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心静止にペーシングは有用か? [CPRの基礎]

 心静止にペーシングを行っていた時代がありました。私がモテモテのイケメン研修医だった(妄想です(^^))頃、25年以上前です。

 しかし、今はペーシングはむしろ禁忌とされています。

 例えば、日本蘇生協議会のガイドライン2015(こちらのP.76、書籍だとP.89)には以下のようにあります。

 「院外や院内の心停止に対して経皮あるいは経静脈ペーシングを行ってもROSC率あるいは生存率は改善されなかった。ペーシングを開始した時期(心静止して間もないのか、心静止して時間が経っているのか)、心停止の場所(院内か、院外か)、あるいは初期調律(心静止か、PEAか)にかかわらず、明らかな利益は得られなかった。」

 AHAは「心静止を示す心停止の患者にTCPを使用することは推奨していない(ACLSプロバイダーマニュアル2015年度版、P.116)」と言っています。

 ところが、ERCはガイドライン2015の110ページで以下のように述べています。

 Whenever a diagnosis of asystole is made, check the ECG carefully for the presence of P waves, because this may respond to cardiac pacing. There is no benefit in attempting to pace true asystole.
 心静止と診断したら常に、P波があるかどうか、心電図を注意深く観察する。なぜなら、P波があれば心ペーシングに反応する可能性があるからである。真の心静止にはペーシングは意味がない。

 P波だけがあってQRSが出ない様な心停止を診たことがないので分かりませんが、そう言う状態があればペーシングを行っても良いと言う事ですね。

 一般的には心静止の患者さんにペーシングを行うことはないと考えて良いのでしょう。


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コメント 2

☆美紀☆

木村先生
いつも勉強になります。
先日、患者が突然のCPAとなったとき
胸骨圧迫中に
医師に経皮ペーシングの指示があり
他のスタッフが始めたのですが
(私は挿管介助中)
胸骨圧迫中は危険だし
押しているから意味ないのではと
思いました。結局はじめに少しペーシング入っただけで、中止になりました。
波形もVF PEAとばらつきがあり
亡くなられました。因みに心外の術後で
PCPSなど入って一旦良くなっていたのですが
アシドーシスが進行した日の出来事です。
こういうCPR中の経皮ペーシングの
適応や、必要性、効果は
あるのでしょうか?
お時間あれば
教えてください(汗)
blog、Facebook、メッセージ
どれでも大丈夫です。
よろしくお願いしますφ(..)
by ☆美紀☆ (2017-04-09 17:18) 

Kim

☆美紀☆さん、コメントありがとうございます。

現在は心肺停止に経皮ペーシングの意義はないとされています。P波だけが出ている状態であれば意義があるようですが、私は経験がありません。

by Kim (2017-04-10 08:20) 

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