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緊急時に酸素投与をしてはいけない場合があるのか? [医学関連]

看護師さや姉 「Kim先生、408号室の秋元さんが急変です!すぐ逢いに来て♡」
Kim 「(電話で)急変じゃなくても逢いに行くよ♡」
看護師わるきー 「なんでうち、いつもわるきーなん?みるきーやのに!」
研修医ゆきりん 「ブラックゆきりんです!まーちゅん、酸素を経鼻カニューラで1リットルから!」
看護師まーちゅん 「ゆきりん先生、サーチは85%しかありませんよ!マスクで4.8リットルぐらい行きませんか?」
看護師うーか 「4.8ってめっちゃ正確!ぐらいやないやん!」
ゆきりん 「秋元さんはCOPD48が確かあったから、、、、、」
わるきー 「そんな派生グループあれへんし!それに秋元さんはCOPDないで!なあ、うーか!」
うーか 「カルテを今確認しました!たばこを48年間すってはるみたいです。」
まーちゅん 「そらCOPDあってもおかしくないわ。」
ゆきりん 「COPD48がなくても、酸素は、組織障害を起こしたり、血管を収縮させたりして、あんたみたいに悪さをするって、この前勉強会でやってた、、、、、」
わるきー 「ブラックなあんたにだけは言われたくないわ!」
さや姉 「あと48いらへんし。」
(Kim先生登場!)
Kim 「どしたん?」
さや姉 「秋元さんがさっきから胸が苦しいって言ってはります。もしかしてハート型ウイルスに感染したんかも。」
Kim 「君は僕の事だけ見ていれば良いんだよ。心電図と採血をしましょうか。」
ゆきりん 「酸素はどうしましょう?」
まーちゅん 「私はマスクで5リットルって言ったんですが、ゆきりん先生が酸素は悪さをするって。悪さをするのはわるきーだけやと思ってたんやけど、、、、、」
わるきー 「なんでやねん!!」



 いつものとおり水戸黄門さまから。UpToDate "Oxygen delivery and consumption(酸素の供給と消費)"と言う文献です。

A few studies have evaluated the impact of augmenting DO2 and patient-centered outcomes, such as survival, organ failure, length of ICU stay, and length of hospitalization [33,35-37,43-49]. While some of the studies found an improvement in morbidity or mortality, others found no effect or potential harm. Those that demonstrated improvement had significant methodologic problems, such as baseline differences between the treatment and control groups, and failure to use an intention-to-treat analysis.
 DO2(末梢組織に運ぶ酸素量)を変化させる事の影響と患者中心のアウトカム(例えば生存率、臓器不全、集中治療室滞在期間、入院期間)を調べた研究はほとんどない。有病率と死亡率に改善を認めたとする研究がある一方、何の効果もなく、有害事象が発生したとする報告もある。改善したとする研究は、研究方法に明らかな問題点を含んでいる。例えば、治療群と比較群の基礎データが大きく異なっていたり、intention-to-treat分析を用いていないなどである

 Taken together, we believe there are insufficient data to warrant the routine augmentation of DO2 in critically ill patients if there is no evidence of ongoing tissue hypoxia.
 重症患者において、組織低酸素の証拠がない場合に、ルーチンにDO2を改善させることを推奨する十分なデータはないと我々は信じる。

 In critically ill patients in whom there is no evidence of ongoing tissue hypoxia, we suggest that DO2 should NOT be routinely augmented (Grade 2B).
 組織低酸素の証拠がない重症患者においては、DO2はルーチンに変化させてはならない(グレード2)。

 英国胸部学会?のガイドラインがあります。膨大な資料ですが、お時間があれば、そして英語が得意であればお読みください。長くなるので私の下手な日本語訳のみ抜粋で載せます。

 重症患者の場合には、酸素療法はリザーバーマスクで15L/分から開始する。
 安定したら、酸素飽和度が94〜98%になるように酸素投与量を減らす。
 もし酸素飽和度測定が出来なければ、治療が開始できるまでリザーバーマスクを続ける。
 COPDやその他の高二酸化炭素のリスクがある患者が急病になった場合、血液ガスの結果が来るまで他の重症患者と同じ飽和度を目標とすべきである。その後、重症な低酸素や高二酸化炭素血症(呼吸性アシドーシス)があれば、酸素投与量を調節したり呼吸の補助を必要とするかも知れない。

 急性冠症候群患者の多くは低酸素ではなく、酸素投与の利益や害についてはよく分かっていない(グレードD)。
 脳卒中患者のほとんどは低酸素状態にはない。低酸素状態にない軽症から中等症の脳卒中患者に対する酸素療法は有害である可能性がある(グレードB)。
 母胎が低酸素でない場合には、酸素投与は胎児に有害である可能性がある(グレードA-D)。

 安静時には、慢性的に低酸素状態にある患者では異常に低いSpO2にも耐えられるかも知れないが、急性疾患時、つまり組織の酸素需要が増大している時期に、この安静時の酸素飽和度は組織の酸素化には適切でないかも知れない。

 高酸素血症のリスクは、冠動脈や脳血管のれん縮や心拍出量の減少などがあるが、議論のあるところである。これらの生理学的な影響は良く認められているが、臨床研究がされていないために、この臨床的意義についてはよく分かっていない。


 結論です。色々なことが言われていますが、明らかに酸素を投与してはいけないというのは、特殊な場合にのみです。ルーチンにやることがいけないのであって、SpO2が95%以上あれば、しなくても良いのかな、でも苦しそうだし、、、、、急変時や病院の外などでは、自信を持って、酸素はいつやるの?

 今でしょう!

 どのぐらいやるの?

 高流量でしょう!

と言えます。


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うなぎ

免疫力などをつけて身体がウイルスに感染することを何とか避けたい。
同時にパソコンがウイルスに感染することも避けたい。
gooブログにアクセスすると、ウイルスに感染することがあるから、近寄らないことが望ましい。
URLがblog.gooで始まっている。また角の中にgが入った赤いマークが付いている。
ウイルス対策ソフトがパソコンに入っておれば問題ないと思われるが、念のため。
君子危うきに近寄らず。
by うなぎ (2013-06-19 20:21) 

Kim

うなぎさん、コメントありがとうございます!

確かにです。危ないサイトには近づかない様にしたいですね。

by Kim (2013-06-19 22:15) 

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