急に血圧が上がった場合に下げるべきなのか? [AKB関連]
当直していると以下のようなことがあります。
(午前2時半、電話が鳴る、、、、)
事務当直乃木坂 「(寝ていたのだが、ぱっと起きて、はきはきと)SKE総合病院事務当直の乃木坂でございます!」
患者の妻A 「(なんでSKEに乃木坂、、、、まいっか)夜分にすみません。そちらの病院の大家先生にかかりつけの渡辺と申します。主人なんですが、血圧が今200もあるんです、、、心配なので診てもらえないでしょうか?」
乃木坂 「はい。ご心配でしたら本日大家が当直ですので、いらしてください。年中無休48時間営業ですので、、、、」
病棟ナース柏木 「大家先生!Kim先生の患者さんで、峯岸さんという方がいるんですが、血圧がさっきから200あって下がらないんです。いつもは総選挙14位ぐらい、、、じゃなくて血圧は140ぐらいなんです。特に訴えはないんですが、特別指示に何も出ていないので、、、、」
当直医大家 「訴えがないんだったら、経過観察で良いでしょう。」
柏木 「でも心配なんです、、、、最近二人卒業したばかりだし、、、」
大家 「それはAKBの話でしょ。ここはSKEじゃなかったっけ??」
柏木 「患者さんを診に来てくれたら、、、夢中にさせちゃうぞ!」
大家 「本当は行きたい所なんだけど、君に夢中になったら大変そうだから辞めておくよ、、、、アダラート5mgを舌下しておいて(本当はやっちゃダメなんだけど、ゆきりんが許してくれなそうだし、、、、)。」
血圧が上がると、患者さんも看護師さんもとても心配になるという訳です。何が心配なのか、、、、よく分かりませんが、当直していると必ずあります。脳出血を起こしたり、動脈解離を起こしていたり、その他色々な患者さんの血圧が高いからでしょう。血圧は低くても怖いですが、高くても怖いもののようです。
結論から言います。
血圧が高いだけで症状がなければ、全く心配ありません。血圧を下げる必要もありません。だから夜に来院する必要はありませんし(心配なら来院して頂いて構いませんが)、夜に血圧を下げる薬を投与する必要もありません(ゆきりん、ごめんなさい)。
以下は気になる人だけ読んでください。
UpToDateの「重症無症候性高血圧の対応(Management of severe asymptomatic hypertension (hypertensive urgencies))」と言う文献には、以下のようにあります。
重症高血圧は、収縮期180mmHg、拡張期120mmHgを超える血圧である。
重篤な症状を発生することがあり、これはhypertensive emergencyと呼ぶ(これは治療が必要です)。
無症状な患者も多く、これはhypertensive urgencyと呼ぶ。
hypertensive urgencyの対応法について明らかな指針はない。
ニフェジピン(アダラート、ヘルラート)の舌下投与は、現在禁止された行為である。
通常安静にしていれば血圧は下がるし、どこまで血圧を下げるべきかについての指針はない。
それから「血圧を下げることの危険性>血圧が高いことによる不利益」と考えられます。その理由を以下に。
無症状の重症血圧の患者の血圧を急に下げることによる利益は証明されていない。組織の血流が自己調節によって維持されるレベル以下に血圧が低下した場合には、降圧療法によって脳や心筋の虚血や梗塞が発生する可能性がある。この悪影響はニフェジピンの舌下投与によって良く認められる。血圧の低下する程度は調節も予想も出来ないし、重篤な虚血合併症が認められている。前述したように、これらの情報により、舌下のニフェジピンは無症状の高血圧患者に投与すべきではない。
よって、急性の臓器障害の兆候がない場合、治療のゴールは血圧を160/100 mmHg以下に数時間から数日かけて下げることである。血圧を早く下げすぎたり、目標血圧よりも下げすぎたりすると発生しやすいと言うことに基づいている。
This is based on the adverse effects observed with faster correction and/or lower achieved blood pressures [9,11,12].
