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CO2チェッカーが陽性だったら挿管されていると考えて良いか? [CPRの基礎]

 最近のACLSやICLSでは行いませんが、以前は気管挿管の実習がありました。

 気管挿管は、患者さんの気道を確保する事によって酸素を投与するために行います。よってちゃんと気管に入っている事が大切です。入れたら、位置を確認します。

 が、なかなか難しいので色々な方法でチェックします。その一つがCO2チェッカーと言う物です。

 最初に付けるべきだと言う人もいますし、6回以上換気をしてからでないとダメだとか(普通聴診を先にしますから、それまでに6回ぐらい行われるでしょうが)色々あります。

 気管チューブの中から二酸化炭素が検出されるかどうかを調べるもので、最初は紫の表示部が黄色になったらOKなので、Yellow=Yes!、Purple=Problem!みたいに教えていました。

 通常の空気には二酸化炭素はほとんど含まれていません。二酸化炭素が検出されたと言う事は、人間の医療の場合、きちんと肺からのガスが出てきていると言う事です。

 ACLSリソーステキストのP.47によれば、呼気の二酸化炭素検出器の精度は以下の通りです。

 感度 33−100%
 特異度 97−100%

 感度とは、そうであるものをそうであると検出する能力のことで、この場合、本当に気管挿管されている場合(別の方法で調べます)で、本当に表示が黄色だった割合です(黄色だったら気管挿管されているかどうかは分かりません)。ややこしいですが、これが高い場合には、この検査が陰性(つまり紫のまま)の場合に意味があります。が、開きがありすぎで、紫色のままだった場合には検査の意義はないとするのが無難です。別の方法で確かめましょう。

 特異度は逆で、そうでないものをそうでないと検出する能力のことで、この場合、本当に気管挿管されていない場合で、本当に紫のままだった割合です。これがほぼ100%と高いので、この検査は黄色になった(陽性)場合にはほとんど挿管されていると考えて良いと言う事になります。

 つまり二酸化炭素検出器を使った場合、二酸化炭素が検出された(つまり黄色になった)場合にのみ意味があると言う事で、検出されなくてもちゃんと気管に入っているかも知れないと言う事です(心臓に血流がなければ二酸化炭素は出てきませんので、心肺停止であれば陰性になりやすいです)。

 また、炭酸飲料をたくさん飲んで、すぐに心停止すれば(アメリカでは十分あり得ます)胃の中から二酸化炭素が出てきますので注意が必要です。

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コメント 4

tsubaki

食道挿管に気付かないほうが怖いですから、黄色になった時のみは有効であるとしていたほうがいいかもしれないですね☆
でも、黄色になったからといって油断はできないから聴診は慎重にすべきですね(*^^)v
by tsubaki (2011-05-24 17:24) 

Kim

tsubakiさん、コメントありがとうございます。

食道挿管はおっしゃる通り、疑ったらそうしましょう。

それから一つの指標だけで確認してはいけません。

by Kim (2011-05-24 20:27) 

tsubaki

私は実際に現場で挿管することはほとんどないですが、件数が少ないからこそ確認などの基礎をしっかりしないといけないと心がけています。
by tsubaki (2011-05-28 11:26) 

Kim

tsubakiさん、コメントありがとうございます。

そうですね、滅多にないからこそ、キチンと訓練が必要ですよね。

by Kim (2011-05-28 11:39) 

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