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低ナトリウム=ナトリウム不足?? [医学関連]

 昨日の記事の解説です。このブログは私の勉強メモが一番の目的でしたので、、、

 ナトリウムと水分
 人間の体では、ナトリウムと水は一緒に動きます。単純な水分だけを投与すると、その水分は尿などから排泄されます。ナトリウムだけを投与すると、水分排泄が少なくなり、ナトリウム濃度が高くなると言う事はありません(病気の人は別です)。よって「水分の喪失は通常ナトリウムの喪失に伴う。腹水のある患者に水分制限を行う事は、通常必要ない。」と言う記述になります(ナトリウムの制限を行っていますから)。しかし、水を10リットルも飲むような事があれば、これは別でナトリウムが下がるでしょう。

 また、1日100mmolのナトリウムの貯留は「2週間で10Lもの体液増加に値する(100mmol×14÷140mmol/L=10L)。」と言う記述は、ナトリウムが1日100mmolで14日分なので1400mmol貯留し、ナトリウム濃度が正常(140mmol/L)を保つはずなので、140で割って10Lと言う事です。

 以前書いた気がするのですが、見つからなかったので、、、、

 ナトリウムは他の検査とは違う考え方が必要です。例えば血清カリウム値が高ければ、体内のカリウムが増えていると考えて良いです(例外はもちろんあります)。低ければ足りないので、注意深く投与します。しかし、ナトリウムには使えません。ナトリウムは水分との比率を示しているだけです。ナトリウムが低い場合には水分が多い、高い場合にはナトリウムと比べて水分が少ないと言う事を示しているだけです。よって、ナトリウムが低い場合には、以下のようなパターンがあります。

(1)ナトリウムが少なく、水分も少ないがナトリウムに比べて多い。
(2)ナトリウムが少ないが、水分は正常。
(3)ナトリウムは正常であるが、水分が多い。
(4)ナトリウムが多いが、水分はもっと多い。

 簡単に分かると思いますが、(1)ではナトリウムと水分の投与が必要ですよね。(2)ではナトリウム投与、(3)では水分の制限、(4)ではナトリウムと水分の制限あるいは排泄と言う治療になります。ナトリウムが低いと分かるとナトリウムを投与する先生がたくさんおられますが、、、、不勉強な事は明らかです(が、私も偉そうな事は言えません)。多くの患者さんは(3)なので(薄い点滴を入れ過ぎ)ナトリウムを投与しても検査データは改善しません(多くの患者さんは無症状なんです)。が、たいていの先生はそのままナトリウムの投与を続けています。治療して治らなくても放置するならば、治療せず放置すればいいと思うのですが、、、、昔読んだ輸液の神様と呼ばれている先生の本にも低ナトリウムは多くの場合無視すれば良いとありました。

臨床医のための輸液問答

臨床医のための輸液問答

  • 作者: 長谷川 博
  • 出版社/メーカー: 医学書院
  • 発売日: 1994/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


 ナトリウムが多いか少ないかはどうやって分かるかと言うと、尿中ナトリウムを測るなども良いですが、尿中にナトリウムが出て行くためにナトリウムが足りなくなっている場合もありますので、、、血圧とか浮腫を見ます。血圧が高く、浮腫がある人は明らかに体内のナトリウム量が多いです。肝硬変で腹水がある人もナトリウムは多いです。血圧が低くて皮膚が乾燥しているような人はもちろんナトリウムが足りません。血圧正常、浮腫もないと言う人は体内ナトリウム量は正常と考えます。

 もちろんですが、浮腫があって体内のナトリウム量が多いと考えられるのですが、血管内には足らず、仕方なくナトリウムを点滴すると言う事は良くあります。なかなか理屈道理には行きません。

 最後にナトリウムとは関係ないですが、前回の記事に「肝硬変患者では代謝が障害されており、半減期が5日以上なので、最大の効果は2週間後である。」と言う記述があります。これについては、こちらをご覧下さい。好きな女性に一度メールを送ったぐらいでは効果がなく、最低でも3回は待ちましょうと言う感じでしょうか。

 疲れる記事が続きますが、頑張って読みましょう!
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