日本でも私が研修医の頃は、ゆきりんから電話があれば、ヘルラート5mg舌下しといて、、、、あるいは特別指示(医師の許可や指示がなくてもあらかじめ出してあるので看護師の判断で実施できる)として出しておいたりしました。が、10年ほど前に日本でも脳梗塞などが多発してイエローペーパーが出ていますので、まさかまだやっているところはないでしょうが、、、、、イエローペーパーとは重大な事故などがあった場合に注意を喚起するために出す書類で、黄色に赤字なのでイエローペーパーと言われています。一番新しいのはタミフルの精神障害のようです。あれ?ニフェジピンが載ってない、、、、
また、脳卒中などを起こしていた場合でも、、、、
こちらの脳卒中ガイドラインには以下のようにあります。
1.脳卒中発症直後の高血圧に対する管理は、高血圧性脳症、クモ膜下出血が強く疑われる場合以外は病型診断が確定してから行って良い。また降圧薬を使用する前に、痛み、嘔気、膀胱の充満などにより血圧が上昇しているのではないかを検討すべきである。一方、著しい低血圧(ショック)は輸液、昇圧薬などで速やかに是正すべきである(グレードC1)。
2.脳梗塞急性期では、収縮期血圧>220mmHgまたは拡張期血圧>120mmHg の高血圧が持続する場合や、大動脈解離・急性心筋梗塞・心不全・腎不全などを合併している場合に限り、慎重な降圧療法が推奨される(グレードC1)。
3.血栓溶解療法を予定する患者では、収縮期血圧>185mmHgまたは拡張期血圧>110mmHg以上の場合に、静脈投与による降圧療法が推奨される(グレードB)。
何と脳出血を起こしていても、180とかだったら全然下げる必要ないんです。
(午前2時半、電話が鳴る、、、、)
事務当直乃木坂 「(寝ていたのだが、ぱっと起きて、はきはきと)SKE総合病院事務当直の乃木坂でございます!」
患者の妻A 「(なんでSKEに乃木坂、、、、まいっか)夜分にすみません。そちらの病院の大家先生にかかりつけの渡辺と申します。主人なんですが、血圧が今200もあるんです、、、心配なので診てもらえないでしょうか?」
乃木坂 「はい。ご心配でしたら本日大家が当直ですので、いらしてください。年中無休48時間営業ですので、、、、」
病棟ナース柏木 「大家先生!Kim先生の患者さんで、峯岸さんという方がいるんですが、血圧がさっきから200あって下がらないんです。いつもは総選挙14位ぐらい、、、じゃなくて血圧は140ぐらいなんです。特に訴えはないんですが、特別指示に何も出ていないので、、、、」
当直医大家 「訴えがないんだったら、経過観察で良いでしょう。」
柏木 「でも心配なんです、、、、最近二人卒業したばかりだし、、、」
大家 「それはAKBの話でしょ。ここはSKEじゃなかったっけ??」
柏木 「患者さんを診に来てくれたら、、、夢中にさせちゃうぞ!」
大家 「本当は行きたい所なんだけど、君に夢中になったら大変そうだから辞めておくよ、、、、アダラート5mgを舌下しておいて(本当はやっちゃダメなんだけど、ゆきりんが許してくれなそうだし、、、、)。」
血圧が上がると、患者さんも看護師さんもとても心配になるという訳です。何が心配なのか、、、、よく分かりませんが、当直していると必ずあります。脳出血を起こしたり、動脈解離を起こしていたり、その他色々な患者さんの血圧が高いからでしょう。血圧は低くても怖いですが、高くても怖いもののようです。
結論から言います。
血圧が高いだけで症状がなければ、全く心配ありません。血圧を下げる必要もありません。だから夜に来院する必要はありませんし(心配なら来院して頂いて構いませんが)、夜に血圧を下げる薬を投与する必要もありません(ゆきりん、ごめんなさい)。
以下は気になる人だけ読んでください。
UpToDateの「重症無症候性高血圧の対応(Management of severe asymptomatic hypertension (hypertensive urgencies))」と言う文献には、以下のようにあります。
