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解熱剤は有効か?(その2) [医学関連]

 その1の続きです。

 今回は発熱に関して少し詳しく見てみましょう。

 発熱とは色々な定義がありますが、平熱より1度以上高い場合、あるいは38度以上の体温とされています。

 何故発熱するかと言えば、脳の視床下部と言う所にある体温中枢からの指令が出るからです。エアコンで言えば、温度設定をする所です。人間は常に一定の体温を保つように体温中枢が熱の産生、熱の放出をコントロールしています。だいたい36度ぐらいが一番人間にとって快適な体温なので通常36度になっています。

 ところが、例えば風邪にかかれば、色々な物質が体内で作られ、それにより体温中枢に情報が集まります。風邪のウイルスは平熱で一番増えるので、体温をあげてやればウイルスはそれだけでも増えにくくなります。よって体温中枢は設定温度を上げます。エアコンのリモコンで設定温度を上げるのと同じです。

 するとエアコンではファンが勢い良く回り始めるのと同じで、体のあちこちで熱が作られ、熱が出て行くのが押さえられます。熱は筋肉で良く作られますので、体が震えると言う訳です。

 解熱剤を投与する事は、次のような事と一緒です。エアコンの設定温度を例えば26度にしておいて、ちょっと暑いな、、、、窓でも開けようかと。窓を開けたらどうなるでしょうか?エアコンは部屋の温度が下がったから26度に保とうとしてもっと頑張って空気を暖めるでしょう。

 発熱している時は体温中枢が高い体温にしなさいと指令を出している訳ですので、解熱剤で下げてもまた熱が上がってきます。体温中枢に作用する薬もありますが、体温を上げようと言う情報は出続けているので、やっぱりまた体温が上がります。

 よって体温を下げる事はあまり有用ではないのです。

 ただ、前回の記事でもコメント頂いたのですが、熱を下げる事により、症状が改善し、多少元気になると言う事はもちろんあります。熱を下げても悪影響は得られなかったと言うデータもあるようです。

 よって以上の様な事を理解した上で解熱剤を投与しましょう!

 ちなみに、熱中症などは熱中枢は正常であるのに、熱を出す事が出来ずに高熱が出ますので、今回のこととは異なります。

参考文献
 市橋 光:風邪の治療ー発熱への対応. JOHNS Vol. 24, No. 11:1688-1690, 2008
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TOMOちゃんズ

なんでもそうですが
原因と結果をきちんと見極めるということですね.
発熱を来した原因への対策をきちんとしないと
熱だけ下げてもだめですね.
一事が万事ですね.
by TOMOちゃんズ (2009-01-27 12:03) 

Kim

TOMOちゃんズさん、コメント&nice!ありがとうございます。

どうしても納得してくれない人に昔言った事があります。

じゃあ白血球が高い人では、何故白血球を下げる治療をしないんですか?CRPは下げなくて良いんですか??って。

まあそこまで議論する意味ないので、アンビバの100ぐらい使ってあげても良いでしょうが、、、、どうせそういう看護師さんは、熱が下がろうが、下がらなかろうが、自分が解熱の処置をしたと言う事で満足しますから、、、、、熱が下がりません!とコールされる事は皆無です(+_+)。


by Kim (2009-01-27 12:22) 

へびぱく

よほど、風邪とかは引かないタイプです。
だから熱が少し上がると、ヒーヒーします。
解熱剤はよく効きます。(熱が下がるという意味で)
気分もいくらか盛り返すので、そのときに喰う。
メシが旨く感じれば、もう熱は上がりません。


by へびぱく (2009-01-27 17:52) 

Kim

へびぱくさん、コメントありがとうございます。

辛い時には熱を下げても大丈夫です。が、不利益もあるかも、、、と知っていることが重要ですよね。


by Kim (2009-01-27 20:37) 

shiraisi

こんばんは。

元々飲んでいた免疫の薬を止めたお陰で、変な熱も出にくくなりました。気付いたら38度とか…今までは、ロルフェナミン飲んでも下がりませんでした。
今は、多少ラクですが。
by shiraisi (2009-01-27 22:47) 

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