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透析用のカテーテルを鎖骨下静脈に入れるのは有用か? [研修医教育]

 ICU roomからです。

 FDLカテーテルと言うのがあります。Flexible double lumen catheterの略で、柔らかい内腔が二つある管の事です。血液浄化法(簡単に言えば透析)を行う場合に入れます。血液を抜いてきれいにし、その血液を患者さんに返しますので道が二つ必要な訳です(2ヶ所に管を入れられるより1ヶ所の法が良いですよね)。

 最もふさわしくない挿入部位は?と言う記事がICU roomに載っていました。

 原文はこちらです。

急性腎不全の患者さんに透析用カテーテルを挿入する場合、最も優先度の低い場所はどこか?

A) 内頚静脈
B) 鎖骨下静脈
C) 大腿静脈
D) 腋窩静脈
E) 経肝静脈

答え B)
A) × 穿刺が容易で合併症の頻度が低いため、内頚静脈が最も推奨される部位である。
B) ○ 狭窄率、血栓形成率が高く、必要になった時に上肢の動静脈シャントの使用を妨げるため、鎖骨下静脈は可能であれば避けるべきである。
C) × 大腿静脈も穿刺しやすく、一時的な使用には良い選択であるが、血栓形成率や感染率が高い欠点がある。
D) × 腋窩静脈は熟練した者が行う。
E) × 経肝静脈法は挿入に高度な技術が必要であり、他の方法が行えない場合にとっておくべきである。

 鎖骨下静脈にカテーテルを入れた事があると、そこが狭くなっていて、普段は何ともないのですが、腕に動静脈シャントを作ると腕の静脈の血流が増え、狭くなった鎖骨下静脈のために腕が腫れる事があります。よって鎖骨下静脈に管を入れる事は出来るだけ避けなければなりません。

 また内頚静脈には弁があり、それを損傷すると、もし心停止になった時に脳への血流が行かなくなる(胸骨圧迫時には動脈にも静脈にも圧がかかります。内頚静脈には弁があるために動脈にだけ圧がかかって脳へ血液が行くと言う説もあります)かもしれません。が、心肺蘇生の事まで考えて治療の選択をしなければならない事はまれです。


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