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胆嚢炎で役立つ所見は? [研修医教育]

 ICU roomからです。

 胆嚢炎ではMurphy徴候というのが有名ですが、別のものもあるそうです。

 質問:ボアス徴候とは何か?

 徴候はチョコレートとは関係ありません、、、、たぶん。



答え
 ボアス徴候(Boas's sign)は、急性胆嚢炎の時におこる右の肩甲骨直下の知覚過敏である。これは右の10〜12肋骨の高さで脊椎のすぐ右の点の圧痛として以前から記載されている。ボアス徴候は胃十二指腸疾患でも認められる。
 この質問に答える目的は、急性胆嚢炎の臨床徴候は微妙であり、有名なマーフィー徴候のような単独の所見だけで、詳しい検査をせずして急性胆嚢炎を除外したり診断したりするのに十分ではない事を知ることである。

 UpToDate "Pathogenesis, clinical features, and diagnosis of acute cholecystitis(急性胆嚢炎の病因、臨床徴候と診断)"より。

 急性胆嚢炎は局所の腹膜に炎症が及び、体動によって痛みが悪化するため、急性胆嚢炎の患者は、通常病的(ill)に見え、熱、頻拍があり、診察室のベッドに横になっている。腹部の診察上は通常自発的、あるいは非自発的に硬くなっている。
 マーフィー徴候(Murphy's sign)は診断に有用な所見である。肝臓のすぐ足側の胆嚢がある部分を触診しながら、患者に深呼吸をするように伝えると、指に向かって胆嚢が降りてくるのが触知される。急性胆嚢炎の患者は通常呼吸困難が増加し、深呼吸がそこで止まる。ある研究では、胆嚢シンチグラフィーを確定診断とすれば、マーフィー徴候の感度と特異度はそれぞれ97%と48%だった。マーフィー徴候の感度は高齢者では低下するかも知れない。


 Boas徴候について記載がなかなかないのですが、こちらの英語のWikipediaには感度が7%未満とあります。あまり有用な所見ではないですね(>_<)。

 JAMA evidenceと言う色々な診断に役立つ所見について書かれているページ(年間495ドル会費がかかります)によれば、陽性尤度比が2を超えているものは、マーフィー徴候だけだそうです。血液検査は以前書きましたが、胆嚢炎の診断にはあまり役立ちません。

 よって胆嚢炎の診断にはエコーやCT等の画像診断が必要です。


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