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高カリウム血症の治療(その1) [医学関連]

司会のみいちゃん 「高カルシウム血症の時に、メイロンはあまり勧められないというお話しを先日させていただいたところ、推奨される治療は?とご意見いただいたので、、今日はみんなでディスカッションします。」
麻里子さま 「ヨーロッパ蘇生協議会(ERC)のガイドライン2010が一番わかりやすいと思ったので、引用です。日本語は私の訳ですので間違っていたらごめんなさい。れいなさん、代わりに読んでもらえますか。」
れいな 「高カリウム血症による心電図変化は通常進行性であり、次のような物がある。
・一度房室ブロック(PR間隔が0.2秒以上に延びる)
・P波が平坦になる、あるいは消失する
・T波が高くなり、テント状になる(1つ以上の誘導でT波がR波よりも高い)
・ST低下
・S波とT波の区別が付きにくくなる(サイン波パターン)
・QRS幅が広くなる(0.12秒以上)
・心室頻拍
・徐拍
・心停止(無脈性電気活動PEA、心室細動/無脈性心室頻拍、心静止)
 でも、こんなたくさん覚えられませんね。お医者さんってすごいですね。」
まりんちゃん 「UpToDateの"高カリウム血症の治療と予防(Treatment and prevention of hyperkalemia)"によれば、QT間隔が短くなり、T波が高くなるのが最も最初の変化だそうです。これだけ知っていても良いかもしれませんね。」
さやか 「高カリウム血症の治療には3つのポイントがあるそうです。一つ目は心臓の保護、二つ目は細胞内にカリウムを移動させること、三つ目はカリウムを外に出すことです。」
しいちゃん 「まず最初の心臓の保護ですが、それに用いるのはカルシウムです。ERCは明確にその適応を述べています。」
あーみん 「カルシウム静注は、心電図変化がなければ一般的に適応になりません。」
しいちゃん 「ちょっと私の台詞とらないでくれる??臨床的に高カリウム血症が強く疑われる時(心電図変化がある場合)には、採血結果が出ていなくても治療を始めるべきですね。
すーちゃん 「そうですね!だから、高カリウム血症が疑われるような患者さん、例えば透析患者さんが急変した時、代謝性アシドーシスがある患者さん、β遮断薬を飲んでいるなどでは、すぐ心電図モニターをつけることが大切ですね。」

みいちゃん 「なるほど、高カリウム血症の治療としては、まず心電図変化があるかどうかが大切で、あればカルシウム静注というわけですね。」
麻里子さん 「疑問なんですが,何でカルシウムを注射すると高カリウム血症の治療になるんですか?」
れいな 「低カルシウム血症があると、高カリウム血症の心毒性が強まるという報告があるそうです。」
まりんちゃん 「それから心臓はカルシウムを食べてしまうとカリウムを食べられないみたいですね。カルシウムの方がおいしいんでしょうね。」
さやか 「そんな理屈??」
しいちゃん 「実際の所はよく分かっていないみたいですね。」
あーみん 「カルシウム静注の効果は数分で現れます。でも30分から60分しか持たないみたいです。」
すーちゃん 「カルシウムの静注は結構危ない治療でもあるので、高カリウム血症が重症であるという所見がある場合にのみ行います。つまり心電図変化ですね。」
ゆきりん 「QRS幅が広いかP波が消失した場合ですね。T波が高いだけでは適応にならないみたいです。」
みいちゃん 「ゆきりん、突然なんで??」
ゆきりん 「私鹿児島出身なんで!オーディションの時も担当の方が鹿児島出身だったので有利だったんです!他の治療は効き始めるのに時間がかかるので、その間に危険にならないようにカルシウムを使います。それ以外は使う必要nothingです。」
麻里子さん 「グルコン酸カルシウムよりも塩酸カルシウムの方がカルシウムをたくさん含んでいるので良いようですね。10%製剤10ml中、後者は13.6mEqあるのに対して、前者は4.6mEqしかありません。」
れいな 「通常10%のグルコン酸カルシウム10mlを2-3分かけて静注します。もちろん心電図モニターを見ながらです。心肺蘇生中は見ないようにと言われますが、この場合には見てくださいね!」
まりんちゃん 「塩酸カルシウムの場合には、同じか半分の量を同じく2-3分かけて投与します。どちらの場合にも5分たって変化がないか、再発する場合には再投与が可能です。」
さやか 「投与する場合には,太い静脈、あるいは中心静脈からがお勧めです。静脈炎を起こしたり,漏れた場合には組織の壊死を起こすからです。」
しいちゃん 「メイロンなどの重炭酸を含んだ液と一緒に投与すると炭酸カルシウムが出来るので避けます。」
あーみん 「ジギタリスを使われている患者さんでは、高カルシウム血症になるとジギタリスの心毒性を増強すると言われていますが、それでも高カリウム血症が発生している場合には、ジギタリスを使われていない人と同じように対応してくださいね。」
すーちゃん 「でもジギタリスを使っている患者さんでは、急にカルシウム濃度が上昇するのを防ぐために、20-30分かけてゆっくり投与してください!」
みいちゃん 「皆さん、ご意見ありがとうございました。カルシウムだけでも奥が深いですね。次回は別の治療についてお話ししましょう。」


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Hirosuke

もしかしてMarikoだった本命Hirokoです。
JINを読んでいて気になっていた言葉が、今日の台詞に登場してました。

「代謝性アシドーシス」
仁がコレラに感染した時に自分の症状を、確か、
「急激な下痢と嘔吐による脱水。その代償としての代謝性アシドーシス。」
って説明してました。

「カルシウム静注」
鉛中毒の歌舞伎役者にキレート剤の代替治療として使って、
確かに、すぐ効果が出ていました。

今回の台詞は難しくて、ACの私には理解できませんでした。
by Hirosuke (2011-10-07 23:02) 

Kim

Hirokoさん、いつもコメントとnice!ありがとうございます。

今回のお話は専門的な内容なので、難しかったかも知れません。一般の方は知る必要がないので気にされなくてもよいです。

代謝性アシドーシスは多くの病気の末期状態で現れます。体が酸性になった状態です。酸性になるとカリウムが高くなりやすいです。これらになると激しく下痢をして脱水になります。詳しい事は忘れましたが、それでもアシドーシスになりますし、激しい脱水でもアシドーシスになります。

カルシウムはキレート剤として使えるんですね。鉛中毒について調べて見ますね。ありがとうございます。

by Kim (2011-10-08 08:42) 

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