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食中毒は食べてすぐ発症するものは少ないです。 [医学関連]

 先日大阪でこんなことがありました。調理実習中の小学生が気分不良を訴えて救急車で運ばれたというのです。

 下痢したり、嘔吐したりしている人には、何か変わったものを食べませんでしたか?と聞きますが、直前の食事を言う方が多いです。が、残念ながら?食べてから1日はかかるはずなので、昨日は?一昨日は?と聞きます。大体覚えていませんが、、、、、昨日の昼何食べたか覚えていますか?

 もし食べた直後に症状が出たら、それは食事に毒が盛られていたか、毒素産生型の菌が付着していたか、毒ガスや一酸化炭素中毒を疑わなければなりません。

 食中毒について調べてみました。

 UpToDateの「Differential diagnosis of microbial food borne disease(微生物による食物媒介疾患の鑑別診断)」という文献には以下のようにあります。

Pathogenic mechanisms — Thinking about the basic pathogenic mechanisms can also assist in understanding the differential diagnosis of foodborne disease. Pathogenic mechanisms by which microbes cause foodborne disease can generally be categorized in three ways:

 Organisms that make a toxin in the food before the food is consumed. Consumption of the toxin-contaminated food will usually lead to the rapid onset of symptoms (6 to 12 hours) that are predominantly upper intestinal. Examples of this are Staphylococcus aureus, Bacillus cereus emetic toxin and botulism.
 Pathogens that make toxin once they have been ingested. This usually takes longer (approximately 24 hours or longer), causes diarrhea that may be watery (eg, Vibrio cholerae or Enterotoxigenic Escherichia coli) or bloody (eg, Shiga toxin-producing E. coli).
 Microbes that cause pathology by either damaging the epithelial cell surface or by actually invading across the intestinal epithelial cell barrier. This group of pathogens can produce a wide spectrum of clinical presentations from watery diarrhea (eg, Cryptosporidium parvum, enteric viruses) to inflammatory diarrhea (eg, Salmonella, Campylobacter, Shigella) or systemic disease (eg, L. monocytogenes).

 訳してみますと、、、、

 発症のメカニズム
基本的な発症の仕組みを考える事は、食物媒介疾患の鑑別診断を理解するのに役立つ。微生物が食物媒介疾患を起こすメカニズムは一般的に以下の3つに分類される。

・食物が消費される前に食物内で毒素を作る病原体
 毒素を含んだ食物を食べることにより、上部消化管の症状が通常早期(6−12時間)に発症する。例えば、黄色ブドウ球菌やセレウス菌、ボツリヌス菌である。
・接種後に体内で毒素を作る病原体
 通常発症に時間がかかり(約24時間かそれ以上)、下痢を起こす。コレラや毒素原性大腸菌などは水様性、赤痢毒素を作る大腸菌などは血性下痢を起こす。
・腸管粘膜を損傷、あるいは粘膜を破って侵入することにより発症させる微生物
 このタイプの病原体は、水溶性下痢、炎症性下痢、全身疾患など様々な症状を発症する。

 和歌山カレー事件は最初食中毒と判断されたようですが、だとすると毒素産生菌が混入した食物が提供されたということになります。

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医学生女子

食中毒の季節になりましたね

といっても食中毒は周年発生しますけど

カレーは食中毒が出やすい食品なんですよね

ウェルシュ菌という耐熱性菌がいて、過去においては真冬のイベントでもカレーが原因の集団食中毒が出ています

カレーの作り置きは「厳禁」だそうです
もちろん家庭でもですけど

当地の名物「地鶏の刺身」も食中毒がでますよね

生肉だから仕方ないんですが

カンピロバクターの食中毒です

この辺の「地の人」は耐性があるのか平気みたいですが、県外の人がお腹を壊すことが多いみたいです

私は「地の人」ではありませんが、お腹は壊しません(^^)

「だいやめ」のときは、よか「しょけ」になりますね
(↑先生、意味分かります??)

by 医学生女子 (2012-06-22 07:19) 

Kim

医学生女子さん、いつもありがとうございます。

だいやめは分かりますが、しょけは??です。教えていただければ幸いです。

カレーの作り置きは危険なんですね。知りませんでした!勉強になりました!

by Kim (2012-06-22 20:31) 

医学生女子

「しょけ」は「塩気」、しょっぱい物という意味で、だいやめの「つまみ」のことです(^^)

私もちょっと前に近所の歯医者の先生に聞きました

歯医者の先生には、たまにお誘い頂いてノンカタのお供をします

カレーは香辛料が入っていて、腐らないと思うのですが、粘性があるためか、表面が冷えても中は温かいみたいで、ウェルシュ菌は45℃くらいで急激に繁殖するので、食中毒を起こす危険が高いそうです。

たしかに2日目のカレーは美味しいんですけどね・・・

by 医学生女子 (2012-06-24 13:19) 

Kim

医学生女子さん、勉強になりました。ありがとうございました!

食中毒は気をつけたいですね。

by Kim (2012-06-24 15:57) 

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