重症高血圧は、収縮期180mmHg、拡張期120mmHgを超える血圧である。
重篤な症状を発生することがあり、これはhypertensive emergencyと呼ぶ(これは治療が必要です)。
無症状な患者も多く、これはhypertensive urgencyと呼ぶ。
hypertensive urgencyの対応法について明らかな指針はない。
ニフェジピン(アダラート、ヘルラート)の舌下投与は、現在禁止された行為である。
通常安静にしていれば血圧は下がるし、どこまで血圧を下げるべきかについての指針はない。
それから「血圧を下げることの危険性>血圧が高いことによる不利益」と考えられます。その理由を以下に。
無症状の重症血圧の患者の血圧を急に下げることによる利益は証明されていない。組織の血流が自己調節によって維持されるレベル以下に血圧が低下した場合には、降圧療法によって脳や心筋の虚血や梗塞が発生する可能性がある。この悪影響はニフェジピンの舌下投与によって良く認められる。血圧の低下する程度は調節も予想も出来ないし、重篤な虚血合併症が認められている。前述したように、これらの情報により、舌下のニフェジピンは無症状の高血圧患者に投与すべきではない。
よって、急性の臓器障害の兆候がない場合、治療のゴールは血圧を160/100 mmHg以下に数時間から数日かけて下げることである。血圧を早く下げすぎたり、目標血圧よりも下げすぎたりすると発生しやすいと言うことに基づいている。
This is based on the adverse effects observed with faster correction and/or lower achieved blood pressures [9,11,12].
日本でも私が研修医の頃は、ゆきりんから電話があれば、ヘルラート5mg舌下しといて、、、、あるいは特別指示(医師の許可や指示がなくてもあらかじめ出してあるので看護師の判断で実施できる)として出しておいたりしました。が、10年ほど前に日本でも脳梗塞などが多発してイエローペーパーが出ていますので、まさかまだやっているところはないでしょうが、、、、、イエローペーパーとは重大な事故などがあった場合に注意を喚起するために出す書類で、黄色に赤字なのでイエローペーパーと言われています。一番新しいのはタミフルの精神障害のようです。あれ?ニフェジピンが載ってない、、、、
また、脳卒中などを起こしていた場合でも、、、、
こちらの脳卒中ガイドラインには以下のようにあります。
1.脳卒中発症直後の高血圧に対する管理は、高血圧性脳症、クモ膜下出血が強く疑われる場合以外は病型診断が確定してから行って良い。また降圧薬を使用する前に、痛み、嘔気、膀胱の充満などにより血圧が上昇しているのではないかを検討すべきである。一方、著しい低血圧(ショック)は輸液、昇圧薬などで速やかに是正すべきである(グレードC1)。
2.脳梗塞急性期では、収縮期血圧>220mmHgまたは拡張期血圧>120mmHg の高血圧が持続する場合や、大動脈解離・急性心筋梗塞・心不全・腎不全などを合併している場合に限り、慎重な降圧療法が推奨される(グレードC1)。
3.血栓溶解療法を予定する患者では、収縮期血圧>185mmHgまたは拡張期血圧>110mmHg以上の場合に、静脈投与による降圧療法が推奨される(グレードB)。
何と脳出血を起こしていても、180とかだったら全然下げる必要ないんです。
この記事、【AKB関連】じゃないんですね。
私は低血圧です。
検診先の病院で計ったら上が100なくて、
看護師さんが心配して婦長さんに「この人・・・」なんて聞いてました。
婦長さんの判断は「大丈夫」でしたけど。
ゆきりん
by Hirosuke (2012-02-01 09:54)
Hirosukeさん、コメント&nice!ありがとうございます。
AKB関連に変更しました。ご指摘ありがとうございます。
血圧が低いのも普段からでしょうし、低くても症状がなければ大丈夫ですよ!
