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検査をする理由を考えましょう [研修医教育]

 昨日の記事に書いた事の解説です。余計分からなくなったらすみません。

 昨日の研修医の先生へのコメントで、「トロポニンTやラピチェックが陽性だったのに、心筋梗塞でないと考えるのであれば、オーダーの必要はなかったのでは?」と言うのについてです。

 検査を行う理由はいくつかありますが、診断前ならば、診断をつけるためです。診断をつけないと次の行動が決められないからです。救急の現場などでは検査結果が出る前に、結果を予想、あるいは最悪の結果を想定して治療を開始する場合がありますが、たいていは結果を見て次の行動が決まります。

 トロポニンTやラピチェックが陽性であれば、心筋梗塞の可能性が高まります。よって、専門医に診てもらうべきと思います。私はそうしています。今の病院の循環器の先生は気軽に診て下さるからです。診てもらえない環境であれば、専門施設へ転送するか、少なくとも入院してもらって経過観察します。アメリカの救急室にはそう言う病室があるようです。胸痛(今回は心窩部痛でしたが)はそれほど怖く、診断が難しいと言う事です。

 ところがトロポニンTやラピチェックが陽性なのに方針を変えないのであれば、そもそも検査すべきではないでしょう。検査はただではありませんし、検査技師さんの時間も奪います。

 厳密に言えば、心電図とレントゲンを行い(すぐとれます)、可能であれば心エコーを行います。採血ではCPKとCK-MB(学生時代にCPKと言う言い方はなくなると習ったのですが、、、)をオーダーし、もし正常値であれば経過観察、高値であれば心筋梗塞、中等度上昇であればトロポニンTとラピチェック、、、、と言うのが良いかも知れませんね。全部いっぺんに出してしまったんでしょう。現場ではそれも仕方ない、あるいはそれが一番よい方法でしょうが、本当はこうすべきなんだよと知っておく必要があるでしょうね。

 検査を出す時には、この検査は何故必要か良く考えるようにしましょう。

 日本合コン医学会のガイドラインには以下のようにあります。

 必要のない質問はすべきでない。
 合コンでも、問診が非常に重要である事に異論はない。しかし、相手に対する質問は、交際相手の選定に必要なもののみに留めるべきである。
 例えば、自分が映画好きな場合、相手がどんな映画が好きか知ることは重要であるが、相手に合わせて見る映画を決めるつもりがないのであれば、尋ねる事がかえって不利益をもたらす危険性がある(注)。
 年齢は重要な要素であるが、直接聞き出すことは禁忌である(クラスIII)。事前に参加条件として25歳以下などとしておくか、過去の事例の時何学生であったか、全身観察などにより予想するのが望ましい。
 よって質問は相手を選択するために必要なもののみに留めるべきである(クラスI)。


 男 今日は二人で映画を見に行こうか!
 女 いいね!私見たい映画があるんだ〜
 男 そうなんだ!どれ??
 女 ハナミズキ!
 男 でも俺は「踊る大捜査線3」が見たいんだ!だからハナミズキは今度ね〜。
 女(だったら聞くなよな〜)

 これは事前確率の問題です。ハナミズキを見に行く確率は0%、踊る大捜査線3を見に行く確率は100%なので、どんな検査をしても変化がありません。よって検査は不要と言う訳です。

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