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M&Mカンファレンス(まじめな話) [研修医教育]

 「ER・救急のトラブルファイルー診察室のリスクマネージメント」と言う本を読みました。これは以前福井大学の寺沢先生が講演で推薦する本として紹介されていたもので、なにしろ日本語になっているので、、、、読んでみました。

ER・救急のトラブルファイル―診察室のリスクマネージメント

ER・救急のトラブルファイル―診察室のリスクマネージメント

  • 作者: 太田 凡
  • 出版社/メーカー: メディカルサイエンスインターナショナル
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 単行本


 M&Mカンファレンスと言うのがあって、それに出された症例について解説が載っています。M&Mとは特別な嗜好のある患者さんや医者のことではなく、MorbidityとMortalityと言う意味です。前者は「病気にかかっている事、罹患率」、後者は「死すべき運命、死亡率」と言う意味です。つまり、失敗(があっては本来いけないのですが)してしまい、患者さんが重篤になったり、死亡してしまったりした症例のカンファレンスと言う事です。

 このカンファレンスは、担当医をみんなで攻めると言うものではなく、失敗をみんなで共有し、二度と同じ間違いをしないようにするためのものです。よって、誰が担当したか分からないようにして進めるそうです。ただ、担当医には、この患者さんを今度のカンファレンスで取り上げるからねと伝えるそうです。しかし、面白い現象が起こるそうです。以下引用です。

「担当医に知らせることなくカンファレンスに取り上げられることはないと皆が知っているにもかかわらず、医師たちがしばしば、その匿名の症例が自分の患者なのかを後で確かめにくるのである。同じような状況に居合わせたことがあるため、自分自身の経験と区別がつかなくなっているのだ。」

 いろいろな人から失敗について話を聞き、自分の体験できない知識として得ておくのはとても大切です。が、自分で体験しないとなかなか分からないのですがね、、、、

 先輩の意見もたまには聴いて下さいね、若い先生方。なかなか素直に聞けない皆さんは是非この本を読みましょう!

 この本のすごいところは、、、、

 第一章は「患者の受け止め方」となっています。つまり医学的な事ではなく、患者さんに失礼な事を言ってしまったとか、態度が悪かったとかの話です。これが最初に出てくると言うところがすごいです。
 第二章は「肺塞栓」です。私は過換気症候群の患者さんが来たら、必ず血液ガス分析をするよう研修医の先生に言っています。この章(14ページしかありません)を全員に読んでもらうようにしたいです(が今の病院には研修医の先生がいません(+_+))。未治療だと30%もの死亡率だそうで、M&Mカンファレンスによく出てくる病気なんだそうです。アメリカでは頻度が高いでしょうから、、、、
 第三章は「救急部における医師間のコミュニケーション」です。アメリカでも救急を受けた医師と入院後担当となる医師との間に色々あるみたいです。

 その後やっと医学的な話になっていきます。著者の考える重要な順番なんでしょうね。

 救急に関わる病院職員は必読です!!もちろん日本合コン医学会の推薦図書でもあります(第1章が合コンでは大切です)。

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yangt3

いろいろな形での情報共有は本当に大切ですね.
日本合コン医学会でも、それが大切なテーマなんですね!
by yangt3 (2011-01-13 09:46) 

Kim

情報の共有はとても大切です。

合コンでは不利になる場合もありますが、それでも狙った相手は自分にくるはずと言う自信を持ちたいですね。

失敗例の方が勉強になります。今日のNHKの連ドラでも失敗してなんぼと言ってました。

by Kim (2011-01-13 10:17) 

マカロン

この本私も持ってます
この本を読むと心を打たれます

by マカロン (2011-01-13 20:25) 

Kim

マカロンさん、コメントありがとうございます。

私も色々勉強になり、感銘を受けた本です。

若い人にぜひ読んで頂きたいですね。

by Kim (2011-01-13 20:52) 

ask

素晴らしい本ですね、今度読んでみます。
by ask (2011-01-14 07:10) 

Kim

askさん、コメント&nice!ありがとうございます。

ぜひ読んで感想を記事にお願いします。

by Kim (2011-01-14 07:56) 

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