SSブログ

パッドかパドルか? [CPRの基礎]

 久しぶりのまじめなネタです、、、、、たぶん(^^)。

 心肺蘇生を行う時に、電気ショックを行う事があります。患者さんに電気ショックを与える方法として、パドルとパッド(粘着シートみたいなやつです)の二つがあります。AHAはパッドを推奨しています(理由はあとで解説します)が、実際の所はどうなんでしょうか?

 経験でしかありませんが、私は現場でパッドを使って電気ショックをするところをあまり見たことがありません。理由の一つに、パッドはそれなりにお金がかかる(使い捨てで、1セット?数千円するらしいです)というのがあると思います。これを解決する一番良い方法は、救急隊が導入している除細動器と同じメーカーの除細動器を救急外来に用意して、救急隊が使ってきたパッドをそのまま接続しなおして利用すると言うことです(^^)。せこいですが、、、、病院ってお金のこと結構気にするんです。

 さて、水戸黄門様ことUpToDateの「Basic principles and technique of cardioversion and defibrillation」からです。「同期電気ショック(カルディオバージョン)と電気ショック(除細動)の基礎的な理論と手技」という文献からです。

Hand-held versus patch — The use of hand-held paddle electrodes may be more effective than self-adhesive patch electrodes. This was illustrated in a randomized trial of 201 patients referred for cardioversion of persistent atrial fibrillation [37]. Success rates were slightly higher for patients assigned to paddle electrodes (96 versus 88 percent with patch electrodes). Improved electrode-to-skin contact and reduced transthoracic impedance with hand-held electrodes may explain the benefit.

However, there are no published data comparing hand-held paddle electrodes to self-adhesive patch electrodes for other arrhythmias requiring cardioversion (eg, atrioventricular nodal reentrant tachycardia, atrial flutter) or defibrillation (eg, ventricular fibrillation). Therefore, the decision to use hand-held or self-adhesive electrodes should be made based on the available equipment and the opinion of the operator regarding which electrodes are more likely to be effective for the patient at hand.

パドル(Hand-held)とパッド(patch)
 パドル電極(hand-held paddle electrodes)は、パッド電極(self-adhesive patch electrodes)よりも有効かも知れない。持続する心房細動の患者201人で検討した無作為化研究において示されている。パドルを用いた患者の方が、同期電気ショックの成功率が少し高かった(96%対88%)。その理由として、電極と皮膚の接触が良くなり、経胸壁インピーダンスが減少したのではないかと考察されている。
 しかし、その他のカルディオバージョンを必要とする不整脈(リエントリー性房室伝導頻拍、心房粗動など)や電気ショックに関して、パドルとパッドを直接比較したデータはない。よってパッドを用いるかパドルを用いるかの判断は、どちらが準備できるか、使用者の考えに基づいてなされるべきである。

 知らなかったです、、、、、

 AHAの意見は以下の通りです(ACLSプロバイダーマニュアルP.64)。
・除細動の施行中に伝導素材を使用すると、経胸壁インピーダンス、または胸部構造の電流に対する抵抗が減少する。
・伝導素材には、電極ペースト付きのパドル、ゲルパッド、粘着性のパッドなどがある。
・既存のデータでは、これら(パドルとパッド)の優劣は示されていない。ただし粘着性のパッドは、アーク放電のリスクを低下させ、原因となっている患者の心リズムのモニタリングを可能にし、必要に応じて迅速にショックを行える。
 これらの理由から、AHAはパドルではなく、粘着性のパッドのルーチン使用を推奨している。

 のですが、ガイドラインを探しても記載が見つかりませんでした、、、、、CoSTRを見たら、驚くべき事が!!全部訳すの大変なので結論だけ、、、

推奨される治療
 電気ショックと心房細動に対する同期電気ショックでは、二相性の除細動器を用いるのであれば、自己粘着式パッドを用いるのが安全であり、成功率も高いが、パドルも許容できる方法である。心房細動に対して単相性除細動器を用いる場合には、パドルが推奨される。

 ヨーロッパ蘇生協議会のガイドライン2010には以下のようにありました。
パッドか?パドルか?
 実際の臨床現場において、自己粘着パッドはパドルよりも、モニタリングや除細動において利点がある。パッドは安全で成功率が高く、パドルよりも推奨される。心停止しそうな場合や、患者さんに近づきにくい環境(たぶん病院の外などでしょう)などで使用が推奨されるべきである。パッドもパドルも経胸壁インピーダンスや有効率は同じであるが、操作者の安全面では有利である。パドルだと患者に近いところで操作しなければならないからである。初回リズムのモニタリングに関しては、パッドもパドルも、心電図モニターより早く行えるが、パッドの方がパドルよりも早く行えた。
 ジェルパッドとパドルを用いた場合、電気ショック後にジェルが分極化し伝導が悪くなる。これにより、偽の心静止が3ー4分続くかもしれない(パッドをリズムモニターとして用いた場合)。この現象は自己粘着式パッドでは報告されていない。ジェルパッドとパドルを用いた場合には、心静止の診断はパドルではない心電図電極によって確認すべきである。

 色々書かれていて難しいですね、、、、、でも結局CoSTRにあるように、単相性除細動器で心房細動に同期電気ショックを行う時にはパドル、それ以外はパッドと言うことですね。


nice!(2)  コメント(2) 
共通テーマ:学問

nice! 2

コメント 2

さうざんバー

ちょっと難しかったですが、なるほど納得(^^)b
私は古いので、パドルでしか電気ショックは知りませんが、AEDとかを考えると、やはりパッドの方が良いのは、嬉しいです(^^)v
by さうざんバー (2013-02-25 19:51) 

Kim

さうざんバーさん、コメント&nice!ありがとうございます。

こういうのはUSBとかと同じように接続を一緒にしていただくと便利だと思いますが、、、、、難しいのでしょうね。

by Kim (2013-02-26 09:23) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。