by Kim (2012-02-01 11:28)
血圧に関する最新ニュースです。
血圧測定は両腕で、心臓病の潜在リスクも明らかに 英研究
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2854521/8393526?blog=sonet
by Hirosuke (2012-02-01 17:01)
Hirosukeさん、コメントありがとうございます。
私はさぼっていますが、循環器の先生は両腕、両足などの血圧を測っていますよ。
by Kim (2012-02-01 20:13)
医学の最新ニュースって、やっぱり遅れてるんですね。
by Hirosuke (2012-02-01 20:59)
Hirosukeさん、コメントありがとうございます。
遅れているのではありませんよ。今までやっていることでも、ちゃんとした証拠があると証明することは意味があります。
例えば目をめくって色が白くないかどうかを見るんですが、あれは本当に貧血をある程度指摘できるのか?と言う研究もされています。もしあれで貧血っぽくても全然貧血とは関係ないと言う結果が出れば、あの診察をする必要はないと言うことになります。
えっ?これって研究されていなかったんだ、、、、、って事もあります。
AKBの総選挙も同じです。以前からあっちゃんが一番人気があると言われていたんですが、総選挙をやって初めて本当にあっちゃんが人気があると言う事が分かった訳です。
by Kim (2012-02-01 21:23)
そこまでAKBで解説。。。
なるほど。
by Hirosuke (2012-02-01 22:01)
Hirosukeさん、コメントありがとうございます。
AKB関連ですので(^^)/。
by Kim (2012-02-02 14:59)
今まで前田敦子さんがリーダーだと思っていました(笑)
by こんばんは (2012-02-08 00:00)
こんばんはさん、コメントありがとうございます。
AKB48のリーダーは髙橋みなみさんです。他にも色々グループがありますが、リーダーが決まっていなかったりしています。
リーダーが一番目立つ場合もあれば、裏方に徹する場合もありますよね。医療の現場でも同じですね。
by Kim (2012-02-09 10:24)
はじめまして。(^o^)先生のブログから沢山勉強している研修医一年目です。
大変お世話になっております。q(^-^q)
ところで、目をめくって貧血を調べるのはエビデンスありますか?どのくらい白で貧血かもと判断できますか?
もし良ければ教えてください。(^^)
by お名前(必須) (2013-09-09 16:14)
コメントありがとうございます。
それは確かエビデンスが合ったと思います。調べてみますね。
by Kim (2013-09-09 21:05)
以下の文献に、感度25%、特異度89%とあります。エビデンスレベルは分かりませんが、、、、、
白くなっていなくても貧血がある場合がありますが、白くなっていたら貧血があることが多いと言うことで、見ることに意味はありますね。
グーグル先生に、「anemia」「specificity」と聞いてみました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9473962
by Kim (2013-09-09 21:13)
UpToDate "Approach to the adult patient with anemia"より
(貧血の成人患者へのアプローチ)
The sensitivity and specificity for pallor in the palms, nail beds, face, or conjunctivae as a predictor for anemia varies from 19 to 70 percent and 70 to 100 percent, respectively [51-54], with wide interobserver differences and widely differing conclusions as to the clinical value of the presence or absence of this finding.
貧血の指標として、手掌、爪床、顔面、眼瞼結膜の蒼白を診ることの感度は19〜70%、特異度は70〜100%と差がある。この理由は所見を診る検査者の判断の違い、貧血があるかどうかを臨床的に決める基準の違いなどによる。
どちらにしても、感度が低いので、診察で貧血っぽくなくても否定は出来ないという事が分かりますね。上部消化管出血に対する胃洗浄と同じです。
by Kim (2013-09-09 21:21)
もうちょっと読みやすい文章がかけないものでしょうか?アイドルに引っ掛けたくだりなんて、自己満足そのもの。読みにくい上にわかりにくい。
by お名前(必須) (2014-01-04 09:22)
コメント誠にありがとうございます。
分かりにくくて大変もうし訳ありません。なのに読んでいただき感謝です。
アイドルのところは確かに自己満足です。こんな事が良くあるということです。そこはわからなくてもあまり問題ありません。
後半部分は、引用文献の訳です。分かりにくさの大半は私の英語力の問題と思います。これはすぐには向上しませんので申し訳ないとしか言えません。
分からないので事は、ここに書き込んで頂ければ、最大の努力をはらってコメントさせていただきます。よろしくお願いします。
by Kim (2014-01-04 16:15)