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電気ショックの時に酸素を遠ざけるべきか?? [CPRの基礎]

 以前記事にしました。2010年度版ガイドラインが出たのでこちらも更新します(^.^)。

 たぶんですが、2005年では酸素を0.5m以上遠ざけましょうとなっていたのですが、2010年では1mになりました。

 まずCoSTRからです。

高濃度酸素が近くにある場合の除細動(Defibrillation in the Immediate Vicinity of Supplementary Oxygen)
 成人と小児の心停止(院内、院外とも)では酸素投与がない場合に比べて高濃度酸素が投与されている場合に、除細動が発火のリスクを高めるだろうか?

科学に基づく勧告
 成人の4つの症例報告(LOE4)と新生児の1例報告(LOE4)で、10L/分を超える高流量の酸素投与がされている近くでパドルを用いた除細動を行ったところ、火花が発生したと報告されている。粘着性パッドを用いた場合には、火花による火災の報告はない。2つのマネキンを用いた研究では、気管チューブに換気装置(バックバルブマスク、自己膨張式バッグ、ハミルトンビオラ呼吸器?)を装着したままだったり、酸素流出口が患者の口から少なくとも1メートル離れていれば、除細動装置を装着する付近の酸素濃度は増加しないと報告されている。別の報告では、狭い場所で適切な換気がない場合、より酸素濃度が高くなり、酸素がなくなるまで長時間を必要としたとする報告が1例ある。

推奨される治療
 救助者は、パッドやパドルの位置、接触の状態等に注意をする事により、除細動中に火花が最小限になるようにすべきである。救助者は、酸素濃度が高い状態(例えば高流量酸素が直接胸に流れているような状態)で除細動が行われないよう確認すべきである。

 次はAHAです。

 高濃度酸素の存在下で、きちんと体に当てられていないパドルを用いて除細動を行ったため、火災が発生したと言う症例報告がいくつかある。人工呼吸器のチューブが気管挿管チューブから外れて、患者の頭の付近に残され、除細動中に胸に高濃度酸素が投与された場合の火災発生の報告がある。救助者が除細動を行う場合に火花が出ないよう細心の注意を払う事は理にかなっている。高濃度酸素の環境下で除細動を避ける(クラスIIb、LOE C)。
 自己粘着性パッドを用い、パッドと胸の接触が良好である事を確認することは、除細動中に発生する火花の危険を最小限にする。ペーストやジェルは2つのパドルの間に広がり、火花を発生する危険があるので、もし手動式パドルを用いるのであれば、電気ペーストやジェルよりも、ジェルパッドが勧められる(クラスIIb、LOE C)。

 ERCが一番長いです。

除細動中の安全な酸素投与
 高濃度酸素の環境では、適切に接触していないパドルによる火花が火災を発生する可能性がある。この様な機序によって発生した火災がいくつか報告されており、多くは患者に重篤な熱傷を生じた。粘着性パッドを用いて除細動を行った場合の火花による火災の報告はない。2つのマネキンの研究では、換気装置(バッグバルブ装置、自己膨張型バッグ、最新の人工呼吸器)が気管挿管チューブに装着されたままであったり、酸素流出口が患者の口から1メートル以上離れていれば、除細動をする部位の酸素濃度は増加していなかった。狭い場所で適切な換気がない場合、より酸素濃度が高くなり、酸素がなくなるまで長時間を必要としたとする報告が1つある。
 除細動中の火災の危険は以下の事に注意すれば最小限にする事が可能である。
・酸素マスクや鼻カニューラ等を外し、患者の胸から1メートル以上離す。
・気管チューブや咽頭上気管装置(訳注:コンビチューブとかラリンゲルマスクなどのこと)にバックバルブマスクを装着したままにする。別の方法としては、バックバルブマスクなどをチューブから外し、それを患者の胸から1メートル以上離す。l
・人工呼吸器に繋がれている場合、例えば手術室や集中治療室内などでは、胸骨圧迫が適切な換気量を送れていれば、呼吸回路のチューブは気管チューブに接続したままにする。この場合には、通常人工呼吸器の代わりに換気バッグが使用されており、チューブに装着したままか、外して1メートル以上離す。もし、人工呼吸器のチューブが外れた場合、患者から最低1メートルは離れている事を確認する。最近の人工呼吸器は接続が外れるとかなり大量の酸素が流れるため、可能であれば人工呼吸器のスイッチを切る。正常の使用では、気管チューブに接続されていれば、集中治療室で使用した人工呼吸器の酸素は専用の空調換気装置から排出される。集中治療室の患者は、酸素化を保つためにPEEPが加えられているかも知れない。カルディオバージョンの時には、特に、自己循環が維持されており、ショックを与える時にも接続を外さない方が良い。
・除細動中の火花の発生を最小限にする。自己粘着型の除細動パッドは、手動式パドルよりも火花を発生する危険が少ない。LUCAS外部胸骨圧迫装置の最新版の物のいくつかは高流量の酸素によって動作し、その酸素を患者の胸に排出する。この装置を用いた場合、特に救急車内などの狭い場所などでは、胸部の酸素濃度が高くなる事が示されている。酸素によって動作する装置を使用中に除細動を行う場合には注意が必要である。

 講習会によっては、「今から除細動をします。バックバルブマスクを背中に回して離れて下さい!」と言わせていたのですが、2010年では「1m以上離れて下さい!」となるのでしょうか。ややこしいです。

 ちなみに普通にレントゲンを撮影する場合には、3mも離れればいいらしいですが、10m位離れていますよね(^.^)。

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コメント 3

くまくま

 2010年では1メートルになっているのですね、知りませんでした。少しずつ変わっていくので、対応が難しいというかややこしいですね。 
救外のポータブル撮影、私もまっさきに相当遠くまで離れています。そんなに離れても変わらない、と分かっていても心情的になんとなく離れたくなります。 皆に笑われますが・・


by くまくま (2010-11-19 20:40) 

Kim

くまくまさん、コメントありがとうございます。

知識は常にアップデートして行かないといけませんが、膨大な量なので大変ですね。

私が研修医の時には喘息にステロイドを使う医者は金もうけだとか、色々言われていたのですが、今は第一選択ですよね。

レントゲンは私も真っ先に走って逃げます(^.^)。もう関係ないのかも知れませんが、、、

by Kim (2010-11-20 09:13) 

Kim

以下に更新記事?を書きました!

http://kekimura.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01

明日以降ご覧下さい。
by Kim (2011-05-31 09:23) 

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