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胸郭包み込み両母指圧迫法はどうなったのか?? [CPRの基礎]

 乳児の二人法CPRの時には、胸郭包み込み両母指圧迫法が望ましいです。と2005年の講習会では言われていました。その時に以下の図のように胸郭を絞るような動作をする方が、より良い心肺蘇生になるとも言われていました。こちらからはPowerpoint用のスライドも手に入ります(Keynoteでももちろん使えます)。

2CPR.jpg

 J先生のブログによれば、胸郭を絞るような動作は過去のものになった様です。調べてみました。

 まずAHAからです。

 過去には胸骨圧迫時に胸郭を絞り込む事が推奨されてきたが、この処置の有用性を示した研究はない。指2本による圧迫よりも胸郭包み込み両母指圧迫法の方が冠動脈還流圧が高くなり、適切な圧迫深度と強さを保て、高い収縮期・拡張期圧を保てるため、後者が推奨される。もし傷病者の胸郭を包み込む事が出来なければ、2本指法で圧迫する。

 ってテキストに絞れって書いていたじゃん〜、、、、2005年ガイドラインのこちらではクラスIIaとしていたんですし、、、、って色々変わるから仕方ないですね(^.^)。

 CoSTRはどうでしょうか。

乳児の胸郭包み込み法
科学に基づくコンセンサス
 乳児において、2本の指で胸骨圧迫をする場合の胸郭包み込みのあるなしを比較した研究はない。

推奨される治療
 乳児において、2本の指で胸骨圧迫を行う場合、胸郭を絞るような動作の必要性を支持するあるいは、避けるべきとする充分なデータは存在しない。

今後の課題
 乳児において2本指法に加えて胸郭を絞る処置を追加する事はより効果的な圧迫となる、あるいは予後を改善するだろうか?

 ちなみに、2005年版(こちらの5ページ)では以下のようになっています。

胸郭包込み両母指圧迫法と二本指胸骨圧迫法の比較
科学的コンセンサス
 2編のマネキンを用いた研究(LEO 6)と2編の動物実験(LOE 6) からは、胸郭を両手で絞りこむように包み込んで二本の母指で胸骨を圧迫する方法は、いわゆる二本指胸骨圧迫法よりも高い冠灌流圧をもたらし、胸骨圧迫の深さと力加減が一定になることが示されている。血行動態モニタリング中の乳児が胸骨圧迫をされた症例報告(LOE 5)からは、胸郭包込み両母指圧迫法の方が二本指胸骨圧迫法よりも、収縮期・拡張期ともにより高い動脈圧が得られることが示されている。

推奨される治療法
 乳児に対して二人法のCPRを行う場合は、胸郭包込み両母指圧迫法が、より良い。乳児に対して一人法のCPRを行う場合は、胸骨圧迫の中断を最小限にするために、胸骨圧迫と人工呼吸の移行が容易な二本指胸骨圧迫法が好ましい。二人法の場合でも、二本指胸骨圧迫法を行うことは許容される。

 結局胸郭を絞るような動作は否定された訳ではないので、して良いですし、やっても余計疲れるからしなくても良いと言う事なんでしょうか。

 ERCはこの方法を推奨していますが、絞る動作については何のコメントもしていません。2005年ガイドラインでも記載していません。

 色々比較して見ていると、ERCのガイドラインはAHAより5年進んでいたみたいな気がしますね。

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