SSブログ

熱傷とβブロッカー [医学関連]

 熱傷時にはカテコラミン

 ベータブロッカーが有効と言う報告があるようです。

 UpToDateの「Emergency care of moderate and severe thermal burns in adults」と言う文献に書かれていました。日本語だと「中等度から重症の成人熱傷における緊急治療」と言うような文献です。

 以下は私の下手な訳です。原文を読みたい方はアクセスしてみて下さい(が有料の会員登録が必要です)。

・β受容体の遮断 β受容体を遮断するとカテコラミンの上昇による影響を和らげることが出来る。つまり、心筋の酸素需要を減らし、安静時代謝を減らす。いつこの治療を始めるべきかについては結論が出ていない。救急部で始めるのであれば、患者のケアを担当する熱傷ユニットと密な連絡の元行うべきである。

 β遮断薬が重症熱傷による死亡率にどのような影響を与えるかを検討したランダム化試験はないが、いくつかの研究で有用性が示されている。体表面積の40%以上の熱傷をおった小児25例で、プロプラノロールを心拍数が正常値から20%減少するよう投与した研究がある。治療群はプラセボ群に比較して、心拍数が低くなり、エネルギー必要量が減少し、体重の維持が容易であった。熱傷患者におけるプロプラノロールの同化作用は別の研究でも確認されている。成人熱傷患者における小規模後ろ向きコホート研究では、長期β遮断薬治療により、熱傷関連死の減少、創治癒の改善が認められた。

 βブロッカーは他にも甲状腺機能亢進症の症状を抑えたり、肝硬変の人の門脈圧を低下させたりと色々役に立つ薬ですね。

nice!(9)  コメント(4) 
共通テーマ:学問

nice! 9

コメント 4

konkon

ちょっと興味があってお聞きしたいのでしが、Bblockerはどのような使い方をすれば良いのでしょうか?持続静注かなんかで、また投与期間はどれくらいが良いのでしょうか?

by konkon (2010-08-30 11:25) 

Kim

konkonさん、コメント&質問ありがとうございます。

投与期間については決まりはないようです。CRP等を見て下がってきたらいらないのかもしれませんね。

投与方法は記載がありませんが、初期はやはり持続静注が必要でしょうね。私も使った事はありません。重症熱傷は県庁所在地に送ってしまいますから。

答えになっていなくてすみません。

by Kim (2010-08-30 12:07) 

konkon

お返事ありがとうございます。
 個人的には重症熱傷は以前よく植皮なんかやっていましたが、Bblockerは使ったことがないので非常に興味を持ちました。ただ現在いる施設は救命センターでもない救急部なので、重症熱傷はほとんどみておらず治療の知識も遅れていっている感じがします…。
また色々教えてください。

by konkon (2010-08-30 18:45) 

Kim

konkonさん、コメントありがとうございます。

植皮はあまり経験がないので、是非教えて下さい。

私もβブロッカー使った事はありません。たまたま見た文献に載っていただけです。

研修医には、「直前に本やネットで調べて知った事をいかにも前から知っていたように話すスキルも医者には必要だ」と教えています(^.^)。が、私も研修医も正直なので、「いや、これはさっき初めて知ったんですが、、」等と言ってしまいます。

by Kim (2010-08-30 18:53) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。