましょう。
 で、今日は、本当にCVでなければ大量輸液が出来ないのか?について考えてみましょう。

 まず血管についてです。血管は非常に抵抗が少ないので、ある程度までの細い血管でも、大量に点滴が流れます。よって、点滴が入っている場所は、点滴が落ちる早さとは関係ありません。中心静脈に先端があるから、CVの方が早く落ちるんだと言う人がいるのですが、そうではありません。この点だけでも、CVが大量に輸液できる理由にはなりません。

 また、点滴を落とす場合、最も抵抗となる場所は、血管に入る直前、点滴回路の最後の細いところです。抵抗は半径の四乗(ご指摘を受けて「二乗」から変更しました)に反比例し、長さに比例して大きくなります。末梢ルートは細かったとしても、管の長さがそれほど長くありません。しかし、CVは短い物でも30cmあります。同じ太さであれば、末梢が5cmだったとして、CVの方が6倍の抵抗があります。逆に末梢に14Gというルートを確保すれば、かなり大量に早く入れられるはずです。

 納得行かない人は、実際に実験してみたら良いと思います。同じ太さの末梢と、CVの先端を同じ位置に置き、同じ高さから点滴を全開で落としたら、どっちの方が遠くへ飛ぶか。以前やったことがありましたが、明らかに末梢の方が遠くまで点滴が飛びます。

 このことは、有名なICU Bookにも書かれています。是非ご覧ください。


ICUブック 第4版

ICUブック 第4版

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: メディカルサイエンスインターナショナル
  • 発売日: 2015/11/30
  • メディア: 単行本



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でんすけ

色々と勉強するきっかけになるので、更新を毎日楽しみにしています。
一つ質問です。『抵抗は半径の二乗に反比例し、長さに比例して大きくなります。』とありますが、流体の抵抗はハーゲン・ポアズイユの法則から半径の四乗に反比例すると思うのですが、どうなのでしょうか?
by でんすけ (2017-03-04 15:59) 

Kim

でんすけさん、コメントありがとうございます。

そうなんですね。きちんと調べず適当なことを書いてしまいました。申し訳ありませんでした。

訂正しました。ご指摘ありがとうございます!


by Kim (2017-03-06 07:37) 

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