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ワクチン投与時に痛い思いをしないために [医学関連]

 この記事の続きです。

 予防接種時の痛みを軽くする方法についてでした。以下のようなものを紹介しました。

(1)乳児に対して授乳期の場合には授乳で、授乳期が終わっている場合は甘いものを与えること(推奨度A)

(2)接種時には仰臥位(仰向け)にすること(推奨度E)→つまり仰向けにしないこと

(3)注射の前に「痛くないよ〜」と言うこと(推奨度D)→つまりそう言わないこと

(4)複数のワクチンを同じ日に投与する場合には、一番痛いワクチンを一番最後にすること(推奨度B)

(5)薬液を注入する場合に吸引せずに早く注入すること(推奨度B)

(6)注射時に深呼吸をしてもらうこと(推奨度B)


 前回は(1)について解説しましたので、今回は(2)(3)(4)を。

 まず(2)です。
 迷走神経反射と言うのがあります。痛い事をしたり、精神的に辛い事を体験したりすると、迷走神経が活発になり、血圧が下がったりして倒れてしまう現象です。人間の体は常に交感神経(敵と戦うなどの時に必要)と副交感神経(体を休める働きをします。迷走神経はその一つです)が綱引きをしている状態にあります。普段は交感神経が強いです(24時間闘えますか?)ので、交感神経が休んでしまうと容易に副交感神経が活発になってしまいます。

 よって注射などの痛い事をすると迷走神経反射が起こって倒れる危険があるので、私は痛い事をする時には患者さんをベッドに寝かせて行っていますが、予防注射の痛みを軽減するためには良くないそうです。推奨度Eなので、痛みの軽減のためには行ってはならないと言う事です。

 小児を仰向けに寝かせるよりも、upright(上半身を起こした状態と言う意味でしょうか)のまま、ワクチン接種中もその状態を保つ方が痛みを減らす。座ってもらったり、子供が最も快適な位置になるように親に保ってもらう(例えば抱きかかえたり、膝の上にのせたり)。この位置に保つ事により痛みが軽減するメカニズムはよく分かっていないが、不安を減らし、それにより痛みの認識が減るためではないかと思われる。一方、過剰に体を拘束すると小児のストレスが増すかも知れないので、両親と医療従事者は強すぎる力をかけずに体位を保つようにする。

 迷走神経反射を起こして倒れても困るので、、、、でも予防注射ぐらいならいいですかね。

 次は(3)です。何と!詳しく書かれていませんでした。何でだろ〜(これを職場や家庭で見る場合注意が必要です)。

 次は(4)です。

 小児は同じ日に2回以上の注射を受けることになっている。一番痛いワクチンを最後に投与する事は最初の注射による痛み閾値の低下を軽減する。しかし、同時に投与すべき予防注射の適切な組み合わせについて検討した研究は限られている。 現時点では、比較的痛みが強いとされているワクチンはMMR-II (Merck) とPrevnar (Wyeth)である。これらを他のワクチンと一緒に投与する場合には、最後に注射すべきである。

 少し解説します。痛みの閾値と言うのは、これぐらいの刺激が加わると痛みと感じると言う強さのことです。痛いと一度思ってしまうと、痛みの閾値が下がり、さっきまでは痛いと感じなかった刺激でも痛いと感じてしまいます。最初に痛〜い注射をしてしまうと、次のそれほど痛くない注射もすごく痛いと感じてしまうので、最初に軽い痛みの注射を打った方が良いと言う事なんでしょうが、どっちみち痛いのは一緒のような気もしますね(^.^)。

 (5)(6)は後日にアップします。お楽しみに!
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Bluemoon

お疲れ様です。
なるほど(^^)です。
娘でやってみようっと。
そういう私も注射嫌いです(笑)
by Bluemoon (2010-12-13 20:02) 

Kim

Bluemoonさん、コメント&nice!ありがとうございます。

続きも近日中にアップします!

by Kim (2010-12-13 20:31) 

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