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1日一つ覚えましょう [研修医教育]

 人間はたくさんの事を一度に覚える事が出来ません。一度に出来るのは聖徳太子様だけでしょう。

 よって研修医のうちは1日一つと言っています。今日は採血の消毒法、明日は採血の針の形状について、、、、1日一つって少なそうですが、ずっと続ければ1年で365個、10年やれば3650個覚えられます。きっと私は3000以上の事覚えていないと思います(^.^)。

 よって毎日何か覚えましょう!

 と言っても難しいので人に教えてもらいます。ICU pearlsと言うページがありました。pearlは真珠の事で、「重要な事」と言うような意味です。英語の医学教科書(他の分野でもあるかもしれませんが、読んだ事ないので分かりません(+_+))には何とかパールと言うのがあります。

 2009年12月10日のパールは以下のものでした。英語は原文を読んで頂くとして、私の下手な日本語です。

Q:気管支喘息重責状態において、人工呼吸を含む通常の治療に反応しない場合の対処法を述べよ。

答え:

 ケタミン:ケタミンは、肺のコンプライアンスを改善させると共に、特に下気道の気道抵抗を改善させる事が示されている。ローディングドーズ(注1)は1mg/kg、その後2時間1mg/kg/時で投与する。最高気道内圧、PaCO2、PaO2をモニターすべきである。

深い麻酔:ハロセンやエンフルレンなどのような麻酔薬は気管支拡張作用があるので、プロポフォールやケタミンと併用すると効果的かも知れない。

笑気:いくつか症例報告がある。

リドカイン吸入:アルブテロールやレバブテロールと併用すると、喘息重積発作に合併する事がある声帯の機能不全に対して効果的である。

ECMO(注2):すべての治療が無効の場合には行う。


 注1:ローディングとは、お風呂にバスクリンを入れるようなものです。お風呂にお湯を溜めます。そこへちょろちょろっとお湯を出し続けます。すると同じだけお湯がこぼれます。人間の体はそんな感じです。
 お風呂のバスクリンをある濃度にしたい場合、濃いのをたくさん入れないとダメです。蛇口からちょろちょろと流していた(人間の場合には点滴で入れますから)のでは、なかなか目的の濃度になりません。この時に入れる大量のバスクリンの量をローディングドーズと言います。
 一度目的とする濃度にすれば、あとは出て行く分を少しずつ入れてあげればよいです。
 実際の患者さんでは、お風呂の大きさ、入れるお湯の早さ、出て行くお湯の早さなどが薬によっても色々違いますので、そういった事を考えて薬を投与します(が、本当は考えなくても説明書に従えば大丈夫です(^.^))。

 注2:血液を体内から採り出し、人工的に血液に酸素を与え、二酸化炭素を出し、また体内に戻す治療です)

 ちなみに、無料なのが素晴らしいですね。

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yangt3

幸いにPCPS(ECMO)が必要になるほどの
ひどい重責発作にはまだ遭遇していません.
重症の呼吸不全でPCPS回した事はあります.
余談ですが一日一つ文献を読めばすごいことになるのですが
なかなか難しいですね(^.^)
by yangt3 (2009-12-30 08:42) 

Kim

yangt3さん、コメント&nice!ありがとうございます。

1日1文献、,,,確かに難しいですね!

頑張りましょう!!

by Kim (2009-12-30 08:53) 

Kim

今日のパールは、朝の回診時に入院する患者さんは重症で死亡率が高い事が多いというものでした。

100へえ〜です。

by Kim (2009-12-30 08:55) 

さうざんバー

一日一つを記憶する(^^)
良い事ですが、簡単なようで、なかなか出来ない事ですね(^^;)
でも、心持ちひとつなので、来年から、やってみようと思います。

by さうざんバー (2009-12-30 09:27) 

じゅり

先生、こんにちわ。
少し前に先生に話を聞いてもらったじゅりです。
あれから心療内科の病院に受診しました。
うつ状態だけど、うつ病ではないって言われました。でも、抗うつ薬を飲んでます。お薬を飲んでる安心感からか、落ち込んだり、死にたくなることも少なくなり気持ち落ち着いてます。受診している病院の先生…他の患者さんがたくさん待ってるけど、話はちゃんと聞いてくれて、先生からも話をよくしてくれて…病院受診して良かったです。
お薬に頼らずに、感情のコントロールが出来るようにしたいと思ってます。
お医者さんって職業は、本当に大変な仕事ですよね…先生も体調崩さないようにしてくださいね
話聞いてもらってありがとうございました(^人^)
長文すみません
また、コメします
by じゅり (2009-12-30 10:43) 

Kim

さうざんバーさん、コメント&nice!ありがとうございます。

継続は力なりと言いますが,本当に難しいです。

私も偉そうなこと書きましたが、毎日見れている訳ではありません。

頑張りたいと思います。

by Kim (2009-12-30 11:01) 

Kim

じゅりさん、コメントありがとうございます。

良い先生と巡り会えて良かったですね。薬に頼らないのはもちろん必要かも知れませんが、日本には他に沢山薬を飲んでいる人がいますので、気にすることないです。

私は眼鏡がないと目が見えません。薬がないと生活できなくても構わないと思います。

来年もよい年でありますように!


by Kim (2009-12-30 11:03) 

Kim

林寛之先生著「ERの裏技、CBR社」P.12−14には、追加がいくつかありました。

 アドレナリン(本文にはエピネフリンとあるのですが(^.^))を気管内に投与すると有効である

 緊張性気胸を合併していないか確認する

 気管支鏡で喀痰の除去

でした。色々勉強しないといけませんね。

by Kim (2009-12-30 13:01) 

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