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CISDを始めました [研修医教育]

 先日からCISDと言うのを始めました。こちらによれば、「緊急事態ストレス・デブリーフィング(Critical Incident Stress Debriefing)」と言うものです。以下引用です。

 救援者や被災者に、災害の生々しい体験を、災害救援活動の2、3日(少なくとも1週間以内)後にグループで話し合いをさせるという手法。 「災害直後に体験の内容やその時の感情を救援者や被災者に表現させる」、すなわち体験などを共有することで、外傷後ストレス障害(PTSD)を初めとするトラウマ後の心理的後遺症の発症を予防するという考え方に基づいている。米軍の救急隊員が開発し、よく知られるようになった。」
(引用ここまで)

 2000年のACLSプロバイダーマニュアルに載っていて、読んだ時に是非やりたいと思ったのですが、病院を変わったり、色々でやれませんでした。

 先ほどの引用だと災害の時などになっていますが、心肺蘇生など患者さんが急変した場合にも行うべきと思います。

 例えば数ヶ月前にやっていた「救命病棟24時」では、研修医の工藤先生(石田卓也さん)が、入院中の子供の呼吸困難を単なる喘息と診断し、本当はアナフィラキシーで、心肺停止になった、、、、と言う話がありました。個人的にあの看護師の鴨居千夏さん(北乃きいさん)好きなんですが[わーい(嬉しい顔)]。それはどうでも良いとして、、、、

 進藤先生、工藤先生、進藤先生を呼ぼうとしたが研修医に止められた看護師鴨居さん、場合によっては、その前の勤務帯に担当していた看護師さん、、、、、みんなそれぞれ色々な事を思うはずです。

 急変より前に担当していた看護師さんは、私があの時あげたお菓子がいけなかったんだ(お菓子なんてあげないでしょうが)とか、少し咳が出ると言っていたから、あの時点で進藤先生に診てもらっておけば、、、
 鴨居さんは、工藤先生を無視してでも呼べばよかった、、、私が呼ばなかったから心停止に、、、あるいは、単なる喘息じゃないんじゃないでしょうか?と上手く伝えることができたんじゃないか??工藤先生のプライドを傷つけた自分が悪いんだ、、、
 小島先生(松嶋菜々子さん)は、もっと早く工藤先生に進藤先生のことを理解するよう話しておけばよかった、、、、
 進藤先生は肩を黙って叩くだけかもしれませんが(^.^)。

 こう言った気持ちをそのままにしておくと、皆ストレスがたまって、そういう事が繰り返されると良くないと言う訳です。そう言った事を皆で共有しようと言うものです。

 当院では研修医の先生が先日他の病院からの紹介患者さんを受けたのですが、指導医やスタッフから、当院で診れる病気じゃなかったから断るべきだったとか、その他色々言われたようです。そうだったかも知れないし、そうじゃなかったかも知れません。指導医やスタッフもそういうつもりで言ったんじゃないと言うのがあるかもしれません。

 と言っても、本で読んだだけで、実際どんなことをするのか全く見当もつきません。ネットで調べても全然でした。まあ、別に何でも良いですよね。

 実際に行ってみました。救急外来の看護師さんがほぼ9割、指導医も関わった人は全員、それからこういったものには全く来ない人も来てくれました。
 色々皆の思いが出されて、研修医の先生も満足したようですし、他のスタッフも救急を頑張って受けて行きたいと言う思いが共有できたようです。

 これからも続けて行きたいと思いました。データをとって来年の救急医学会で発表しようかな。

 ちなみに、鴨居千夏さん役の北乃きいさんは、なんとCDデビューするらしいです。オフィシャルブログに書かれていました。iTunes Storeで売っていれば買っちゃおうかな(^.^)。

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さうざんバー

「緊急事態ストレス・デブリーフィング(Critical Incident Stress Debriefing)」
初めて聞きました。とても良いと思います。
助産学生は、分娩の振り返りを、立ち会った指導員・教員と3人で行いましたが、救急時の対応の思いはそれぞれですから、とても意義があると思います。

これからの臨床で広がっていけば良いと思います。

私の友人は阪神大震災の経験から、現場を離れてしまいました。
長い時間をかけて、やっと復帰できそうです。
この方法をもっと早く知っていれば、もっと早く何か出来たのかも知れないと思いますが、これから行っても遅くないように思いますので、教えてあげようと思います。

by さうざんバー (2009-12-26 15:55) 

Kim

さうざんバーさん、コメント&nice!ありがとうございます。

まだ1回しかやっていませんが、、、、簡単にできる事なので、、、

友人の方は、阪神大震災の経験で辛い思いをされたんですね、、、今からでも遅くないですね。是非やってみましょう!!
by Kim (2009-12-26 16:25) 

yangt3

各科の先生方、スタッフの事情と
救急に携わるスタッフの事情とがすれ違い
結果として気持ちのすれ違いとなって
救急への気持ちがばらばらになることはよくありがちです.
ぜひきちんとした形で定着させていただき
全国に広めていってください.
そしたら、私の施設にも指導に来てくださいね(^.^)
by yangt3 (2009-12-26 18:36) 

ヒウィッヒヒー

昔、通っていた大学が心理学でしたのですが、現象学のゼミにおじゃましたとき、CISD(自分もはじめて聞きました)のようなことをやっていたのを憶えています。
たしか、そのときはグループシェアリングで過去にいじめにあった生徒が、その詳細を参加者に発表して、心の痛みを同じグループ内で分かち合うことで、トラウマから解放するといった内容だったか…。
社会心理学を専攻していた自分には衝撃的でした。
PTSDに関する処方もずいぶん発展しているようですね。

by ヒウィッヒヒー (2009-12-27 00:05) 

Kim

yangt3さん、コメント&nice!ありがとうございます。

どんな仕事もそうですが、気持ちの問題ですよね。一緒にお酒を飲める人、、、ですね。

ちなみに、第二回目をすべきかなと言う事例が何回もあったのですが、実現できていません。1回やったきりにならないように気をつけたいと思います。

by Kim (2009-12-27 09:15) 

Kim

ヒウィッヒヒーさん、コメント&nice!ありがとうございます。

おっしゃる事はCISDそのものですね。やはりこういった手法は有用なのでしょうね。現象学と言う分野は初めて聞きましたが、勉強して見ます。

ありがとうございました。


by Kim (2009-12-27 09:17) 

T-CHIRO

我々の世界では

>災害直後に体験の内容やその時の感情を救援者や被災者に表現させる

といったケースで患者さんが来院されることはまずないですが、災害とはケースが違いますが、ときにそれ以上の大きな心の傷が、現在の大きな症状の原因かも?というようなケースはよくあります。ただ来院された方が全てをいわないことも多々あるので、全てはわかりませんが。

ストレスを中和するのには、いえること、それが原因だと気づくことが結果的にその大きな見えない良くないストレスの力を”中和”することが多いようで、CISDとよく似てるかもですが、方法的には我々の世界ではそれを利用して、ストレスを緩和もしくは中和させるようなこともあります。


by T-CHIRO (2009-12-27 14:35) 

Kim

T-CHIROさん、コメント頂いていたのにコメントしておらずすみません。

色々な方法でストレスを緩和する必要があるのですね!!

ちなみに、北乃きいさんの歌は現在iTunes Storeで1位になっています!もちろん購入しました!!

by Kim (2010-03-02 01:21) 

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