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偽性低血小板血症というのがあります。 [医学関連]

 血液検査に限らず、おかしな値が出た時どう対応するか、、、、、と言うお話しです。

 まず検査をする前に、だいたいどんな結果が出るか予想しなければなりません。検査とはそういう物です。診察をして、たぶん正常だろう、、、、、(正常なのに何故検査をするのか?と言う突っ込みはぬきにして(^^))と思っているからこそ、異常があればあれっ!?と思う訳です。

 今回は血小板についてです。特に症状もないのに、血小板が低い人がいたら、アレ??と思います。

 まずは我々がミスをしていないかという事を考えます。患者さん違い(別の人の検体を検査してしまったとか、違う人のカルテを開いているとか、、、、)検査のミス(ミスという言葉が適切かどうか分かりませんが)などを疑います。

 血液検査でCBCと呼ばれている細胞の数を測る器械は、細胞の大きさで赤血球、白血球、血小板を区別しています。ETDAによって血小板が凝集したり、血液が固まったりした場合には、血小板ではなく、白血球(時には赤血球のこともあるのでしょうか)と間違えられてしまいます。

 多くの病院では、そう言う場合には検査技師さんが顕微鏡で見てくれますから、すぐ分かりますが、血液内科の先生に、血小板が低い患者さんがいます!と相談する前に、再検査(出来れば二本とって、一つはEDTAでない抗凝固薬の採血)しましょう。

 昔勉強した記憶では、ヘパリンが最も抗凝固薬として理想的(検査のための)なのですが、EDTAの方が安いからと言う理由で一般的にはCBCは紫のスピッツに入れます。

 白血球の周りに血小板がくっつく衛星現象というのもあるらしいですが、今回は省略します。

 UpToDate "Approach to the adult patient with thrombocytopenia(血小板減少の成人患者に対するアプローチ)"より。

EDTAによる血小板凝集
 正常人の約0.1%がEDTA依存性凝集物質(血小板凝集や偽性低血小板減少、偽性白血球増多を起こす)を持っている。これは、自然に発生する血小板自己抗体の結果である。この自己抗体は血小板の細胞膜糖タンパクであるIIb/IIIa上に存在するエピトープ(抗原決定基)に対する抗体である。このエピトープは、EDTAによる糖タンパクIIb/IIIaの分離により現れる。CBCの検査にEDTAを抗凝固薬としてルチンに使用していると偽性低血小板血症が発生することがある。

 EDTAによる血小板凝集は顕微鏡で検体を見ることで診断できる。検査技師がルーチンとして行えば発見できるが、臨床医が誤った血小板数のデータだけを受け取っていて、凝固やEDTAを用いないスピッツでの再検査のデータを見ていないことがある。

 もし血小板凝集が認められれば、ヘパリンかクエン酸ナトリウムを抗凝固薬として用いて検査を再検査する。クエン酸が用いられた場合には、クエン酸溶液の量によって結果を修正しなければならない事を忘れない。ヘパリンの場合には、このような補正は必要ない。他には、採血されたばかりの抗凝固薬を使わない血液を直接血小板を検査する器械に入れることも可能である。



 クエン酸は細胞が大きくなってしまうようですね。考えたこともなかったですが、血沈と凝固は同じ抗凝固薬なんですね。血液との比率が違うんだ。

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静香

昨日はコメントの改行がめちゃくちゃになっていて
本当にすみません。スマホからコメントすると
思っていたものと違う形になってしまうようです。
今後しっかり気をつけます。

大学では、「血液検査をする時は、とにかくEDTA!!
もしくは、クエン酸ナトリウムを使うんだ!」と、
先生から何度も念仏のように唱えられます。
試験でも、「生体試料の凝固薬として使うものは?」の
問いに対して、上記2種類の物質の回答(だけ)を求められます。
実はヘパリンが最も適しているとは。。勉強になります。

TDM におけるシクロスポリンの検査では
EDTA入りの全血のみを用いる一方で、
臨機応変に、凝固剤の種類や有無を考えなければ
患者さんの状態を明確に出来ないケースもあるのですね。
衛生現象、調べてみます。

毎日色んなことを教えてくださるKim先生に感謝しています。
本当にありがとうございます。







by 静香 (2014-02-12 14:17) 

Kim

静香さん、いつも見てくださりありがとうございます。

検査や薬の投与など、色々考えなければならないことが多くあるのですが、あまり考えなくても大丈夫な場合が多いです。本当はちゃんと考えなければならないと知った上で行動すべきですよね。

基本を大切にと想っていますので、地道に勉強しています。間違いなどあればご指摘頂ければ幸いです。

by Kim (2014-02-12 23:56) 

静香

誤字脱字の多いコメントをしてしまい、
大変申し訳ありませんでした。
二度とこのようなことがないように
注意を徹底いたします。

お身体大切になさってください。
by 静香 (2014-02-13 12:57) 

Kim

静香さん、全然構いませんよ。

誤字脱字には気付きませんでしたよ。これからもよろしくお願いいたします!

by Kim (2014-02-13 16:00) 

shiraishi

Kimさん、お久しぶりです。shiraishiです。
私は、臨検となり血算に従事しています。
EDTA依存性の偽性血小板減少は、日常的によく遭遇します。毎日何人も出る位なので、珍しい印象はあまりないのですが、いかがでしょうか?
採血の対策としては、Kimさんが記事にしている様に色々対策があります。
この対策方法も病院やラボによってクセがあるみたいで、自分達のやり易い方法を取っている部分がある様に思います。
採血後にスライド作製して鏡検してしまえば、引き終わり部分等に血小板の凝集が見られるのですぐに分かりますね。
1つの方法として、シリンジで採血してすぐに1滴スライドガラスに血液を落としてスライドを作製すると、スライド上で血小板が凝集する前に引けるので、本当に血小板が体内で少ない訳ではないと言う事が確認出来ると先輩から教えていただきました。
鏡検には不向きですが、血糖管を使うと血小板凝集がまだマシだと思います。
by shiraishi (2014-02-24 22:21) 

Kim

shiraisiさん、検査技師になられたんですね。

毎日何人も出るんですか!!!それは知りませんでした。私は滅多に遭遇しません。最近巡り会ったのは、、、、、、、覚えてないぐらい前です。

気付いてないだけかも知れませんね。スライドを使うのはなるほどですが、採血してすぐにスライドガラスに、、、、、、、は難しいでしょうね。

患者さんに役立つ検査技師さんになってくださいね!!

by Kim (2014-02-25 07:22) 

こぐま

はじめまして。クリニックに勤務する看護師です。検査自体は外注していますが、つい先日同様の事例があり、検査会社からクエン酸で再検するよう申し送りがあり結果的に正常値となりました。結果に信頼性が持てないという理由しか聞いてませんでしたので、機序がわからず検索していたところこちらの記事を拝読し、納得いたしました。有難うございます。小さいクリニックで、ヘパリンスピッツもないので、お金の事情もあると知り色々勉強になりました。有難うございました。また他の記事も拝読させていただきます。
by こぐま (2016-04-22 14:22) 

Kim

こぐまさん、コメントありがとうございます。

読んでいただき、疑問があれば気軽に書き込んでくださいね。

by Kim (2016-04-22 15:17) 

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